文科省のエリート官僚が教師になって日本教育にはびこる腐った権力に立ち向かう、日曜劇場「御上先生」(TBS系・毎週日曜よる9時放送)が1月19日から放送スタートする。日曜劇場初主演となる松坂桃李が、主人公の東大卒のエリート文科省官僚・御上孝を演じる。今回、御上が赴任先の学校「隣徳学院」で担任を受け持つことになる3年2組の生徒・神崎拓斗を演じる奥平大兼に本作への意気込みや撮影の裏話などを聞いた。
−日曜劇場初出演となりますが、改めて出演が決まった心境を教えてください。
正直なところ、日曜劇場だということはあまり意識していなかったのですが、撮影が始まって、日曜劇場特有の顔の近くまでカメラが迫ってくるシーンを撮影して、「ああ、日曜劇場だ!」と感じました(笑)。そこで初めて、すばらしいチームの中に入らせていただいているのだと実感できたように思います。僕は学園ドラマは2回目です。大人数でお芝居するのは大変ですし、時間もかかりますが、楽しみも大きくて。自分はあとどれくらい学園ものができるんだろうとも考えながらクランクインしました。
−今回は、オーディションで出演が決まったと聞いています。オーディションで感じたことは?
久しぶりのオーディションでしたが、僕はオーディションが好きなんですよ。受かる、受からないではなく、その場に行くのがすごく楽しみで。もちろん、与えられた課題はありますが、それは自分なりにやるしかない。なので、いつもと同じようにオーディションを受けました。特に何かが違ったわけではなかったです。
−御上先生というキャラクターには、どのような印象がありますか。
まず、大前提として、この作品に登場する人たちは、神崎も御上先生も他の生徒たちも、みんな強い人ばかりです。何かの問題に真っすぐにぶつかっています。きっと自分ならば、なかなか同じことはできないだろうと思いますし、もし、御上先生の立場になったら逃げ出してしまうような気がしています。御上先生に限らず、みんな頑張っているし、立ち向かっているし、強い人たちだなと撮影をしていて思います。
−そうした中で、神崎に対してはどのように感じていますか。
クラスの紹介では「カリスマ」とされていますが、あまり自覚はなくて、子どもが大人ぶっているような印象があります。いいお家で育って、自分なりにやりたいことをやっている子でしたが、御上先生と出会って、初めて打ち負かされる。現在進行形で撮影中なので、そんな神崎がその後、どう変わっていくのかはまだ分からないですが、現在まで撮影したところでは、自分を完璧な人間だと思っていたのに打ち負かされて、どうしたらいいのか分からないでいるけれども、クラスメートたちの前では堂々としていたい。そうした神崎をどう演じればいいのか、監督と話し合いながら演じているところです。神崎はドラマを通して悩むことが多い人物なので、自分がどう演じたいかよりも、ドラマを通して見てくださる方にどう映るのか。監督の意見を聞いて参考にさせていただいています。
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−御上先生を演じている松坂桃李さんの印象は?
劇中では、神崎とはバチバチした関係なので、現場でもある程度の距離を置くのかなと思っていましたが、松坂さんはとてもラフな方で。気さくに話しかけてくださって、気が楽になりました。もちろん、お芝居をする上での緊張感はありますが、ガチガチに緊張しないですんでいるのは松坂さんの人柄が出ているからなのかなと思います。それから、本当にせりふをかまないんですよ。難しいせりふばかりですし、長いせりふを淡々と話しているのですが、全然かまない。僕はめちゃくちゃかむので(苦笑)、本当にすごいなと。神崎がどんなことをしても受け止められるようにお芝居してくださるので、そのおかげで僕も変化することがありますし、一緒にお芝居をさせていただくのが楽しいです。
−撮影で感じている、学園ものならではの面白さと難しさを教えてください。
みんな同世代なので、とにかくにぎやかです(笑)。もちろん、ある程度の年齢差はありますが、みんなタメ口で話していますし、高校生に戻ったかのようなくだらない話もしていて、本当に学校にいるような感覚になれるのが良いところです。大変なところは、クラスのシーンでは、僕に限らず、全生徒がいなければならないので、どうしても集中力が続かなくなってしまうこと。せりふがないシーンでも教室にいて、リアクションをするので、どうしても集中力が切れてしまうんですよ。どうやって途切れないようにすればいいのかは、昨年、学園ものに出演したときにも勉強になったところではありました。
−同世代のキャストが多いからこその刺激も多いのでは?
