なにわ男子・長尾謙杜、夢は上杉謙信役で大河ドラマの主演 『室町無頼』で壮絶アクションこなし役者として覚醒

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2025年01月12日 09:10  クランクイン!

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クランクイン!

長尾謙杜  クランクイン! 写真:松林満美
 室町時代を舞台としたアクション巨編『室町無頼』で、大泉洋、堤真一、松本若菜、柄本明、北村一輝ら錚々たるキャスト陣と共演を果たしたなにわ男子の長尾謙杜。六尺棒を手に成長を遂げ、無謀な戦いへと身を投じていく役柄として、“役者・長尾謙杜”のすごみと鮮やかな存在感をスクリーンに刻み込んでいる。「皆さんのように大きくなりたいと思った」と共演者からも刺激をたっぷりと受け、「すばらしい経験をさせていただいた」としみじみと語る長尾。特訓をして臨んだアクションや、これからの夢について明かした。

【写真】劇中の才蔵とは別人のよう! 長尾謙杜、爽やかなインタビュー撮り下ろしショット!

◆本格時代劇で超人的なアクションに挑戦!

 『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』や『あんのこと』などの入江悠監督が、直木賞作家である垣根涼介の同名小説を映画化した本作。大飢饉と疫病が襲いかかった混沌の室町を舞台に、初めて武士階級として一揆を起こした実在の人物・蓮田兵衛と、彼の元に集結した無頼=アウトローたちの戦いをドラマチックに描く。剣の達人で己の腕と才覚だけで時代を泳ぎつつ、無頼たちを束ねていく主人公の兵衛に命を吹き込んだのは、大泉洋。いつの間にか周囲の人々を惹きつけてしまう魅力もキャラクターにハマり、“大泉洋史上最高にカッコいい男”を演じ切っている。

 「台本をいただいた時点で、すでにものすごく面白い作品だと思いました。自分としてもターニングポイントになる作品にできたらと思い、全力で頑張りました」と切り出した長尾。演じた才蔵は天涯孤独の身で、自己流の棒術で生計を立てながら極貧生活を送っている。兵衛に拾われたことで、大きく運命が動き出していく少年だ。

 長尾は「大泉さんと同じく、才蔵は“僕史上一番カッコいい”役」とにっこり。才蔵について紹介してもらうと「すごく純粋で正直で、何にも染まっていない少年。無駄なことは考えず、誰からの力も受けないで行動しているところが大好き」と愛情を爆発させ、「僕自身いつも生活している中で、少年らしさや正直でいることは大切にしていることの一つでもある」と共感を寄せる。

 兵衛の生き様を目にした才蔵は、彼への憧れを胸に棒術を磨きながら“最強”へと成長していく。その姿は、作品の要となるものだ。「才蔵は最初と最後では別人のようになっている。最初は感情をむき出しにしつつ、修行を経たのちは、落ち着きを見せられるように。それでいて常に才蔵らしさを持つことを大切にしていました。棒術においても、『この頃の才蔵ならば』と仕草の一つひとつを考えながら演じていました」というように、長尾は瞳の表情や棒術の上達ぶりからもキャラクターの成長を表現した。

 熱気に満ちたアクションを浴びることができるのが、本作の大きな魅力。兵衛のもとに集った無頼たちは混沌の時代に風穴を開けるべく、命懸けで巨大権力に戦いを挑んでいく。それぞれの武器を手にした無頼たちの中で、“六尺棒”の使い手となるのが才蔵だ。

 長尾は「台本をいただいて読んでみたところ、ト書きにたくさんアクションが書いてあって。『人間の動きちゃうやん!』と思うようなアクションでした」と笑顔。その第一印象通り、劇中の才蔵は突きやはらい、打ちなどの技で相手に立ち向かい、棒一つで大勢を薙ぎ倒したりと、超人的なアクションを炸裂させている。才蔵としてのアクションを体現するために、「人生で初めてきちんとジムに通って、筋トレした」という。「今回は飢饉の時代を舞台にしているので、他の共演者の方々は体を絞ったりしながら役作りをされている方がほとんどでしたが、僕は逆に『食べて身体を鍛えてほしい』と言われていました。棒術も初めてのチャレンジ。アクション練習の初日は、100本の素振りをいろいろな振り方で何回もやりました。死にそうでした…(苦笑)! これがあと何ヵ月も続くのかと思うと、頭を抱えてしまった」と初日から過酷だったそうだが、「やっていくとどんどん楽しくなってきて。自分のものになってきているということがすごくうれしくて、人間ではないという動きも想像ができるようになってきました」とキッパリ。クランクイン前から短めの棒をどこに行くにも持ち歩き「棒は友だち」という感覚を身につけるなど、努力を積み重ねた。

