『サユリ』 ©2024「サユリ」製作委員会/押切蓮介/幻冬舎コミックス 近年、再びJホラーが盛り上がりを見せている。2024年は日本のホラー復活を決定づける1年だったと思う。今回、今年公開された国産映画のなかでも特に恐ろしく、そして印象に残った3本を紹介したい。
『サユリ』
近年調子を取り戻しつつあるJホラー界。そして2024年夏、遂に決定打となる傑作が誕生した。
この映画には二つの面があり、特に後半から繰り広げられる婆ちゃん無双が注目されがちだが、実はサユリが家族を一人ずつ消していく前半パートも非常によくできている。
サユリの姿の現し方は禍々しく、家族が追いつめられる様の絶望感も凄まじい。子供ですら容赦なく惨殺される。これぞホラー!と言いたくなる恐ろしさだ。そんな抗いようのない恐怖がしっかりと表現されているからこそ、あの後半が活きてくる。
怒りと憎しみと生(せい)の逞しさに満ちている。文句なしで怖面白かったです。
『劇場版 ほんとうにあった怖い話〜変な間取り〜』
正直観る前は少し侮っていたんです。「変な間取り」というサブタイトル。明らかに変顔で怖がるマユリカの阪本さん(ごめんなさい!)が映るポスター。しかし本編を観たら、まさかまさかのおふざけなしでしっかり怖い心霊譚だった。
ある一軒家を舞台に3つの異なるストーリーが繋がっていく構成に背筋が凍る。特に1話目のファウンドフッテージ・エピソードの生々しさ、意味不明さがヤバすぎる。2002年という時代設定も絶妙だ。
その他の2話もジワジワと恐ろしさが募る内容。3話目のラストには感心してしまった。こういう作品に当たることがあるから、ホラー発掘はやめられない。
『あのコはだぁれ?』
清水崇監督と言えばJホラー界のトップランナー。彼が「GENERATIONS from EXILE TRIBE」を主役に添えて作り上げた『ミンナのウタ』は、アイドルホラーのギリギリを攻める秀作だった。その世界観を拡張させる本作は、前作以上に怪異の手数を増やした、清水監督らしさ全開の素晴らしい仕上がりだ。
あらゆる空間やアイテムを超有効活用する幽霊の多彩な出現方法、地獄のループ、そして時空のゆがみ。これまでの清水ホラー集大成というべき内容である。渋谷凪咲演じる教師が家庭訪問に訪れる一連のシーンは本作の白眉。あまりの怪異の畳みかけに圧倒されてしまった。
怪異48手どころじゃない。何回か見直して心霊分析をしたいと思わされる見ごたえのある作品だ。
(人間食べ食べカエル)