「SHOGUN 将軍」で、日本人初となる第82回ゴールデン・グローブ賞助演男優賞(テレビドラマ部門)を受賞した浅野忠信が、伝説の写真家を演じる最新主演作『レイブンズ』から本予告と本ポスタービジュアル、新スチールが解禁された。
伝説の写真家・深瀬昌久の78年にわたる波瀾万丈の人生を、実話とフィクションを織り交ぜて大胆に描いた本作。写真に憑りつかれた天才の狂気と、撮ることでしか愛し方を知らなかった純粋さを、繊細かつワイルドに演じた浅野の魅力が炸裂する。
完成した本予告は、伝説の天才写真家・深瀬昌久と妻・洋子を演じる、浅野と瀧内公美の、刺激的な“屠殺場”でのフォトセッションの初デート、庶民的な団地での幸せな新婚家庭シーンを経て、芸術と生活のはざまで愛憎がつのっていく様子をとらえる。
「そんなものの後ろに隠れてないで…。私を見てよ…カメラじゃなくて眼で見て」と声を上げる洋子の慟哭。
父や助手、果てには鴉の化身からもダメだしされ、写真の魔に獲りつかれていく、ナイフをギリギリと突き立てる深瀬。そこには切り裂かれた最愛の洋子のポートレートが…。鴉、サスケなど深瀬昌久の名作写真が随所に登場し、否が応でもドラマティックに心をゆさぶる映像となった。
本ポスタービジュアルは、マーク・ギル監督による浅野、瀧内のモノクロの特写がメイン。互いを鎖で縛りつつ、愛し合い、傷つけあい、強い眼差しで夢を追い続ける深瀬と、ミューズ以上の存在感の洋子。危険性を孕んだ運命の恋を表現している。
また、スペインで活躍する書家・永田充の書「鴉」を大胆に配置、キャッチコピーは「完璧なショットが、愛を犠牲にしていく」と記された。
新スチールは、30代の新婚時代の深瀬、北海道の実家で結婚報告をする緊張の深瀬、N.Y.で成功したドヤ顔の深瀬、妻と別居し泥酔の40代の深瀬と、様々な表情の浅野の魅力が映し出されている。
なお、監督マーク・ギルから深瀬と洋子についてコメントが到着している。
■マーク・ギル監督「私は洋子を形容するのに『ミューズ』という言葉は使いたくない」
深瀬昌久の作品に触れるたびに私はそのむき出しのエネルギーと卓越した技法と力強い息吹に驚かされる。
そして彼の歩んだ悲劇的にドラマチックでありながら滑稽でもある人生を知った瞬間、彼の物語は素晴らしい映画のテーマになることを確信した。
『レイブンズ』は何年にもわたって繰り広げられるある種壮大なラブストーリーであるが、それは使い古された意味でのラブストーリーではない。洋子との結婚生活を例えるなら急激に変化する戦後の日本という激流をボートで下る無謀な舟遊びとでも形容するべきかと思う。
私は洋子を形容するのに「ミューズ」という言葉は使いたくない。洋子は、まだ女性が自分の生き方を確立するのが困難だった日本の社会で、時代の先を歩いていた。一方で、日本の伝統や因習の中で尊敬されるべき存在であろうとした。
その意味で『レイブンズ』は日本社会と家族を描いた映画になるであろう。伝統と歴史を犠牲にして新しい文化に傾いていく日本。欧米文化の流入と60年代70年代にピークを迎える快楽主義思想の中で、深瀬は敗戦後の混乱と古い世代との隔絶の狭間で変わっていく日本の中心に自分がいることを認識していたのである。
ここ数年来、世界の映画ファンから実話の映画化に対する欲求が高まっているのを感じる。ここに世界的な評価の高まりとともに20世紀最高の写真家の一人として言及され始めた深瀬昌久という写真家の物語がある。
『レイブンズ』は3月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)