第1話から「NHK、攻めてる!」と話題の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(1月5日スタート、NHK総合、日曜20時〜)。江戸時代の遊郭・吉原を舞台とするこのドラマでは、一見華やかな遊女たちの過酷な境遇も描かれており、なかでも「寺に全裸で投げ入れられた遊女4人の遺体」シーンに視聴者はド肝を抜かれました。
1人は、病死した朝顔役の愛希れいかで、元宝塚月組のトップ娘役。うつぶせとはいえ、元宝塚スターが全裸とはなかなかの衝撃です。
さらに、一緒に転がっていた遺体役の3人は、現役の人気セクシー女優だったことが判明。「大河にセクシー女優!?」とますます話題が沸騰しています。
◆名もなき遺体役の3人はどんな女優?
『べらぼう』は、吉原で生まれた蔦屋重三郎(横浜流星)が、喜多川歌麿や葛飾北斎らを見出し、日本の“元祖・出版王”になるまでを描くドラマ。当時の吉原では、遊女が病などで早死にすることが多く、「投込寺」と呼ばれる浄閑寺(現在もあります)に遺体が放り込まれていたのは有名な話です。
第1話で名もなき遺体役を務めたセクシー女優3人とは、プロダクション「エイトマン」に所属する吉高寧々、藤かんな、与田りん。ちゃんとオープニングに名前もクレジットされていました。
3人の所属事務所は、異例のキャスティングについて「『公共放送として適切か?』という批判も一部で見られましたが、NHK制作陣の『リアリティを追求する挑戦』に対し、最大限の敬意を表します」と公式Xに投稿しています。
「吉高寧々はセクシー女優歴7年超で、様々なファン投票で上位に来るベテランです。与田りんは犬のトリマーから転身して2024年にデビューしたばかり。藤かんなは2022年デビューですが、元は上場企業の研究職だったという異色の経歴が業界では有名ですね」(芸能記者)
◆大阪大学、院卒の異色すぎる経歴
3人のなかでも異色の経歴の藤かんなさん、実は2024年10月に日刊SPA!でインタビューしていました。
藤さんはなんと大阪大学大学院の理学研究科を卒業後、上場企業で研究職に就きます。ところが、2022年に30歳にしてなぜかセクシー女優デビューし、活動が会社にバレてクビになってしまいました。
退職後、長年習っていたバレエの経験を生かしてバレエ教室の講師になると、またも女優活動がバレて辞めるハメに。それをSNSで投稿し、「セクシー女優が子どもにバレエを教えるなんて」と大炎上した顛末を、日刊SPA!で取材したのでした。そのぶっ飛んだ経歴は、自伝『はだかの白鳥』(2024)で明かされています。
インタビューで、藤さんはこう語っていました。
「(バレエ講師を)辞めることより、そのとき言われた言葉の端々に悔しさを感じましたね。『なんでセクシー女優なの?』『借金があったの?』みたいなセクシー女優に対する偏ったイメージを、私にも当てはめようとする言葉に腹が立つな、と。
でもそれは仕方がない、とも思うんです。だって、私自身も実際にセクシー女優になるまでは、そちら側の人間だったので」
今回の大河ドラマへの起用も、民放だったらスポンサーの反対でできなかったかもしれません。
◆吉原を描くことの難しさ
藤さんは1月8日のnoteで、裸遺体シーンに対する賛否の声を列挙しています(批判も挙げているのは立派)。
「こんな映像を子供も観る時間に放送しないでほしい」「裸である必要はない」といった批判と、一方で「吉原を描く上での制作側の覚悟を感じる」「インティマシーコーディネーターがクレジットされていたので、安心して観ていた」などの高評価があったようです。
ただ、遺体シーンに限らずドラマでの吉原の描き方に対して、ネットやメディアでは高評価のほうが多かったように思います。江戸文化の粋である華やかさと、性産業で搾取される悲惨さ、の両方をちゃんと押さえていたからでしょう。
2024年3月に、東京芸術大学が行った「大吉原展」では、前者に偏りすぎの宣伝コピーが炎上しました。「イケてる人は吉原にいた」「ファッションの最先端」「江戸アメイヂング」などの“チャラいノリ”が、性的搾取を軽視していると批判を浴びたのです。
『べらぼう』はこの危ういバランスの中で吉原を描いていくわけで、今後も視聴者をハラハラさせてくれそうです。
<文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
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