フォーミュラ導入のKYOJO CUPは「ハードルがかなり上がる」と坪井翔。テストで感じたKC-MG01の乗り味

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2024年12月29日 18:50  AUTOSPORT web

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2025年からKYOJO CUPに導入される新型フォーミュラ車両の『KC-MG01』
 12月21〜22日の2024年最終戦で今季の戦いを終えた女性レーシングドライバーによるKYOJO CUPは、2025年シーズンから新型フォーミュラ車両『KC-MG01』が導入される。すでに何度かテスト走行が行われており、第2回シェイクダウンでドライブした坪井翔にマシンの印象を聞いた。

 2017年のシリーズ誕生からVITA俱楽部製の『VITA-01』をワンメイクマシンとして採用してきた女性限定レースシリーズのKYOJO CUP。2025年シーズンからは「女性レーシングドライバーを育成し、彼女たちのアスリートとしての価値を上げる」という理念に向け、2025年からハイブリッドシステム搭載の新型フォーミュラ『KC-MG01』を導入する。

 日本のモータースポーツファンにもおなじみのKCMGが製作するKC-MG01は、パワーユニットに1.4リッターターボエンジンとハイブリッドシステムを搭載し、6速パドルシフトに頭部保護デバイス“Halo”などを装備するF4シャシー。マシンは全車がKYOJO CUPで管理され、可能な限りイコールコンディションを保ってエントラントへ貸し出される。

 7月の発表以降、何度かシェイクダウンを兼ねたテスト走行が行われているKC-MG01。第2回走行時にステアリングを握った坪井にその感触を聞くと「まぁ言ってしまえば、F4マシンですね」と言うものの、日本でのFIA-F4選手権でのマシンとは異なる部分もあると続ける。

「日本のFIA-F4マシンにはターボチャージャーが付いていませんが、KYOJOフォーミュラのKC-MG01にはターボチャージャーが付いているので、その部分はF4車両と異なります」

「なので、ターボラグ(※スロットルを踏んでからターボが効くまでのタイムラグ)”もありました。僕はスーパーフォーミュラやスーパーGTのGT500クラスでターボ車両に乗っているので慣れていますけど、初めて乗る人だと『ターボラグはこんな感じなのか』と感じることができるくらいのターボラグはありましたね」

 日本のFIA-F4では2015年にチャンピオンに輝いている坪井。一概に比較することは難しいものの、当時と比べてもKC-MG01のほうがストレートスピードが少し速く、ターボ搭載ということで加速も優れているという印象を受けたとのこと。また、実際に乗ってみて感じた部分もあるという。

「僕が乗っていたころのFIA-F4はデフ(デファレンシャルギヤ)の影響でタイヤの空転が多かったのですけど、KC-MG01はほとんどありませんでした。また、FIA-F4のほうがダウンフォースレベルがどちらかというと低くハコ車寄りであったのに対し、KC-MG01はダウンフォースが少し多めに感じたので、よりフォーミュラカーのようなクルマでした」

 ハイブリッドシステムについては、坪井がドライブしたときはまだシェイクダウン時のテスト走行ということもあり、あまり感じることはできなかったとのこと。また、日本のFIA-F4はダンロップタイヤがワンメイク供給を行っているが、テストで履いたのはブリヂストンタイヤだったため、そのあたりの“キャラクター違い”を感じたと坪井。ただ、やはり今までのVITA-01とは「まったく違う」クルマになっていると続ける。

「VITA-01はレーシングカーではありますがフォーミュラカーではないですし、ラジアルタイヤでシフト操作がHパターンなので自分で操作する必要があります。速度域もまったく異なり、ラップタイムはおそらく15秒くらい違うので、まったく別のクルマです」

「そういった意味では、KC-MG01はすでにフォーミュラ経験を持っている人なら、すんなりと乗ることができると思います。でも、これまでVITA-01しか乗ったことのない人にとっては、まずしっかりと乗りこなすことが大変ですし、ステアリングもそれなりに“重め”でした」

「速度域が上がって体にかかるGが高くなるので、首や腕などのフィジカル面もけっこう辛くなるはずです。そういった部分の準備を入念に行わないと、しっかりと走らせることが難しいのではないかと僕は思っています。来年からは女性ドライバーがKYOJO CUPでフォーミュラカーに乗ることになりますけど、ハードルがかなり上がる印象はありますね」

 KC-MG01の印象をそのように語った坪井。シリーズを開催するインタープロトモータースポーツの関谷正徳代表は、2025年からの導入に向けて「やらなきゃいけないことは多いが、今のところ順調に進んでいる」と進捗を語った。

 すでにTOYOTA GAZOO Racingが支援拡大を発表し、2025年シーズンはスーパーフォーミュラなどに挑んでいる6チームから9名の参戦が明らかになっているKYOJO CUP。「盛り上がると思いますよ」と関谷代表が言うとおり、早くも注目度が高まっていることを感じる。

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