歴史を題材に現代人の生き方や組織の在り方を模索した作家の童門冬二(どうもん・ふゆじ、本名太田久行=おおた・ひさゆき)さんが昨年1月、がんのため東京都内の病院で死去していたことが13日までに分かった。96歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長女太田冬美(ふゆみ)さん。
1927年、東京都生まれ。都庁勤務を経て、79年から作家活動に専念した。創作は早くから続けており、60年に「暗い川が手を叩(たた)く」が芥川賞候補に選ばれた。倹約励行で財政危機を乗り切った米沢藩主を描いた「小説 上杉鷹山」(83年)は、現代のリーダー論を喚起しベストセラーに。「将の器 参謀の器」(99年)や「吉田松陰」(2001年)など多くの小説、ノンフィクションを執筆し、経営者やビジネスマンの間で人気を集めた。
本人の遺志で1年間、死去したことが伏せられていた。