2025年度予算案の防衛関係予算は、前年度比9.4%増の8兆7005億円(デジタル庁所管分を含む)となり、11年連続で過去最大を更新した。反撃能力(敵基地攻撃能力)整備の一環として多数の小型衛星で目標を探知・追尾する「衛星コンステレーション」を構築するため、2832億円を計上。自衛官のなり手不足解消に向けた処遇・勤務環境改善に4097億円を充てた。
防衛力整備計画は23〜27年度の予算額を43兆円程度と定めており、25年度は3年目に当たる。
敵の射程圏外から対処するスタンド・オフ防衛能力の強化では、新たに艦艇発射型の「12式地対艦誘導弾能力向上型」の取得に168億円を計上。潜水艦に搭載可能な垂直誘導弾発射システム(VLS)の研究費に297億円を充て、発射プラットフォームの多様化を進める。
部隊の通信需要増大を踏まえ、次期防衛通信衛星の整備に1238億円を確保した。
石破茂首相肝煎りの自衛官のなり手確保に向けては、手当の新設など処遇改善に167億円を積んだ。隊舎の個室化など生活・勤務環境の改善には3878億円を投じ、人手不足の解消を急ぐ。
無人装備品の導入も進め、洋上での情報収集・警戒監視を強化する滞空型無人機「シーガーディアン」2機の取得関係費に415億円を充てた。英国、イタリアと共同で進める次期戦闘機の開発費用として1087億円を計上し、政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」に拠出する。
陸海空各自衛隊の情報共有強化を目的にシステムを一本化する「防衛省クラウド」の整備に970億円を盛り込んだ。