アルピーヌのモータースポーツ担当副社長であるブルーノ・ファミンは、信頼性に問題のあったA424のエンジンを全面的に見直すことは「アドバンテージにならない」と語り、改良は予定しているものの根本からの刷新については否定した。
2024年にデビューしたアルピーヌA424は、シングルターボのメカクローム製V8エンジンに問題を抱えていたにも関わらず、ハイパーカークラスでのデビューシーズンでBMWを抑え、マニュファクチャラー・ランキングの4位を獲得するという好調ぶりを見せた。
もっとも注目すべきは、ターボの問題により2台のA424はル・マン24時間レースをともに6時間を前にしてリタイアしていること、そしてその後、トラブルの再発を防ぐためにソフトウェアを修正し、新規のカムシャフトが次のレースに持ち込まれたことである。
ファミンは、2024年最終戦のバーレーンで記者団に対し、メカクロームの信頼性を強化するために、新シーズンの開幕に向けて「間違いなく」さらなる改造を申請すると語っている。
これにはA424で初の『Evoジョーカー』の使用が含まれる可能性が高いが、昨年のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ戦に間に合うようにカムシャフトの修正が行われたため、以降のトラブルは発生していない。
「いくつかの変更を検討している」とファミンは語った。
「しかし、ターボ(の変更)を検討している主な理由は信頼性だ。シーズン中にいくつかの問題が発生したため、それを解決したいのだ」
アルピーヌの親ブランドであるルノーが、2025年限りでF1エンジン製造への長年の関与を終了するという決定により、理論的には同社のヴィリー・シャティヨン工場は、WECを含む他のプロジェクトに集中できるようになる。
だがファミンは、現在のホモロゲーションのルールを考慮すると、ヴィリーで完全に新しいエンジンを製造するというアイデアについては、価値があるとは考えていないと述べた。
「車両のパフォーマンスとチームの効率を向上させるために、本当に興味深いことに集中する必要がある」とファミン。
「我々はこのクルマの信頼性に重点を置く必要がある。そのため、(2025年に向けて)エンジン側にいくつかの変更を加える予定だ。その後、残りの部分については、一部の関係者とのビジネスモデル、実用的なモデルというものがある」
「これは大きな問題ではない。エンジンは車両と同様にホモロゲートされている。特定の問題を解決する場合を除いて、進化させることはできない」
「この車両のために、新しいエンジンを設計する理由が分からない」
A424は、FIA F2とF3でも使用されている設計に基づくメカクローム製のエンジンを引き続き使用する予定だが、アルピーヌのヴィリーの施設は、次世代WECルール用の新しい液体水素内燃エンジンに取り組んでいる。
これは、昨年スパで発表されたアルペングロー・コンセプトカーに動力を与えた気体水素ユニットに代わるもので、このフランスブランドが水素クラスにコミットした場合の将来の取り組みの基礎となる可能性が高い。
この新しい規則は2028年に施行される予定だが、FIAとACOの幹部は昨年Sportscar365に対し、統括団体は具体的な技術規則を起草するプロセスが「まだ始まったばかり」だと語っていた。