1月11日、サウジアラビアを舞台に開催されている2025年W2RC世界ラリーレイド選手権の開幕戦『ダカールラリー2025』のステージ6が行われ、X-RAIDミニJCWチームのギヨーム・ド・メビウス(ミニJCWラリー3.0I)がステージウインを飾った。そして総合順位では、トヨタ・ガズー・レーシングのヘンク・ラテガン(GRダカール・ハイラックスEVO)が首位に立ち、7分16秒のリードを築いている。
1月3日に開幕した2025年大会は、ステージ5を終えたタイミングで休息日を挟み、いよいよ後半戦に突入した。ここまで実力者たちをさまざまなトラブルが襲う荒れた展開を見せている今大会だが、優勝争いが熾烈になる後半戦へ突入したことで、緊張感がますます高まってきた。
この日行われたステージ6『ハイル〜アル・ドゥワディミ』全829km(ステージ605km/リエゾン224km)』は、3県を跨ぐルートを南下して国土の中心部へと向かう。
ステージ6は、序盤のほとんどをダートトラックが締めながらも中盤はアスファルト路面が広がり、後半にはサンドメインの路面に変わるトリッキーな構成だ。
その不安定なステージ6は、すぐに最高峰クラスの2台を襲った。16km地点ではX-RAIDミニJCWチームのゲラン・シシェリ(ミニJCWラリー3.0I)が横転、17km地点ではトヨタ・ガズー・レーシングのルーカス・モラエス(GRダカール・ハイラックスEVO)がマシントラブルからか長時間のストップとなり、不穏なスタートを迎えた。
さらに、暫定総合2位につけるオーバードライブ・レーシングのヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)もパンクに見舞われた。しかしこちらには、トヨタ・ガズー・レーシングのサオード・ヴァリアワ(GRダカール・ハイラックスEVO)がかけつけ、スペアタイヤを共有しつつ交換作業もサポートしたことで難を逃れた。
その間、ベストタイムを刻み続けたのはトヨタのガイ・ボッテリル(GRダカール・ハイラックスEVO)だ。数十秒差のステージ2番手につけるX-RAIDミニJCWチームのギヨーム・ド・メビウス(ミニJCWラリー3.0I)に対して、徐々にその間隔を広げながら、ステージを折り返す。
しかしボッテリル(トヨタ)は、砂丘の区間へ差し掛かったころに失速。一方のド・メビウスをはじめとしたミニ勢はこの区間で驚速を披露し、ステージベストタイムを更新してフィニッシュした。
これで、大会開幕より続いたトヨタ勢の最速連発を阻止し、ド・メビウスとミニJCWは今大会初のステージウインを飾った。ステージ2番手には、同じくミニ陣営でディーゼルマシンを駆るジョアオ・フェレイラ(ミニJCWラリー3.0D)が続き、ステージ3番手は総合順位の遅れを早く取り戻すべくプッシュを続けるW2RC王者のナッサー・アル-アティヤ(ダチア・サンドライダー)がつけた。
総合順位では、トヨタのラテガンがトップをキープしているものの、総合2番手につけるヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)はその差を7分16秒に縮めた。そして総合3番手はマティアス・エクストローム(フォード・ラプター)が引き続きキープしている。
また二輪部門は、この日も激しい幕開けとなり、HTラリーレイドのアーロン・メア(ハスクバーナ450ラリー・レプリカ)や、モンスターエナジー・ホンダHRCのスカイラー・ハウズ、トーシャ・シャレイナ(ともにホンダCRF450ラリー)がトップを奪い合うタイムバトルを展開した。
そのなかで、ダート区間を終えた中盤から存在感を増したのは、コーヴェ・ファクトリーレーシングのメイソン・クライン(コーヴェ450ラリー)だ。2分ほどの差でステージ7番手につけていた状態から、一気にトップに立ってそのままギャップを拡大した。
しかし、砂丘をふくむサンド区間で突如大幅に失速。全体ベストのペースを維持することができずに、中団へ沈んでしまい、アップダウンの激しいステージ6となってしまった。
代わりに、ヒーロー・モータースポーツ・チームラリーのホセ・イグナチオ・コルネホ(ヒーロー450ラリー)とモンスターエナジー・ホンダHRCのリッキー・ブラベックとエイドリアン・ファン・べベレン(ともにホンダCRF450ラリー)がトップ争いを繰り広げ、最終的に23秒差の決着でブラベック(ホンダ)に軍配が上がった。ステージ2番手にはファン・べベレン、ステージ3番手にはコルネホが続いている。
総合順位では、レッドブルKTMファクトリーレーシングのダニエル・サンダース(KTM450ラリーファクトリー)が首位を守り、総合2番手につけるシャレイナ(ホンダ)は前との差を11分46秒まで縮めた。総合3番手の座は、ベベレン(ホンダ)が堅守している。
明日12日(日)は、同一県内を大きく一周するステージ7『アル・ドゥワディミ〜アル・ドゥワディミ』全719km(ステージ455km/リエゾン264km)が行われる予定だ。