兄・亮は「頼りになる」も関係は淡白? 熱い闘志と笑顔で世界での活躍を目指す【KYOJOインタビューVol.3/平川真子】

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2025年01月14日 18:40  AUTOSPORT web

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平川真子(#44 ROOKIE Racing RSS VITA)
 女性ドライバーだけのガチンコレースとして、近年注目度が上昇中のKYOJO CUP。そんなKYOJO CUP出場ドライバーたちの素顔を探るべく、2024年シリーズ最終戦前の富士スピードウェイにて、TOYOTA GAZOO Racing育成ドライバーとしてWEC世界耐久選手権に参戦し、昨年末にはF1マシンをドライブした平川亮を兄に持ち、自身もプロレーサーとして活躍する平川真子(#44 ROOKIE Racing RSS VITA)に、自身のルーツや兄との関係などを聞いた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

⎯⎯まずは2024年KYOJO CUPシリーズを振り返った感想について教えてください。

平川真子(以下、平川):(最終戦が)まだ終わってないのですけど、1戦1戦ごとに発見があったり、今日(12月21日)はFCR-VITAのレースがあったのですが、少しずつ自分の課題を克服できているので、自分自身の成長を感じた1年でした。

⎯⎯これまでラリーなど、さまざまなカテゴリーに参戦されていますが、他のカテゴリーと比べてどのような部分にKYOJO CUPの面白さを感じていますか?

平川:“モータースポーツ”という点では同じですが、私自身の楽しみ方がラリーとサーキットで違うのでなかなか比較が難しいですね。でも、これだけ女性だけが集まるレースというのは、世界でも日本でもKYOJO CUPだけだと思います。レースを重ねるごとに出場台数が増えて華やかになっていると思いますし、お客さんも増えています。未来の女性ドライバーがどんどんと増えているので、とても楽しい、面白いレースになってきていると思います。

⎯⎯それではご自身のモータスポーツのルーツについて教えてください。最初に始めたきっかけ、そして職業として関わりたいと思ったタイミングはいつだったのでしょうか。

平川:始めたのは父(平川晃)と兄(平川亮)の影響ですね。私は普通自動車の免許を取得してから(モータースポーツを)始めたので、まわりと比べると始めるのが遅かったのですが、走っていくうちに『楽しい』と思えるようになり、今ではけっこう真剣にやっています。でも、免許を取るまではクルマにまったく興味がありませんでした。

⎯⎯平川家はお父さんもお兄さんもレース活動をしていますが、家族でモータースポーツの話をすることはなかったのでしょうか?

平川:あまりなかったですね。兄がよくクルマのゲームをしていて、それを『うるさいなぁ』と思っていたくらいですし(笑)。

⎯⎯そうだったのですね。お兄さんの話が出ましたが、11月に行われたラリージャパンで真子選手がJR3クラス優勝を飾ったとき、お祝いのメッセージなどはもらいましたか?

平川:『おめでとう』という連絡は届きましたが、それだけです。お互いに淡白といいますか、ふだんはメッセージでのやり取りはしますけど、どちらかというとレースよりもプライベートな話をすることが多い気がします。クルマの話はするといえばするのですけどね。

⎯⎯大きなイベントがあった際はお互いに報告するのですか? 例えば『F1アブダビGPのフリー走行に出場する』という連絡がお兄さんから届いたりはしますか?

平川:いや、そういったことは特にないですね。私はいつも記事をみて兄の情報を知るので(苦笑)。でも、兄妹の仲はいいと思いますよ。困ったことがあれば相談しますし、頼りになります。

⎯⎯尊敬しているドライバーは兄・亮ということになるのでしょうか?

