【ハイキュー‼×SVリーグ】岡山シーガルズ金田修佳が、古賀紗理那を見て感じた自分の「平凡」さ「だから下を向いている暇はない」

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2025年01月11日 12:10  webスポルティーバ

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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(23)

岡山シーガルズ 金田修佳

(連載22:ジェイテクト岩本大吾が挑む「勝ち負け」の世界 ハイキュー‼のあるキャプテンに「勇気づけられる」>>)

「平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか」

岡山シーガルズの金田修佳(28歳)は、人気漫画『ハイキュー!!』に出てくる烏野高校の田中龍之介のセリフが、たまらなく好きだという。自分自身に浴びせられた言葉のようにも思えるというのだ。

「(古賀)紗理那って、本当にすごいんですよ!」

 金田は興奮気味に言う。同い年に古賀紗理那というスーパースターがいた。

「紗理那は考え方からフィジカルまで、中学の時から頭3つ、4つくらい抜けていました。彼女に比べたら、私なんて平凡なんですよ(笑)。私がどれだけスパイクを多く決めて、サーブレシーブを返せても、『紗理那だったらもっとできる』となる。だから慢心できないし、できないからといって下を向いている暇はないんです」

 金田はそう言って、涼やかに笑った。

 バレーボールを始めたのは7歳。母親がママさんバレーをしていたが、特別なきっかけはなかった。

「なんとなく、『バレーをするんだろうな』と思いながら育ちました。バレーの何かに惹かれたとか、衝撃的な何かがあった、というのはなくて。ご飯食べる、というのと同じくらい自然にバレーをやっていました」

 小学生の時は練習量も多かった。そこで、「絶対に負けない」という不屈の精神を培ったという。しかし、中学では量より質が問われ、当初は戸惑った。

「中学では、"理解して考える心"のバレーが大切でした。考えながらバレーをするのが新しくて、難しかった。周りがバレーを理解してうまくなっていく姿を見ながら、悩みましたね。そこで、プレーに向き合う時間が多くなりました」

 彼女はさらにこう続ける。

「中学3年生になる直前でメンバーを外された時、代わりに入っていた後輩がミスをしても、私が出させてもらえなかったことがあって。そこで私は『これは自分への優しさなんじゃないか』と感じたんです。『自分に足りていないものを自覚させるためだ』と。それからはスパイクも、レシーブも吸収しやすくなりました」

 その結果、中学3年で日本一に輝いた。小学校でも日本一になっていたが、選手としてひと皮むけたうえでつかみ取った栄光だ。本能だけでなく、理性の戦いもできるようになった彼女は、大阪国際滝井高校(現・大阪国際高校)でも春高バレーで準優勝を経験している。

 2015年に岡山に入団し、2019−20シーズンにはVリーグ(現行のSVリーグ)優勝決定戦に進んだ。その成長が、日本代表入りにもつながった。当時の感覚は、プレーするうえでのひとつの道標だ。

「『100%を出さないのはもったいない』という思いが力として出たのが、準優勝したシーズンでした。自分たちは自信を持って、シーガルズの"つなぎのバレー"をやってきました。それを出せなかったら、教えてもらっていることも、今までやったことも無駄になっちゃう。それは失礼だし情けない。今後もちゃんとバレーに向き合って、やりきりたいですね」

 それは、岡山でプレーして10年目の決意表明とも言える。今季は開幕前に、大きな変化があった。中学1年の時からセッターとスパイカーの関係で、「自分の前を進む存在」だった宮下遥が現役を退いたのだ。

「(宮下)遥さんが同じコートからいなくなるのが考えられなかったです。中1から15年間、大半のバレー人生、遥さんがずっとそばにいてくれたので。プレッシャーもあるなか、遥さんが私を信じてトスを上げ続けてくれた。その思いを感じながら、ずっとやってきたので......」

 しかし、下を向いてはいられない。今シーズンは同期の宇賀神みずきと共に初のキャプテンに就任した。

「個性豊かな後輩たちが、自分をキャプテンにさせてくれると思います。大変ですけど、プレッシャーも楽しむバレーをしたいです!」

彼女は明るく笑って、上を向いた。 

【金田が語る『ハイキュー‼︎』の魅力】

――『ハイキュー‼︎』、作品の魅力とは?

「バレーボーラーとして熱くなれるところですね。みんなバレーに夢中だなって。主人公は日向翔陽と影山飛雄ですが、個人的に思っているハイキューのよさは、すべてのキャラクターが主人公になっているところ。バレーは誰にでもスポットが当たるスポーツなので」

――共感、学んだことは?

「ハイキューはプレーを言語化してくれるんです。『あの時、私が思っていたことが言葉になっている!』ってなります。たとえば、稲荷崎戦の『ローテーションは希望と絶望を交互に運んでくる』って言葉も、『確かに』と思います」

――印象に残った名言は?

「田中(龍之介)が『ところで平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか』というセリフですね。同級生の(古賀)紗理那がずば抜けていたので、この言葉は本当に刺さります(笑)。紗理那はなんでもできて、自分は圧倒的に足りないと思っていたし、下を向いている暇はあるのかと思っていました」

――好きなキャラクター、ベスト3は?

「1位は稲荷崎の北信介さんです。反復、継続、丁寧。ブレない心の強さを尊敬します。2位は日向と影山。私が高1の時にハイキューが始まった当時から読み始めたので、ふたりは自分にとって同級生。『頑張れ』って思いもこもってます(笑)。3位は青葉城西の及川徹。ちゃらけているように見えて、芯が強い。バレーにストイックで、アルゼンチンにも行ったじゃないですか。そこまでやりきる情熱はなかなか持てないもの。ひたすら自分のバレー道を貫く感じに惹かれます」

――ベストゲームは?

「北さんが好きなんで、稲荷崎vs烏野です。宮兄弟、特に侑のバレーへの情熱も垣間見えますし、それに触発された影山が試合を通して成長していくのもいいなって。『自分もそうだったな』と思い出します」

(連載24:岡山シーガルズ城戸うらんのバレー人生は紆余曲折 日向翔陽のひたむきさを見て「自分も諦めんとこう」>>)

【プロフィール】

金田修佳(かねだ・しゅうか)

所属:岡山シーガルズ

1996年6月6日生まれ、大阪府出身。176cm・アウトサイドヒッター。中学校時代に全日本中学校バレーボール選手権大会で優勝。大阪国際滝井高校(現・大阪国際高校)では3年時に春高バレーに出場し、準優勝に貢献した。2015年に岡山シーガルズに入団。2022年には日本代表メンバーに登録された。2024年の黒鷲旗大会でベスト6に選ばれた。

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