フェラーリのレースエンジニアであるリカルド・アダミは、2025年にルイス・ハミルトンのレースエンジニアを務める予定だ。このイタリア人エンジニアは、カルロス・サインツがフェラーリからウイリアムズへ移籍したため、サインツのエンジニアリングチームから直接異動し、7度の世界チャンピオンであるハミルトンと仕事をすることになる。
当初、ピーター・ボニントンがメルセデスを離れ、スクーデリアでの旅路に出るハミルトンに同行すると考えられていたが、ベテランのイギリス人エンジニアであるボニントンは、仕事と母国を離れずに、家族を慣れ親しんだ場所に留めることを選んだため、フェラーリは代替案を探さなければならなかった。
結局のところ、フェラーリのフレデリック・バスール代表の選択は疑う余地のないものであり、ハミルトンが新しいチームにより早く、より効率的に溶け込む助けになることは間違いないだろう。ハミルトンが専属のレースエンジニアとマラネロ入りする際、彼らは最初の数カ月は未知の領域を切り抜けなければならないだろうが、ハミルトンの傍らにいるアダミはフェラーリの手順を隅々まで熟知しており、彼の右腕となってすぐに最新の情報を提供できるだろう。
極めて控えめな人物であるアダミは、2015年シーズンの初めにセバスチャン・ベッテルとともにフェラーリに加入したが、それはベッテルの直接の要請によるものだった。ベッテルがスクーデリア・トロロッソでレースをしていた18カ月の間、ふたりは非常にうまくやっていたが、アダミがイタリアのチームに留まった一方で、ベッテルはレッドブルに移籍し、2009年から2013年にかけて大きな成功を収めた。ベッテルは、レッドブルでの最後のシーズンとなった2014年は勝利がなく、その年の日本GPの週末中にフェラーリ移籍を決め、チームを去るフェルナンド・アロンソの後任となった。
ベッテルは、自身がよく知る信頼できる人物で、フェラーリにすぐに溶け込める有能なエンジニアを持つことを望み、当時のチーム代表マルコ・マティアッチにアダミを雇うよう依頼し、こうしてふたりはマラネロで再会した。
物静かで落ち着いており、規律正しい人物であるアダミは、ベッテルがフェラーリで6シーズンを過ごす間彼の傍らにいた。その後サインツのエンジニアリングチームに移り、サインツと非常にうまく連携していた。無線での彼の落ち着いた言葉は、物事がうまくいかないときのベッテルとサインツの興奮した口調とは好対照だった。ハミルトンは、これまでのふたりのドライバーより興奮しにくいものの、マシンのハンドリングや与えられたレース戦略に満足できないときには厳しい促しを必要とする傾向があり、アダミが彼にどのように関わっていくのか、現在大きな関心が集まっている。
フェラーリで11シーズン目を迎えるアダミは、チームのエンジニアリンググループで群を抜いて最年長のメンバーであり、チーフレースエンジニアのジョック・クリアと非常にうまく連携しているため、ハミルトンはF1での長いキャリアの最終段階をスタートさせるにあたって、可能な限り最高のサポートを受けられるだろう。