イ・ジュニョン 強烈な悪役は「僕にとって大きな収穫でした」痛快アクションで存在感を発揮『勇敢な市民』【インタビュー】

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2025年01月16日 08:10  エンタメOVO

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写真提供:BILLIONS

 高校を舞台に元女子ボクシング王者の非正規教師と極悪セレブ生徒の対決を描いた痛快アクション『勇敢な市民』が1月17日に公開となる。

 有力者の両親を持ち、教師の干渉すら許さない凶悪な生徒ハン・スガンに支配されたムヨン高校。正規雇用を目指す非正規教員のソ・シミン(シン・ヘソン)は、先輩教師の忠告を守り、スガンの傍若無人な振る舞いを黙認していたが、やがて我慢の限界を突破。元女子ボクシング王者のスキルを武器に、猫のマスクで正体を隠し、スガンの暴力に立ち向かう…。

 本作で、凶悪な生徒ハン・スガンを演じているのが、K-POPグループ“U-KISS”での活動を経て、俳優としてさまざまな役に挑戦してきたイ・ジュニョン。大きな見どころとなるアクションシーンの舞台裏や強烈な存在感を発揮するスガンの役作りついて語ってくれた。




−キレのあるスピーディーなアクションが満載で圧倒されました。アクションシーンは、数カ月にわたるトレーニングを積み、99%をご自身で演じられたとか。

 それは実は、僕の欲張りから始まった話だったんです。元々はスタントの方がいらっしゃったんですけど、アクションの合間に見える一瞬の表情が大事だと思ったので、つい「自分でやりたい」と言ってしまって。でも、始まって1週間経ったところで、後悔しました(笑)。

−それは、なぜでしょうか。

 元々ボクシングの経験はありましたが、よりうまく見えるようにカメラアングルなどを意識しながらシン・ヘソンさんと一緒にトレーニングしたところ、生傷が絶えなくて。本番でも、誤ってカメラを殴ってしまったり、アングル的に実際に殴られざるを得ないシーンがあったりして、とても痛い思いをしたんです。だから、もし今、「もう一度挑戦するか?」と聞かれたら、ためらいますね。それくらい大変でした。でも、俳優としては必要なことだと思ったので、挑戦したことに後悔はありません。

−その努力のかいあって、迫力満点でした。劇中ではスガンの鋭いまなざしも、その怖さを強く印象づけていますが、パク・ジンピョ監督からは「悪い目を意識して」というお話があったそうですね。あの「目」はどのように作り上げていったのでしょうか。

 1人で鏡を見て、悪そうな目を練習していました。監督から「ジュニョンは優しい」と言われたので、逆に「悪い面は何だろう?」と、怒り狂った自分を想像して。ときどき、監督に「この目、どうですか?」と確認したら、「いいよ、続けて」と言われたので、そのまま頑張りました。







−そのかいあって、悪役として見事な存在感を発揮していました。

 ただ、途中から「いいよ」と褒められることが怖くなってきました。褒められるということは、自分の中にもスガンのような凶悪な部分があるのかも…と思え、それにどんどん慣れていく自分が怖いなと。

−そういう強烈な悪役を演じる上では、心のケアも必要だったのでは?

 そうなんです。だから、毎日帰宅するたび、バラードのようなスローテンポの音楽を聴きながら30分くらい瞑想(めいそう)し、心のバランスを保っていました。

−これまでも「マスクガール」(23)などで悪役を演じてきましたが、繰り返し悪役を演じる難しさもあったのではありませんか。

 元々は、善良な役と悪役を交互に演じるつもりだったんです。でも、コロナ禍の影響でスケジュールがずれ込み、たまたま悪役が続いてしまって。「どうしよう」と思いましたが、作品をご覧になった皆さんが、一口に「悪役」といってもそれぞれのお芝居の微妙な違いに気付いてくださり、幅広い役を演じられると認めていただける機会になりました。そういう意味で、結果的には僕にとってプラスに作用しました。

−なるほど。

 ただ、スガンのような役は精神的にも肉体的にも大変なので、悪役はそろそろ控えたいところです(笑)。街中で、他の方がかっこいい役で気付いてもらえるようなときも、僕の場合、「あの悪役をやった人だ!」と言われてしまうんです。しかも、僕は悪役を何度もやっているので、そこで「どの役かな?」と考えてしまって(笑)。僕も決して悪い人間ではないので、そろそろ「いい人」と思われたいですね。

−お話を伺っていると、役と正反対の優しいお人柄が伝わってきて、悪役を演じるお芝居のすごさがよくわかります。劇中では敵対するソ・シミン役のシン・ヘソンさんとも、現場では仲良くされていたそうですね。

 そうですね。ヘソンさんは人柄も魅力的で、いつも「ジュニョン、お疲れ」と声を掛けてくださるんです。かっこいいお姉さんのような方でした。ただ、力が強く、僕が顔をひっぱたかれるシーンは、ものすごく痛かったです。そのとき、シミンは猫のマスクを着けていたので、「男性の代役の方かな?」と思っていたら、マスクを外すとやっぱりヘソンさんで(笑)。僕を気遣ってくださったので、その場では「大丈夫です」と答えましたが、実際はとても痛くて、思わず「何か悪いことしたかな?」と、自分の行いを振り返ってしまいました(笑)。

−ジュニョンさんが俳優として、この作品を通じて得た最も大きな収穫はなんでしょうか。

 台本をより的確に読み取り、お芝居に必要な部分をきちんと把握できるようになりました。実は今回、準備のため、台本をいつもより多く、50回以上読んだんです。そうしたら、「この部分はこんなふうにも演じられるな」といった感じで、いろんなお芝居を探ることが楽しくなってきました。それは、僕にとってすごく大きな収穫でした。

(取材・文/井上健一)


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