世界最古の“ティントップ”シリーズとして知られるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権にて、現在はチームBMWとしてFR駆動のNGTC規定モデルを走らせる名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)が、2025年シーズンに向け3人目のレギュラードライバーを発表。新たにLKQユーロ・カーパーツをパートナーに迎え、スコットランド出身のエイデン・モファットを起用する。
昨年12月中旬にも、新王者ジェイク・ヒル(レーザー・ツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)に次ぐふたり目のレギュラーとして、19歳のイギリス系フィリピン人ドライバーであるダリル・デレオンとの契約をアナウンスしていたサンベリーを拠点とする古豪チームだが、その直後にも新たな支援者との提携が正式に確認された。
近年はFK8型ホンダ・シビック・タイプRを走らせたワン・モータースポーツや、昨季はトヨタ陣営スピードワークス・モータースポーツ(SWM)のサテライト『LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック』として2台のトヨタ・カローラGRスポーツをサポートしていたLKQは、この契約により2台のBMW 330i Mスポーツのタイトルブランドとして2025年のBTCCシーズンを迎える。
そのカローラをジョシュ・クックとともに走らせていたモファットが、周囲の事前予想どおりに複数のチャンピオンに輝いたチームに移籍することが決まった。
「LKQユーロ・カー・パーツとのパートナーシップを継続できることをうれしく思っている。彼らは僕たちが一緒になって以来、驚くほど協力的だった」と、昨季2024年の開幕戦ドニントンにて、トヨタとともに表彰台の頂点に華々しく登壇していたモファット。
「もちろん、パドックでもっともプロフェッショナルなチームであるWSRにて、彼らのクルマをドライブするチャンスは夢の実現であり、彼らの素晴らしい伝統の一部になれるのが待ち切れない気分だ。それに僕の目標はシンプルで、もっとレースに勝つことさ」
過去2年間はその前輪駆動モデルで過ごし、それ以前は後輪駆動のインフィニティQ50BTCCで3シーズンほど戦った28歳にとっても、これがひさびさのFRモデル復帰となる。
「チーム全体で、エンジニアリングの精度と信頼性を中核的な信念とし、できる限り最高のドライバーに成長できるシーズンを送りたいね」
そのモファットを迎え入れるWSR代表のディック・ベネットも「前輪駆動と後輪駆動の双方で、レースに勝った数少ないBTCC現役ドライバーのひとりとして、彼はBMWにすぐに適応し、どこでも好成績を収められるはず」だと期待を込める。
「そして何より『LKQユーロ・カーパーツBMW』のラインアップの一員として、2025年のWSRにエイデンを迎えることができてとてもうれしく思っている。またWSRに対する彼らLKQの取り組みは、BTCCタイトル獲得の大きな商業的価値を示しており、視野を広げたいブランドにとって、このシリーズはそれを実現する素晴らしいプラットフォームを提供するというメッセージとなるはずだ」と続けたベネット代表。
「それに、エイデンが2021年に後輪駆動モデルをドライブし、BTCC選手権で最高の成績(ランキング8位)を収めたのも興味深い。我々は長年にわたり、彼がレーストラックで何ができるかを見てきた。なかには印象的な勝利もいくつかあったね。我々の仕事は、彼ができるだけ頻繁に最高のパフォーマンスを発揮できるようなクルマを、彼に提供することだ」
モファットの発表により、来たる2025年シーズンに向け3人のドライバーを確保したWSRだが、残るレースシートは1枠。当然のことながら、ここにはチームの顔として絶対的なエースに君臨する“4冠”王者、コリン・ターキントンの残留が確実視されている。