刺激というのかは分からないですが、みんなそれぞれ色があって、それがすごく面白いです。昨年、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)というドラマで窪塚愛流くんと一緒だったんですが、僕は、彼のお芝居がすごく好きで。彼にしかできないお芝居をするのですが、昨年共演したときとはまた違った感覚を覚えます。もちろん(昨年共演してから)1年経って、お互いにいろいろな現場を経験していますし、役柄も違うので当たり前ですが、そうしたお芝居の変化も楽しいです。以前に共演をしたことがある人のお芝居の変化も楽しいですし、初めてご一緒する人も「こういうお芝居をする人がいるんだ」と知るきっかけにもなりました。それは学園ものならではの出会いだと思うので、面白い経験だと思っています。
−撮影現場では皆さんどのように過ごしていますか。最近、現場ではやっていることは?
(前室に用意されている)お菓子の減る量が半端ないです(笑)。みんな食べまくっています(笑)。そうしたことからも、みんな楽しそうだなと感じます。はやっていると言っていいのか分からないですが、写真もめちゃくちゃ撮っていますね。スマートフォンで撮っている人もいれば、デジカメを持ってきている人もいて、撮ったら共有してくれるのですが、それがものすごい量で(笑)。普段、僕は映画に出演することが多いのですが、映画の現場の1カ月分くらいの写真の量を1日で撮影しています。きっとそれぞれのSNSに掲載されると思うので、ぜひそうしたオフショットも楽しんでいただけたらと思います。
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−今回、特に共演を楽しみにしていた方は?
蒔田彩珠さんです。共演は初めてですが、プライベートで親交があったのでいつか一緒にお芝居できるかなと楽しみにしていました。僕がデビューして1年目のときに映画賞をいただき、あちこちにお邪魔させていただいていたとき、蒔田さんもいろいろな賞を受賞されていて、同世代でいいお芝居をする方だなと思っていたんです。なので、今回、共演できることになりうれしかったです。(蒔田が演じる)富永蒼は神崎の幼なじみという設定で、神崎も富永には接し方が変わるので、富永とのシーンは特に楽しくお芝居させていただいています。
−最後にこのドラマならではの楽しみ方を教えてください。
これから活躍するであろう役者の皆さんを見られるというのが面白いところなのかなと思います。これまでも学園ドラマをきっかけに注目されるようになった方も多いと思いますが、やはり僕たちも仲は良いですが同世代で意識することもあり、頑張ろうという思いは強くなります。きっと見てくださる方にはそうした面白さもあるのだと思います。それから、現役の高校生もいるので、今の高校生を知るきっかけにもなると思います。僕もすでに時代や感覚の違いを感じているので、これから大人になっていく高校生たちが何を感じているのかを見られるのも学園ものだからこそだと思います。
ただ、このドラマは、学園ものではありますが、政治的な話も出てきて、僕は知らないこともたくさんありました。ドラマを見てくださる方もこの作品を見て現実社会で問題になっていることを知るきっかけになるという方もいると思います。決して明るいだけの話ではなく、ダークなところも見せられるドラマです。キャスト、スタッフさんみんな、熱を込めて作っていますので、それを皆さんにどう感じていただけるのか、楽しみにしています。
(取材・文/嶋田真己)
日曜劇場「御上先生」は、1月19日よる9時からTBS系で放送スタート。(初回25分拡大)
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