金相場の歴史的な高騰に伴って、異変が生じているのが腕時計市場である。もっとも人気のあるブランドはロレックスで変わりないが、ロレックスのなかでもそれまで注目されてこなかったモデルにまで注目が集まるようになってきたのである。ロレックスのコレクターがこのように話す。
「2000年代半ばから現在まで、ロレックスの人気を牽引してきたのはデイトナやサブマリーナーなどの“スポーツモデル”でした。対して、バブルの頃に人気があったのはデイトジャストやデイデイトなどの“ドレスモデル”ですが、マニアの間ではあまり人気が高くありませんでした。しかし、今はドレスモデルの人気が高まっているのです」
ドレスモデルの人気が高まった背景には、モデルチェンジでデザインの完成度がさらに高まったこと、スポーツモデルが枯渇するなかで注目されたことなど複合的な要因が挙げられる。そして、金相場の高騰も影響しているといわれる。特に、金やプラチナなどの希少な金属で作られているデイデイトは、相場が高騰しているのだ。
ロレックスを扱うムック本のページをめくってみよう。広告のページを見れば、当時の中古品の市場価格がわかる。ロレックスの最上位モデルといわれる金無垢のデイデイトの228238というモデルは、5年前の雑誌に掲載されていた“新品”の実勢価格は345万円前後だった(並行店での販売価格)。
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現在、ネットのショッピングサイトを見ると、中古品の販売価格が640〜660万円にまで高騰している。中古品なので状態や販売店によっても差異は生じるものの、とにかく相場が2倍近くまで上がったと見ていいだろう。5年前に前出の店で新品を購入し、売却したら100万円以上の利益はゆうに出そうだ。
「それまでのロレックスは、ステンレス製のスポーツモデルが人気でした。10年ほど前は、金無垢ならドレスモデルもスポーツモデルもマニアの間ではあまり人気がなかったため、正規店でも店頭に並び、普通に買うことができたんですよ。今では金無垢は枯渇状態ですし、地金としての資産性の高さも注目されて、指名買いする人も増えている印象です」
もちろん、ロレックスの正規店で購入が難しく、人気が高いステンレスのデイトナも価格は上昇している。一番人気の116500LNというモデルの白文字盤は、同じ雑誌に掲載された並行店で、5年前は新品が285〜295万円前後だった。その間に後継モデルが発売されているが、現在も440〜460万円ほどで取引されている。
ちなみに、116500LNは5年間で激しい相場の変動があった。一時は600万円以上まで高騰したこともあり、たびたび乱降下を繰り返している。その一方で、金無垢のデイデイトの取引価格は、金相場の上昇に比例してゆるやかに上昇している。流行に左右されにくく、相場が安定しているモデルといえそうではある。
デイトナにはステンレスだけでなく、金無垢やプラチナのモデルも存在するが、そちらもやはり人気は上昇している。文字盤に8個のダイヤモンドが入った、金無垢デイトナの豪華版といえる116528Gの黒文字盤は、5年前の雑誌で中古品が366万8000円で販売されていた。現在、ネット上で同じモデルが694万9000円で販売されている。
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金無垢以外にも、金とステンレスのパーツを組み合わせた“コンビ”のモデルも人気が高く、やはり相場は上昇中している。資産として普遍的に認められている金、そして世界的に人気が高いロレックス。この組み合わせは現物資産として最強と言っていいのではないか。
ロレックスの相場はこれからどうなるのか。コレクターは、「結局、ロレックスはすべてのモデルが人気。現時点で“不人気”といわれるモデルは存在しますが、それだっていつ再注目されるかわからない」と話す。結局のところ、あまり周りの評価や相場にとらわれずに、好きなモデルを買うのが一番ということなのだろうか。
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