【モデルプレス=2024/12/28】2025年1月2日放送のTBS系新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(よる9時〜)で主演を務める女優の松たか子(まつ・たかこ/47)にインタビュー。姉弟役で共演した多部未華子、松坂桃李との撮影時の微笑ましいエピソードや脚本家・野木亜紀子氏による当て書きという自身の役について語ってもらった。<前編>
【写真】松たか子・松坂桃李ら豪華集結ショット
◆松たか子主演「スロウトレイン」
ドラマ「空飛ぶ広報室」(2013/TBS系)、「逃げるは恥だが役に立つ」「重版出来!」(ともに2016/TBS系))、映画「罪の声」(2020)など数々の作品でヒットを生み出してきた脚本・野木×演出・土井裕泰が再びタッグを組み手掛けた本作。変わりゆく時代の中でも普遍的に在り続ける「家族」を通して、痛快で、胸が高鳴り、最後には思いっきり笑顔になれる、宝物のような新時代のホームドラマとなっている。
松と土井氏は、同局系ドラマ「カルテット」(2017/TBS系)ぶりのタッグ。本作では、渋谷家の長女でフリーの編集者・葉子を演じる。
◆松たか子、多部未華子&松坂桃李は「最高の妹と弟」
― まずは、オファーを受けた時の心境を教えてください。
松:脚本をいただく前に、演出の土井監督の卒業制作ということで声をかけていただきました。土井さんにはTBSの連続ドラマで大変お世話になっていたので、ぜひやらせていただきたいと思いましたし、声をかけていただいてすごく嬉しかったです。野木さんとは今作で初めてご一緒したのですが、脚本を読んですごく感動しました。それと同時に、葉子は地に足がついてしっかり生きている人なので、自分が演じてちゃんと説得力があるのか、葉子としていられるのか、すごく難しいなと感じたことを覚えています。でも、この脚本にとても感動しましたし、こんな素敵なドラマに参加できることがとても幸せで撮影日を楽しみに待っていました。
― 妹・多部未華子さん、弟・松坂桃李さんという3人での姉弟役はいかがでしたか?
松:映像作品ではお二人とも初めてだったのでとても楽しみでした。多部さんは舞台でご一緒していたのですが、物語上関わる場面が少なかったので、「今度はドラマで、しかも姉妹役で改めて共演できるなんて楽しみだね」と言っていたのですが、蓋を開けたら(多部演じる都子が)釜山に行っちゃって、私は松坂くんと共に行動することが多かったです(笑)。ただ、2人とも本当に最高の妹と弟でした!撮影中、3人で「この場面どうしよう?」みたいなことを話す必要がないぐらい、お二人ともただただ居ることのできる俳優さんたちなので居心地が良くて本当に楽しかったです。
◆松たか子、星野源とドラマ初共演「とても安心感がありました」
― 星野さんとの共演はいかがでしたか?
松:星野さんは、お芝居をご一緒するのは初めてです。以前は年末に他局で放送される“某アワード”でお会いしていましたが、知っていたようで知らなかったような感覚でした(笑)。(星野演じる)百目鬼先生とのやりとりはすごく楽しかったです。ドラマを観ていただくと分かるかもしれませんが、葉子と百目鬼の相性が良いんじゃないかなと私は感じていて、それくらい話す内容や感覚、物の見方が似ていて、会話も弾むしキャッチボールが楽しい関係でした。そんなことを思いつつ、ドラマでは百目鬼先生がまさかの…という展開です(笑)。
また星野さんは、野木さんのドラマを多く経験されていて野木さんのムードをよく分かっていたので、星野さんのリズムに応えていけばより良くなっていくような気がして、そういった意味でもご一緒していてとても安心感がありました。
◆松たか子、“当て書き”葉子役を分析
― 野木さんいわく、松さん演じる葉子は当て書きとのことですが、ご自身と似ているなと感じるところはありましたか?