◆大泉洋、堤真一、柄本明、北村一輝らとの共演は「夢のような経験」


 兵衛と才蔵は、師弟関係を築いていく間柄。長尾は、兵衛役の大泉とは「すぐに打ち解けられた」と振り返る。

 「大泉さんは、テレビで観て想像していた以上にやさしい方。スタッフさん、キャストの方々などみんなを引っ張っていく力がある」と惚れ惚れ。「兵衛たちが一揆を起こすシーンでは、何百人というエキストラの方々も参加してくださって。撮影が始まる前には、大泉さんが皆さんに『よろしくお願いします』と挨拶をしてくれたんですが、面白いことを言って笑いを取っていました。それでみんなが一つになった感覚がありましたし、場を和ます力もものすごくステキだなと思いました」と役柄との重なりも実感したと話す。

 さらに兵衛とは悪友にして宿敵となる道賢役を、堤真一。才蔵を鍛え上げる老師役を柄本明、贅沢な暮らしを送る有力大名の名和役を北村一輝が演じるなど、実力派の映画人と共演を果たした。長尾は「小さい頃から、映画やドラマで見ていた方々ばかり。その方たちの背中を見ながらお芝居をさせていただけたことは、夢のような経験。貴重な経験をさせていただきました」と感激しきり。

 「堤さんはドン!と構えていらっしゃって、一派を取りまとめているオーラがあって。堤さんが真ん中にいらっしゃることで、その一派が引き締まる感じがありました。堤さんとアクションをすると、空気が止まるような感覚を覚えた」と特別な体験をした様子で、「柄本さんはものすごくやさしくて、ご自身の撮影が終わってからも、スタジオに遊びに来てくださったんです。北村さん演じる名和もものすごい味のあるキャラクター。こういった役も演じられるんだと、すごくステキだなと思いました。皆さん、大人の色気や落ち着きがある。その中で、誰よりもしゃべっていたのは大泉さんかも!」と楽しそう。「お一人お一人の魅力を間近で目にして、僕も皆さんのように大きくなりたいなと思いました」と充実感をにじませる。

◆いつか上杉謙信役で「大河ドラマの主演を」


 空前の一揆を巻き起こす無頼たちが、ラストはたった9人で幕府軍に挑む。その無謀な戦いにちなみ「無謀かもしれないけれど、可能性にチャレンジしてみたいと思うこと」を聞いてみると、長尾は「あるんですよ」とにんまり。

 「僕は使ったことがないんですが、電動掃除機ってありますよね。お風呂にはそれがない。『室町無頼』にもお風呂場のシーンが出てきますが、一向にお風呂掃除に進化が見られないんです! 浴槽に貼り付けたらウィーンと動いてスポンジで全部掃除してくれるような、お風呂掃除機を作りたい。最後にはピッとBluetoothを使って、蛇口から水が出てお湯まで入れておいてくれたり」と熱弁して、インタビュー部屋を笑いでいっぱいにする。

 続けて、「大きな夢としては、いつか大河ドラマの主演をやりたいなと思っています」と役者としての夢を告白。「岡田(准一)くん、(松本)潤くんも大河の主演をやっていて、潤くんの作品には出演させていただきました。僕の名前は、“上杉謙信”からつけられているので、いつか上杉謙信を演じたいという夢があります」と力強く語る。さらに夢を叶える上で大切にしているのは、「悔しさを感じること」だとも。「『悔しいな』と思わなければ、現状に満足してしまう。悔しさを感じながら、これからもいろいろな役を演じていけたらいいなと思っています」とまっすぐな眼差しを見せる。
 
 インタビュー部屋では明るい笑顔で熱心に質問に応えた長尾だが、そのあふれだすひたむきさと愛され力は撮影現場でも同様。単身で乗り込んだ京都撮影所でどんな過酷なシーンの撮影にも食らいつき、ベテランの職人たちから「いい顔をしている」と声がもれる瞬間もあった。入江監督は「長尾くんのエネルギーにたくさん助けられた」と証言している。長尾謙杜、そして才蔵の勇姿をスクリーンで堪能して、ぜひ胸を熱くしてほしい。(取材・文:成田おり枝 写真:松林満美)

 映画『室町無頼』は1月17日より全国公開。IMAX、1月10日先行公開。
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