『スター・ウォーズ』新作ドラマ『スケルトン・クルー』で描きたかったこと 監督&脚本家インタビュー

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2024年12月29日 15:30  ORICON NEWS

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謎のジェダイ、ジョッド・ナ・ナウッド()ジュード・ロウ)=『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』第3話より(C)2024 Lucasfilm Ltd.
 ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」にて配信中のオリジナルドラマシリーズ『スター・ウォーズ/スケルトン・クルー』。本作に監督と脚本として参加した、「スパイダーマン」シリーズで知られるジョン・ワッツ(以下、J)とクリストファー・フォード(以下、C)にインタビューした。

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 本作の時代設定は、映画『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(エピソード6)』で帝国軍が滅び、銀河に新共和国体制がもたらされた比較的、平和な時期。賞金稼ぎ“マンダロリアン”と、フォースの力を秘めた子ども“グローグー”との危険な冒険を描いた「マンダロリアン」シリーズや、アナキン(のちのダース・ベイダー)唯一の弟子アソーカ・タノの活躍を描いた『スター・ウォーズ:アソーカ』と同じ。

 ある日突然、平和な惑星から地図すらもない広大で危険な銀河に迷い込んだ“4人の子どもたち”が、故郷に帰るための壮大な冒険を描くスペース・アドベンチャー。

――お二人に質問です。本作の撮影や脚本執筆にあたって、参考にした映画やシリーズがあれば教えてください。

C: たくさんあります。僕たちが育った映画は、すべて想像の中に存在しているようなものだからです。それらは常に心の中で渦巻いています。

J: 僕たちは「この映画とこの映画を参考にしよう」と意識的に決めたわけではありません。

C: ただし、脚本を書く際に「この瞬間だけは『E.T.』のようなショットにしよう」といったことはありましたね。

J: ちなみに、このインタビューを受けている間、僕が考えていた参考作品の1つは『レベルポイント(原題:Over the Edge』(1978年)です。観たことありますか?

――『レベルポイント』ですか?

J: そうです。マット・ディロンが13歳のころ出演した映画で、郊外の孤立したコミュニティの物語です。この作品と大きな共通点があると気づきました。でも、僕たちにとってこれらの影響は無意識的なものなんです。僕たちはただ、良い物語を作ろうとしているだけです。

――『スター・ウォーズ』ファンはもちろん、初心者や詳しくないファンでも楽しめるストーリーにするために意識したことは?

C: 『スター・ウォーズ』の熱烈なファンにも没頭して楽しんでもらいたいと思いました。その一方で、僕たちの主人公である子どもたちは『スター・ウォーズ』に詳しくありません。これが面白い効果を生むんです。観客が子どもたちよりも一歩先を知っていることで、緊張感が生まれます。でも、新しいファンが何も知らずに見始めても楽しめるようにしました。僕たちの目標は、『スター・ウォーズ』の大ファンも、初めて観る人も一緒に楽しめる作品を作ることでした。

――危険な銀河に迷い込んだ“4人の子どもたち”の前に現れる“謎のジェダイ”役にジュード・ロウさんをキャスティングしたとき、彼にどんな期待を抱き、どのように応えてくれましたか?

J: 彼は僕たちの期待をすべて超えてくれました。

C: その通りです。

J: 彼は素晴らしい俳優で、僕はずっと彼の大ファンでした。『ガタカ』(1997年)が最初に彼を観た映画です。それは、『スター・ウォーズ』特別篇(『スター・ウォーズ』20周年を記念して製作された)が公開されたのと同じ年です。だから1997年に、僕の頭の中ですべてが融合していたんです。そして驚いたのは、彼が『スター・ウォーズ』の熱狂的なファンだったことです。彼が加えた深みや複雑さには、僕たちも驚かされました。

C: さらに、現場では子どもたちの指導者的存在でもありました。ゲームを通じて子どもたちがせりふを練習できるようにしてくれたり、現場のトーンを作ってくれたりしました。彼は私たちにとって最高のパートナーでした。

J:そうなんです。彼がいてくれて幸運でした。ことあるごとに「ありがとう!」と思っていました(笑)。

――子どもたちの演出で心がけたことは何ですか?

J:子どもたちが楽しくワクワクするような環境を作って、子どもたちが自分らしく自由に振舞ってもらうことでした。10歳特有の魔法のような瞬間を捉えたかったので、せりふや立ち位置など技術的な制約を感じさせないように心がけました。

――子どもたちの中で、ゾウのようなかわいらしい見た目で人気を呼んでいるニール役のロバート・ティモシー・スミスさんの撮影プロセスについて教えてください。

J: 実際の10歳の子どもたちが演じるカオスやエネルギーを活かしたかったので、彼に演じてもらいました。ロバートの顔をフェイシャルキャプチャーで撮影し、せりふも録音し、さらにゾウのアニマトロニクスをかぶったパフォーマーがロバートの動きを真似して、顔はライブでアニマトロニクスを操作したんです。10歳の子どものニュアンス豊かな演技の最良の部分を全部用いながら、ILMの最先端の特殊効果を使って全てをスムースに融合させ、こうした技術と演技を組み合わせることで、キャラクターにリアルな生命感を持たせることができました。

――このプロジェクトの目標と、それを達成できたかどうか教えてください。

C:ワーオ、それは社員評価みたいですね。

J: 僕が目指していたのは、子どものころ、何もない場所をぶらぶらと歩き回っていたときの感覚を表現することでした。僕は田舎の何もない場所で育ったので、野原にふらっと出かけて行って、そこで何か冒険や素晴らしいものに出会うことを期待していたんです。何か特別な、人生を変えるようなエキサイティングな冒険に出る感覚ですね(笑)。そんな体験を通して感じる帰属意識や希望のようなものを、この作品で描いてみたかったんです。だから、もしこの作品を見ている間に、観客が僕と同じような気持ちを抱いてくれるなら、それが僕にとっての成功だと思っています。

C: 僕は、子どもたち彼らに特別なスーパーパワーはないけれど、現実的な困難を乗り越える姿を見せることに挑戦しました。通常の『スター・ウォーズ』のキャラクターたちは、敵から逃げたり、宇宙船に飛び乗って出発したりすることができます。でもこの物語に登場する子どもたちは、そう簡単にはいきません。場合によっては、逃げることすらできないかもしれない。転んで捕まってしまうかもしれません。あるいは、もし宇宙船にたどり着けたとしても、そもそもパワーの入れ方を知らないかもしれない。そうしたチャレンジは、一見とても単純に見えますが、子どもであるがゆえに少しだけ異なり、特別なんです。それが僕たちの描こうとしたテーマであり、物語の核心でもありました。

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