不眠、不安、イライラ......日常生活の不調を改善する食生活や生活習慣を人気漢方家がアドバイス
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2025年01月08日 18:10 BOOK STAND
病院に行くほどではないと感じるけれど、日常生活でよく陥る不調ってありますよね。そんな日ごろの悩みを中心に、主に中医学の視点から、ときには個人的見解や体験談も含め、不調の原因や対処法を紹介するのが、漢方家・櫻井大典さんが上梓した『こころゆるませ漢方養生』です。同書には、これまで自身が築いてきた性格や思考、体などはそのままに、生活習慣や食習慣を少し変えることで期待できる養生法がいろいろと記されています。
たとえば、現代では多くの人が抱えている「不眠」。「なるべく早めにベッドに入るようにしているのですが、なかなか眠りにつけず寝不足の日々が続いています」と悩む人に対し、櫻井さんは「『陰』と『陽』のバランスが崩れている可能性があります」(同書より)とアドバイスします。中医学では、この世の万物すべては「陰」と「陽」のどちらかに属しているとされ、人体に当てはめると「陽」は「活動すること、興奮すること」に属し、「陰」は「リラックスすること、睡眠」などに属するそうです。そのため不眠は、「陽」の力を「陰」が制御しきれていないから、うまく眠りに入り込めないと考えられます。
ここで大切なのが、自身が「陽」のパワー過剰の状態なのか、それとも「陰」のパワー不足の状態なのかを見極めること。「水は1日2リットル」「ホットヨガで発汗」といった生活習慣が合う人もいる反面、体質によってはそれが眠りにとって逆効果なことも......。自身の体質が「陽」が強いか「陰」が弱いかによって、摂取すべき食べ物や取り入れるべき生活習慣などが違ってくるそうです。気になる方はぜひ同書でチェックしてみてください。巻末には、「気」を巡らせる理気食材、「血」をつくる補血食材など、効果が期待できる食材の一覧表も掲載されており、普段の食生活にも取り入れやすくなっています。
ほかにも「不安になる」「イライラする」「気力がない」「痩せる・太る」「PMS(月経前症候群)や生理痛がひどい」など日ごろの困りごとについて取り上げている同書。櫻井さんが薦める中医学は「自然科学を基に、これまで積み上げてきた膨大な知識を駆使し、症状から想像しうるあらゆる改善策を考え、対策を講じます」(同書より)というのが強み。同書で紹介されているのも、自分の体と心を大切にしながら無理のない範囲でおこなえる養生法ばかりです。また、一人ひとりに優しく寄り添ってくれるような櫻井さんの語り口に癒やされる人も多いのではないでしょうか。まずは同書を参考に、自身の悩みに即した実践法を学んでみるのもよいかもしれません。2025年、がんばりすぎず、こころをゆるませながら、自分らしく健やかに生きていきたいものですね。
[文・鷺ノ宮やよい]
『こころゆるませ漢方養生』
著者:櫻井 大典
出版社:扶桑社
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