亀岡偉民元衆院議員、書類送検後も沈黙 裏金逆風で切羽詰まったか

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2024年12月27日 10:48  毎日新聞

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衆院選の選挙期間中に支援者と握手する亀岡偉民氏=二本松市で2024年10月15日午後3時51分、岩間理紀撮影

 10月の衆院選を巡り、公職選挙法違反(寄付の禁止)の疑いで書類送検された自民党の亀岡偉民(よしたみ)・元衆院議員(69)は、過去2回連続の比例復活のため党の方針で比例重複立候補ができない「背水の陣」だった。政治資金収支報告書に不記載・誤記載もあり、党派閥の裏金事件の逆風にさらされていた。書類送検が明らかになった26日、亀岡氏は報道陣の取材に応じなかった。福島県政界では、与党からも亀岡氏の説明責任を問う声が上がった。【岩間理紀、松本ゆう雅】


 福島市野田町5にある亀岡氏の事務所には朝からスタッフが出入りし、対応に追われた。事務局によると、亀岡氏は電話でスタッフに対し「どんな感じか」と様子を気にするそぶりを見せるも、対応などの指示はなし。「本人への連絡はついたりつかなかったり」といい、亀岡氏の動向を把握できていないという。


 報道各社は26日午前から亀岡氏側に説明を求め、同日午後3時半ごろには、毎日新聞を含む県内の報道16社が加盟する福島県政記者クラブと社会記者クラブが連名で、亀岡氏側に説明の場を設けるか、公式な声明を発表することを求める申し入れ書を提出した。だが、亀岡氏は午後6時までに対応しなかった。


 今回の衆院選は県内の小選挙区の区割りが見直され、亀岡氏が自民党公認で立候補した新1区は、浜通り地方の相馬市、南相馬市などが外れ、新たに二本松市などが加わった。亀岡氏は8万4351票を得たが、一騎打ちとなった立憲民主党の金子恵美氏(59)に約4万票の差をつけられて落選。衆院選に先立つ党内アンケートでは、旧安倍派に所属し、政治資金収支報告書(5年分)で348万円の不記載・誤記載があったと答えていた。


 選挙情勢に詳しい県議は「区割りの変更で新しい選挙区になり、二本松市などは激戦区だった。顔を売るために祭りを利用したのではないか。そもそも、亀岡氏は裏金問題を抱えながらの選挙で逆風もあった。比例復活もなくなり、切羽詰まっていたのだろう」との見方を示した。


 衆院選後、亀岡氏は自民党県連会長を辞めたが、来年夏の参院選に合わせた衆院の解散・総選挙がささやかれる中、進退が注目されていた。書類送検容疑で罰金刑以上が確定すれば原則5年間、公民権が停止されるため、政治活動の続行が厳しくなることが予想される。


 自民党県連の矢吹貢一幹事長は「立件されるかどうか推移を見守るが、事実だとすればしかるべき処遇が必要になる。本人が説明責任を果たしてほしいというのが私の気持ち。衆院選では厳しい民意をいただき、来年夏の参院選に向け立て直しをしていかなければならない一番大事な時に、残念でならない」と話した。


 衆院選で亀岡氏を支援した公明党県本部の伊藤達也幹事長は「今回の書類送検は、政治不信を招く結果となるもので大変残念。司法の判断に委ねられてはいるが、亀岡氏がしっかりと国民に対して説明責任を果たすべきだ」と求めた。


 一方、立憲民主党県連の宮下雅志幹事長は「残念な思い。普段は慣習で行っているようなことであっても政治家の立場ではやってはいけないことであり、認識が甘かったのか。お金を持っている候補者がどんどん有利な状況が生まれてしまって公平公正な選挙にはならず、公職選挙法はしっかりと守らなければならない」と苦言を呈した。


 共産党県委員会の町田和史委員長は「事実なら許されない話で、分からなかったでは済まない。自民党政治の古い体制を象徴するような話だ。金にまみれた選挙をただし、金権腐敗を撤廃するため取り組んでいく」と語気を強めた。



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