住友ゴム工業は1月8日、グッドイヤーより欧州、北米、オセアニアにおけるダンロップ商標権等を取得するべく、譲渡契約を締結したと発表した。取得額は約826億円となる。
1888年にアイルランドの獣医ジョン・ボイド・ダンロップが『空気入りタイヤ』の特許を取得したことに始まったダンロップブランドは、その長きにわたる歴史的経緯から国・地域によりブランド取得法人が異なっている。
おおまかには、欧州、北米、オセアニアではグッドイヤー、アジア、アフリカ、南米では住友ゴム工業がダンロップの商標権を持ち、それぞれの商標権エリア内でダンロップブランドでのタイヤ事業を展開。そのため、住友ゴムは欧州、北米、オセアニアでは『ファルケン』ブランドを展開していた。
ただ、今回の商標権取得により、一部の地域や商材を除いて、住友ゴムがグローバルにダンロップブランドを使用したタイヤ事業の展開が可能となった。
「当社グループは、1980年代に各国のダンロップ社を買収し、日本に加えて欧州、北米でもダンロップブランドのタイヤを生産・販売していた歴史を持っています。今回の取得によりほぼ全世界でダンロップブランドを使用できるようになったことは、当社グループにとって大きな機会であり本当にうれしく思います」と、住友ゴム工業の山本悟代表取締役社長はコメント。
「今後は新たに権利を得た地域はもとより、既存の地域も含め、ダンロップブランドを最大限有効に活用し、Purpose(パーパス:私たちの存在意義)である『未来をひらくイノベーションで、最高の安心とヨロコビをつくる』の実現に向けた取り組みをさらに加速させます」
今後、住友ゴム工業はダンロップを基幹ブランドに位置付け、タイヤ事業とスポーツ事業の共同でブランド強化活動を推進していくという。
また、同社のリリースには「モータースポーツでのブランド投資やテニスでのグローバルマーケティング活動を加速させていくことで、全世界におけるダンロップブランドの価値を高め、お客様に選ばれるブランドに育てていきます」と、モータースポーツでのブランド投資にも触れられており、モータースポーツファンにとっては今後の更なる展開が楽しみに違いない。
なお、これまで住友ゴム工業が欧州、北米、オセアニア地域で展開してきたファルケンブランドについては、「各地域で培った商品企画力やマーケティング力を生かし、ファン層に向けたエッジの効いた商品等に注力していきます」とのことで、ダンロップブランドとは一味違った展開に期待したいところだ。