現行のF1チームは、義務化されている冬季休暇を終えて1月2日に各々の作業を再開したが、2024年コンストラクターズ世界選手権の最終順位に基づく、風洞試験とCFDキャパシティと使用時間を定める新体系の適用が始まっている。
1998年以来となるタイトルを獲得したマクラーレンは、利用できる時間とキャパシティがもっとも少ないチームとなる。一方で、チャンピオンシップ最下位に終わったザウバーは、他のどのチームよりも多く風洞を使用し、CFD処理を行うことができる。
しかし、現在の10チームと同じルールに従わなければならない11番目のチームが存在する。キャデラックは2026年初頭からF1の競技者となることを認められていることから、風洞使用時間とCFD処理の制限が、今年初めから適用されることになる。
このアメリカのメーカーはまだF1に参戦していないが、スポーティングレギュレーションでは、新チームには前シーズンに最下位となったチームとまったく同じ空力テスト制限が課されることになっている。つまり、キャデラックは今年の最初の6カ月間はザウバーと同等の立場となり、それ以降は6月末にコンストラクターズ選手権で最下位となったチームと同等の立場となる。毎年、最初の6カ月が終わった時点の順位を反映してこれらの制限が再調整されている。
新参者のキャデラックと既存チームのザウバーの唯一の違いは、スイスのチームが2025年型マシンの設計と開発のために依然として風洞実験とCFD計算を行うのに対し、マイケル・アンドレッティが当初結成したチームは、来年の真新しいシャシーの設計と開発に全面的に関わることになるという点だ。
最終的なテクニカルレギュレーションが12月12日に発表されたことを考えると、ライバルに対するキャデラックの理論上の優位性は低いと見るべきだろう。これは、シルバーストンとインディアナの拠点の両方で作業する準備ができているキャデラックのスタッフがまだ比較的少ないことに加え、風洞とCFDプログラムのレベルを現在のF1チームの水準まで引き上げる必要があるためだ。
チームは現在、大西洋の両側で働く人材を積極的に探しており、F1での経験がある人にとって魅力的な給与を提示するとともに、現在の所属チームで配置されているポジションよりも上のポジションをオファーしている。
シルバーストンで働くスタッフの数は、今後6カ月で倍増すると予想されている。キャデラックが契約しているスタッフ数は、ウイリアムズやレーシングブルズのようなさらに小規模なチームのスタッフ数とさえ大きな差がある。そのため新チームを率いるグレアム・ロードンと彼のスタッフは、今後12カ月でかなり追い上げなければならない。