浅野忠信×瀧内公美『レイブンズ』幸福な結婚→修羅場まで怒涛の60秒――本予告解禁

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2025年01月09日 12:11  クランクイン!

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映画『レイブンズ』本ビジュアル (C)Vestapol
 浅野忠信が伝説の天才写真家・深瀬昌久役で主演し、瀧内公美が深瀬の妻・洋子役で共演するフランス、日本、スペイン、ベルギー合作映画『レイブンズ』より、深瀬夫婦の幸福な結婚から修羅場までを映し出した本予告と本ポスタービジュアルが解禁。併せて、新場面写真とマーク・ギル監督からのコメントも到着した。

【動画】幸福な結婚→修羅場まで怒涛の60秒 『レイブンズ』本予告

 本作は、伝説の写真家・深瀬昌久と妻・洋子の波乱万丈の50年愛を、実話とフィクションを織り交ぜて大胆に描いたダークでシュールなラブストーリー。『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』のマーク・ギルが監督・脚本を務める。アメリカ・オースティン映画祭で観客賞を受賞したほか、東京国際映画祭、台北金馬映画祭、レッドシー映画祭にも出品を果たし、世界で高評価されている。

 先日、出演作『SHOGUN 将軍』で第82回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞し話題を呼んだ浅野が本作で演じたのは、伝説の天才写真家・深瀬昌久。カラスを執拗に撮り続けた代表作「鴉」(英:Ravens)は、世界の写真史にその名を刻み、高い評価を受け続けている。深瀬は、天賦の才を備える一方で、心を閉ざし、闇を抱えていた。それは異形の“鴉の化身”として現れ、芸術家への道を容赦なく説く。深瀬の最愛の妻であり最強の被写体であった洋子の存在を犠牲にしても…。写真の魔に憑りつかれた天才の光と闇、そして撮ることでしか愛しかたを知らなかった純粋さを、浅野が繊細かつワイルドに演じる。

 妻の洋子役は、海外合作映画初挑戦となる瀧内公美。洋子は写真家である深瀬の被写体にとどまらず、夫を闇落ちから守る、パワフルな存在である。そのほか、深瀬の父親の深瀬助造役に古舘寛治、深瀬の助手・正田役に池松壮亮、深瀬の行きつけの新宿ゴールデン街のバー「南海(なみ)」の店主役に高岡早紀。

 本予告は、深瀬(浅野)と妻・洋子(瀧内)が、刺激的な“屠殺場”でのフォトセッションを繰り広げる初デート、庶民的な団地での幸せな新婚生活などを経て、芸術と生活のはざまで愛憎がつのっていく様子を映し出す。「そんなものの後ろに隠れてないで、私を見てよ! カメラじゃなくて、あなたの眼で見てよ」と訴える洋子。父や助手、果てには鴉の化身からもダメだしされ、写真の魔に獲りつかれていく深瀬。ナイフをギリギリと突き立てる深瀬、そこには切り裂かれた最愛の洋子のポートレートが…。映像には鴉、猫写真の主人公サスケなど深瀬の名作写真も随所に登場する。

 本ポスタービジュアルは、マーク・ギル監督がとらえた、浅野と瀧内のモノクロの特写を使用。互いを鎖で縛りつつ、愛し合い、傷つけあい、強い眼差しで夢を追い続ける深瀬と、ミューズ以上の存在感を放つ洋子。2人の危険性をはらんだ運命の恋を表現している。下には、スペインで活躍する書家・永田充の書「鴉」を大胆に配置し、「完璧なショットが、愛を犠牲にしていく」というキャッチコピーを添えている。

 新場面写真は、深瀬の様々な表情を切り取ったもの。30代の新婚のラブラブモード、北海道の実家で結婚報告する緊張した様子、NYで成功したドヤ顔、40代の妻と別居し泥酔した姿など、浅野が魅力たっぷりに演じる姿を収めている。

 ギル監督は「『レイブンズ』は何年にもわたって繰り広げられるある種壮大なラブストーリーであるが、それは使い古された意味でのラブストーリーではない。洋子との結婚生活を例えるなら急激に変化する戦後の日本という激流をボートで下る無謀な舟遊びとでも形容するべきかと思う。私は洋子を形容するのに『ミューズ』という言葉は使いたくない。洋子は、まだ女性が自分の生き方を確立するのが困難だった日本の社会で、時代の先を歩いていた。一方で、日本の伝統や因習の中で尊敬されるべき存在であろうとした。その意味で『レイブンズ』は日本社会と家族を描いた映画になるであろう」とコメントを寄せている。

 映画『レイブンズ』は、3月28日より全国公開。

※マーク・ギル監督のコメント全文は以下の通り。

<マーク・ギル監督 コメント全文>

■マーク・ギル(監督)

深瀬昌久の作品に触れるたびに私はそのむき出しのエネルギーと卓越した技法と力強い息吹に驚かされる。そして彼の歩んだ悲劇的にドラマチックでありながら滑稽でもある人生を知った瞬間、彼の物語は素晴らしい映画のテーマになることを確信した。

『レイブンズ』は何年にもわたって繰り広げられるある種壮大なラブストーリーであるが、それは使い古された意味でのラブストーリーではない。洋子との結婚生活を例えるなら急激に変化する戦後の日本という激流をボートで下る無謀な舟遊びとでも形容するべきかと思う。

私は洋子を形容するのに「ミューズ」という言葉は使いたくない。洋子は、まだ女性が自分の生き方を確立するのが困難だった日本の社会で、時代の先を歩いていた。一方で、日本の伝統や因習の中で尊敬されるべき存在であろうとした。その意味で『レイブンズ』は日本社会と家族を描いた映画になるであろう。

伝統と歴史を犠牲にして新しい文化に傾いていく日本。欧米文化の流入と60年代70年代にピークを迎える快楽主義思想の中で、深瀬は敗戦後の混乱と古い世代との隔絶の狭間で変わっていく日本の中心に自分がいることを認識していたのである。

ここ数年来、世界の映画ファンから実話の映画化に対する欲求が高まっているのを感じる。ここに世界的な評価の高まりとともに20世紀最高の写真家の1人として言及され始めた深瀬昌久という写真家の物語がある。
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