平川:尊敬するドライバーさんはたくさんいますが……。まぁ、亮と言っておきましょうか。ここではそういうことにしておきましょう(笑)。

⎯⎯かしこまりました。ではご自身のキャリアについて、いちばんのハイライトになったのはいつでしょうか。

平川:いちばんはラリージャパンに出場したことですね。トラブルや乗り越えなければならないことが多くありましたが、応援してくださる人がたくさんいて、そういった方々にいろいろな言葉をかけていただきました。『絶対に諦めてはいけない』というときに、集中してやるべきことをこなせたことが、今の私の自信に繋がっていますし『もっとやってやるぞ!』という気持ちになった大切なレースでした。

⎯⎯9月にポーランドで行われたWRC世界ラリー選手権のトレーニングキャンプに参加された際にもトラブルに見舞われたようですが、どのように乗り越えられたのでしょうか?

平川:もう『やってやるしかない』といった気持ちで、とにかく笑顔で乗り越えました。

⎯⎯ご自身の長所は、“どんな物事でもポジティブに進めていける”というところになるのでしょうか。

平川:そうですね。あとは良くも悪くも、小さいことは気にしないというところですね。

⎯⎯では逆に、ご自身の短所や今後の課題はどのような部分にあると思われていますか。

平川:もう少し物事を噛み砕いて、計画していくところです。その部分が短所であり、今後の課題だと思っています。

⎯⎯先ほど『未来の女性ドライバーが増えてきている』と仰っていましたが、女性がレースに参戦することの難しい点、そしてメリットと思われる点を教えていただけますか。

平川:男女混合のレースに参戦するとなると、やはりフィジカル面で異なることがいちばん大きいですね。筋力、持久力、瞬発力などの面では男性より不利になってしまうと思います。でも、その難しさがある反面(モータースポーツは)男性社会なので、女性がいるだけでKYOJO CUPのようにお客さんが増えたり、レースそのものに興味を持ってくれる方が増えたりと、女性だからこそ貢献できることはたくさんあると思います。女性がレースでどこまでできるかはわかりませんが、私も可能性を信じて日々トレーニングをしているので、あまり難しく考えずレースにトライしてみてほしいですね。

⎯⎯普段のお仕事、レース活動、そしてトレーニングを並行して行うコツはありますか?

平川:コツは特になくて、その時々にやりたいことをやっています。ラリーでは海外を目指しているので、仕事やレース活動、トレーニングと並行して英会話教室に通うなど、語学の勉強も頑張っています。1日24時間では時間が足りないと思っていますが、自分がやりたいことをすることができているので、毎日とても充実した時間を過ごせています。

⎯⎯最後に、今後どういったドライバーになりたいというビジョンがあれば教えてください。

平川:今はサーキットとラリーの活動を並行して行っていますが、まずは日本でしっかりと活躍し、その後は男女関係なく世界で活躍できるドライバーになりたいと思っています。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 KYOJO CUP第3戦、第5戦でそれぞれ3位を獲得し、12月22日に行われた最終戦では5位でチェッカーフラッグを受けた平川。淡泊さを感じさせるクールな受け答えながらも、言葉の節々からレース活動に対する熱い闘志が溢れ出していた。新型フォーミュラ車両『KC-MG01』が導入され、従来よりもハイレベルな戦いになることが予想される2025年のKYOJO CUPにおいて、平川はどのような走りを披露してくれるのだろうか。ラリーでもさらなる躍進が期待される平川の活躍に今年も注目したい。

⚫︎Profile
平川真子(ひらかわ・まこ)広島県県出身、12月7日生まれ。
2018年にKYOJO CUP初参戦し、その後一時レース活動から離れるが、2021年からKYOJO CUPに再度参戦。2024年シーズンはROOKIE Racing RSS VITAから参戦し、ドライバーズランキング4位でシーズンを終えている。またラリー競技でも活躍し、9月にはWRCの『ビヨンド・ラリー女性ドライバー育成プログラム』に選出されポーランドでのトレーニングキャンプに参加。2025年1月2日はレーシングドライバーの篠原拓朗との結婚を発表している。

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