松:3姉弟と星野さん、チュ・ジョンヒョクさんで読み合わせをした時、野木さんに初めてお会いして「当て書きです」と言われ、自分では共通点も似ているところも分からなかったですが、きっとそのままやればいいのかなと考えました。葉子は周りの人達から見れば「色々背負って大変ね」と思われる女性ですが、それを人に分かってもらおうとするのではなく、そんなことは百も承知の上で、壁に当たる度に自問自答しながら今日なり明日なりを生きようとする人だと捉えています。なかなかそんな風に強くはいられないですが、すごく共感できる部分でもありました。あと、百目鬼先生や目黒さん(井浦新)みたいに話を聞いてくれる人がちゃんといるので、そういった周りの存在も含め素敵な女性だなと思いました。
― 土井さんの演出によって、台本で読むよりも映像で実際に観た方がよりユーモラスな印象を受けました。松さんは、土井さんと再タッグとなりますが、今作の中で土井さんらしさを感じた演出や印象に残っていることはありますか?
松:土井さんは、たとえ不満を抱えていたとしても、それを1ミリも出さず待ってくださるんです。上手く私たちを引っ張ってくれて、お芝居をよく見て下さる監督さんだと思います。決して誰も傷つけないですし、かといって何も言わないわけではなく、我々俳優に限らず、若いスタッフの方たちにもさりげなく教えられています。だからシーン作りに関しても、特別何か言ったりするのではなく温かく見守りながらいつの間にか撮っているような雰囲気です。でも脚本から印象が変わったというのは、きっと土井さんが一人ひとりの俳優が持つ個性を受け入れてくれたことで変化した部分があるのかもしれません。確実に起きていることを見守ってくれる信頼できる監督さんです。
◆松たか子、多部未華子&松坂桃李との撮影エピソード
― 姉弟役の多部未華子さん、松坂桃李さんとの共演が特に多かったと思いますが、撮影現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。
松:色々話したりもしていたのですが、黙って待っていることもできるお二人だったので、無理せず過ごせる空気感でした。ただ、松坂くんと多部さんの方が年齢も近いはずなのに2人が全然話さないので、最初は「え、もしかして仲悪い?」と心配になり、多部さんにそっと聞いたら「いや、なんなら恋人役もやってますし、全然仲良いですよ」と言われて「なんだ、言ってよ!」と驚きつつホッとしました(笑)。普通に話すこともあるけど黙ったままでも一緒に過ごすことができる2人なんだと感じました。
あとは、釜山ロケがなかなか晴れない(笑)!撮影中は皆で辛抱強く待機していて、1日伸びたりすることもありました。でも、そういう待ち時間に絆が深まったような気がします。待ち時間でInstagramの話になった時「松坂くんはインスタやってないんですね」(松)、「はい」(松坂)みたいな話をしていたら、その撮影が終わった数日後に「松坂桃李Instagram開設」と話題になっていたので「あれ?」「どういうこと?」となりました(笑)。
― (笑)。松坂さんは、その会話がきっかけで始められたということなんでしょうか?
松:いや、それは分かりませんが。でも松坂くんは「言いづらくなっちゃいました」と言っていたので、気を遣わせちゃったなと(笑)。そんなこともありながら皆で楽しく待つことができました。3人で釜山に行けて良かったです。
★人生の分岐点や、韓国チームとの撮影について語ってもらったインタビュー後編も公開中。
(modelpress編集部)
◆松たか子(まつ・たかこ)プロフィール
1977年6月10日生まれ、東京都出身。1993年、歌舞伎座「人情噺文七元結」で舞台デビュー。以後、ドラマや映画、舞台などで活躍し、「ロングバケーション」(1996/フジテレビ系)、「HERO」(2001/フジテレビ系)、「カルテット」(2017年/TBS系)などヒットドラマに多数出演。1997年には「明日、春が来たら」で歌手デビューも果たし、俳優業と並行して音楽活動を続けている。近年の主な出演作は、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021/TBS系)、「オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ シーズン2」(2022/NHK)、映画「峠 最後のサムライ」「土を喰らう十二ヵ月」(ともに2022)、「松尾スズキと30分強の女優」(2023/WOWOW)、舞台「パ・ラパパンパン」(2021)、「兎、波を走る」(2023)など。主演映画「ファーストキス 1ST KISS」が2025年2月7日に公開を控える。
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