《アーティストはもちろん、NHKも性加害は決して許さないという姿勢であることは言うまでもありません。しかし、曲目発表後の反響を受け、あらためて紅白制作チームとアーティストサイドで協議を行い、番組全体の構成や演出面などから判断し、星野 源さんの歌唱曲を、デビューアルバムに収録されている『ばらばら』に変更することを決定しました》
NHKは12月26日、『第75回NHK紅白歌合戦』で星野源(43)が歌唱する曲目の変更を発表した。23日に出場者の曲目が発表されていたが、星野の曲目がわずか3日で変更となった理由を冒頭のように説明した。
当初予定されていたのは、’13年リリースの楽曲『地獄でなぜ悪い』。星野もインスタグラムで『紅白』の演出担当者からリクエストされたことを明かし、《本当に驚きました》とつづっていた。しかし同曲は’22年4月に性加害疑惑が報じられた園子温監督(63)による同名映画の主題歌だったことから、SNSを中心に問題視する声が相次ぐ事態に。
26日には星野も公式サイトを通じてスタッフと連名で声明を発表し、『地獄でなぜ悪い』の楽曲についてこう説明した。
《星野は2012年にくも膜下出血で倒れ、その闘病期に病院でこの楽曲の作詞をしました。詞の内容は、星野の個人的な経験・想いをもとに執筆されたものです。後述する映画のストーリーを音楽として表現したものではありません。星野源の中から生まれた、星野源の歌です》
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その上でSNSでの指摘にも言及し、《のちに性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌であること、映画タイトルにある「地獄」というワードにヒントを得たこと、映画タイトルと同名の楽曲であることもまた事実です》とコメント。
《この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという一部の指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません》と懸念を示し、こう明言していた。
《今回の歌唱楽曲は「アーティストの闘病経験を経て生まれた楽曲で、いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」という、紅白制作チームからの熱意あるオファーを受けて選定された経緯があります。しかし、そのオファーの意図から離れ、真逆の影響を与えうるのであれば、それはオファーを受けた私たちの想いに反してしまいます。そのため、今回同曲を歌唱することを取りやめることにいたしました。私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません》
騒動によって注目を集めることとなった代替曲『ばらばら』は、’10年リリースのデビューアルバム『ばかのうた』の1曲目に収録された楽曲だ。「世界はひとつじゃない」の歌い出しからはじまる諦観と希望が織り混ざった歌詞に、Xでは《代替案がこれって最高にかっこいい》《ばらばらも今の世相に刺さる楽曲ですね》と讃える声が広がっている。
『ばかのうた』がリリースされた当時、星野はメディアのインタビューで『ばらばら』についてこう語っていた。
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《人と人が手を繋いだらやっぱりどう頑張っても「ふたつ」なんだと思うんです。そこをすっ飛ばして「ひとつになろう」って言うから違和感があったんだと思って。ばらばらだからこそ手と手をつなげるのであって、ひとつになっちゃうっていうのは目的が変わってきてるんじゃないかなって》(’10年6月25日配信『CINRA』)
「星野さんといえば、新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言下にあった’20年4月に、インスタグラムで『うちで踊ろう』の弾き語り動画をアップしたことがありました。《誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?》と呼びかけたこともあり、三浦大知(37)や石田ゆり子(55)ら著名人も参加するなど瞬く間に輪が広がっていったのです。
同年5月にリモート出演した『おげんさんと(ほぼ)いっしょ』(NHK)では、曲名を“うち”と表現したことについて、“仕事などで家にいられない人たちのことも輪に入れたかった”“心の内側という言葉があることから、心で踊ろうという意味にもなる”と思いを明かしていました。
『ばらばら』では、“互いの違いを認め合いながらも前を向いて進んでいこう”という歌詞がつづられています。この曲が生まれたのも、星野さんがショッキングな体験をしたことがきっかけだといいます。改めて紅白の歌唱曲に選んだのは、困難な状況に置かれている様々な人々に寄り添い、励ます意味合いが込められているのでしょう」(音楽関係者)
“誰一人として取り残さない”スタンスを貫く星野。『紅白』当日は、どのようなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。
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