【映画大賞】齋藤潤、17歳最年少「石原裕次郎新人賞」に「映画への愛持ち続けたい」/ロング版

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2025年01月01日 11:00  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

石原裕次郎新人賞を受賞し、花束を手に笑顔を見せる齋藤潤(撮影・江口和貴)

第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が先月28日に発表され、齋藤潤が、史上最年少の17歳で石原裕次郎新人賞に輝いた。「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」、「カラオケ行こ!」「瞼の転校生」の演技で、裕次郎さんをほうふつとさせる将来性が高く評価された。


   ◇   ◇   ◇


裕次郎さんをイメージしたというダンディーなスーツ姿で表彰を受けた齋藤は「新人として、いつかは自分も、とあこがれていた賞だったので本当に光栄です。偉大なお名前を冠した賞に恥じないよう、自分の弱さからも目を背けず前に進んでいきたい」とまっすぐに語った。


17歳での受賞は、22年に受賞した道枝駿佑の20歳を塗り替える最年少記録。この場で初めて知り「そうなんですか? 急に心臓にきた」と初々しい笑顔をみせた。「映画を見てくださった方、選んでくださった方々への感謝を忘れず、映画に対する愛をこれからも強く持ち続けたい。そこは絶対ブレたくないです」。


「踊る大捜査線」シリーズの再始動で話題を集めた「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」では、警察を辞めた室井(柳葉敏郎)の元で暮らす被害者家族の高校生、貴仁を演じた。


97年にスタートしたテレビドラマはもちろん、観客動員1260万人、興行収入173・5億円で今も邦画実写映画の頂点にある「踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(03年)を知らない世代。「出演が決まって、『やばい、知らない』と思って急いで見たのですが、偉大さ、スケールの大きさにびっくりしました。そのシリーズに自分が出ているなんて、スクリーンで見ても本当に自分なんだろうかと今でも不思議な気持ちです」。


母親の命を奪った加害者と刑務所で対面する場面は、物語を大きく動かす重要シーン。毅然(きぜん)としたみずみずしい演技は高い評価を集めた。


「大きな山で緊張しましたが、室井さんとの暮らしで成長した貴仁の“静かな強さ”を出せたらいいなと、覚悟をちゃんと自分の中で持って行きました」。貴仁の中に宿る室井イズムを表現しようと、室井のしぐさを演技にしのばせる攻めっ気もみせた。「“室井家の長男”として、室井さんの動作をひとつ寄せられたらと思ったのですが、弱かったみたいで、しっかりカットされていました」と屈託がない。


綾野剛(42)主演の「カラオケ行こ!」では、初対面のヤクザにカラオケの歌唱指導をすることになる合唱部部長を演じ、かみ合わない会話と奇妙な友情で受け手の心をつかんだ。


ヤクザが愛したX JAPANの「紅」を絶唱する「紅だあああーー!」の雄たけびは名場面のひとつ。「監督が『歌うんじゃなくて叫びだ』と言ってくださったので、不安は取っ払って叫びました」。主演の綾野にも感謝している。「映画に出演し始めたばかりだったのですが、剛さんからいただいた愛がすごく大きくて、いろんな作品や役柄に向き合う上で僕の核になっています。僕にとって大きな挑戦のスタートが『カラオケ行こ!』で良かったです」と話す。


「キングダム」(19年、主演山■(■は崎の大が立の下の横棒なし)賢人)を見て感動し「自分もスクリーンの中に立ちたい」と俳優の道へ。昨年は5本の映画に出演した。「立ちたいと思っていたところにたくさん関わらせてもらいました。自分1人の力ではなく、たくさんの方の支えがあってのことだと思っています」。また「感謝と同時に、まだまだな自分もすごく感じた1年でした。役への愛情を、これからも忘れずに進んでいきたいです」。【梅田恵子】


◆齋藤潤(さいとう・じゅん)2007年(平19)6月11日生まれ、神奈川県出身。19年、テアトルアカデミー第5回モデルグランプリ・ユース部門でグランプリを受賞し芸能界入り。「パパとムスメの7日間」(22年)、「トリリオンゲーム」(23年)などドラマ出演のほか、23年に「正欲」で映画デビュー。特技はサッカー、アクション、殺陣。


◆カラオケ行こ! 中学3年生の合唱部部長・岡聡実(齋藤)は突然、ヤクザの成田狂児(綾野剛)からカラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。嫌々ながら指導を行う聡実。2人が打ち解けていく中、事件が起こる。


◆瞼の転校生 大衆演劇の世界に生まれた裕貴(松藤史恩)は公演に合わせて転校を繰り返す生活を続け、中学生になった。ある中学校に転校した裕貴は、成績はトップだが不登校の健(齋藤)に出会う。限られた時間の中で2人はかけがえのない日々を過ごす。


◆「室井慎次 敗れざる者」「−生き続ける者」 室井慎次(柳葉敏郎)は警察の組織改革に挑むも、27年前に刑事・青島俊作(織田裕二)とかわした約束を果たせずに退職。故郷の秋田に帰郷すると、ある事件で母を失った森貴仁(タカ、齋藤)らの里親になり一緒に暮らし始める。

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