ドン・キホーテが、一部店舗で展開している「プロテイン自販機」が好調だ。2024年4月から設置し始め、現在は5店舗で展開している。売り上げは、通常の自販機の平均より高い金額で推移しているという。スポーツジムに設置されることが多いプロテイン自販機を、なぜドン・キホーテの店内に設置したのか。PPIHの須田海斗氏(ホーム&レジャー商品開発担当)に話を聞いた。
プロテイン自販機は1杯100円で、ホエイプロテインの2つの味(ココア味、抹茶味)と、必須アミノ酸であるEAA(グレープ味)の3種類から選べる。いずれも粉ではなく、水(氷ありと氷なしの2種類)か、お湯で溶いた状態で提供する。
現在設置しているのは、ドン・キホーテ溝ノ口駅前店(神奈川県川崎市)、MEGAドン・キホーテ狩場インター店(横浜市)、ドン・キホーテ小松島ルピア店(徳島県小松島市)、ドン・キホーテ中目黒本店(東京都目黒区)、MEGAドン・キホーテ立川店(東京都立川市)の計5店舗だ。
プロテイン自販機について、須田氏は「正直、自販機で儲けようとはあまり考えていませんでした」と振り返る。利益度外視で設置した背景には、プロテイン選びへの不安があった。「市販されているプロテインは1キロで3000〜4000円のものが主流です。消費者アンケートを実施したところ、『大容量のものを飲み切れるのか分からない』『味が好みでなかったらどうしよう』など、失敗したときのことが気になり購入をためらう人が多いことが分かりました」(須田氏)
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プロテイン自販機はこれまでスポーツジムなど、限られた場所に設置されることが多かった。来店客層が幅広いドン・キホーテの店舗にプロテイン自販機を設置し、プロテインに興味はあるものの購入をためらっていた消費者に、1杯100円で試飲できる機会を提供。安価で試せることで心理的な障壁を下げ、プロテイン購入の後押しを狙った。
●「マッスルドンキコーナー」を設置した店舗も
プロテイン自販機単体の売り上げは、店内にある通常の自販機の平均より高く推移している。購入者からは味への不安が解消されたという声に加え、100円という試しやすい価格設定、粉末やシェイカーを持ち歩く手間なくプロテインを摂取できる気軽さを評価する声が多く寄せられているという。
自販機で試せるプロテインの大容量タイプの売り上げが、設置前に比べて200%近く伸びた店舗も。須田氏は「自販機で味を確認することにより、安心して購入できることが数字でも表れたのでは」と分析する。
富士経済の調査によると、プロテインの市場規模は2021年に1000億円を突破した。須田氏は「プロテインは大きな伸びしろがあるカテゴリー」と分析しており、新規店舗では既存店舗の売場より、プロテインを扱う面積を増やしているという。2024年8月にオープンしたドン・キホーテ佐久平店(長野県佐久市)では、宅トレグッズなどとプロテインをまとめた「マッスルドンキコーナー」を設置した。
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PPIHは、Z世代をターゲットとした「キラキラドンキ」など、カテゴリーに特化した店舗を増やしている。現時点ではプロテインやトレーニングに特化した店舗は計画していないそうだが、既存売場でのプロテインコーナーに関しては、社内でプロジェクトを立ち上げ、初心者でも購入しやすいコーナー構築を進めているそうだ。
人気、売り上げともにじわじわと拡大しているドン・キホーテのプロテイン自販機。設置店舗は今後も増やしていく予定であり、一部店舗では、自販機で提供するプロテインのブランド追加も検討中だという。
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