2025F1シーズン5つの見どころ(後編):マクラーレン連覇なるか/船長を得たアルピーヌ/ハースのチームメイト対決

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2025年01月16日 11:40  AUTOSPORT web

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2024年F1第24戦アブダビGP コンストラクターズタイトル獲得を祝うマクラーレン
 2025年シーズンのF1では、ルイス・ハミルトンのメルセデスからフェラーリへの移籍を筆頭に、8チームでドライバーの顔ぶれが変わった。また、6人のルーキーが初のフルシーズン参戦に臨む。当然チーム間の勢力図に変化は出るだろうし、チームメイト同士の争いも激しくなることだろう。フランスを代表するF1サイトf1i.comが、そんな今季の見どころを独自の視点でまとめた(全2回)。

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■マクラーレンは2025年も勝ち続けられるか

 マクラーレンにとって、2023年と2024年シーズンは非常に似通ったものだった。未成熟の車体のせいで、2年続けて悪いスタートを切ったのだ。2023年、MCL60が何とかポイントを獲得していた状態から表彰台の常連に成長する転機となったのは、シーズン中盤のオーストリアだった。一方、去年のMCL38は序盤のマイアミで大幅なアップデートを施されたのを皮切りに、最終的にはレッドブルを上回る最強のシングルシーターとなった。

 これらのシーズン序盤のしくじりがなければ、マクラーレンはより早くシーズンの主役を演じることができ、特に去年はランド・ノリスに初タイトルを与えることができたかもしれない。しかし実際にはマックス・フェルスタッペンが最初の7戦で5勝を挙げ、結果的にそれが勝負を決めた。

 では2025年のマクラーレンは、新たな一歩を踏み出すことができるだろうか? 昨年マクラーレンは、高速走行時に巧妙にたわんでドラッグを軽減させるフレキシブルウイングの導入が話題になった。今年はレッドブルも、マクラーレンに負けじと効果的なデバイスを投入するはずだ。厳しいトップ争いは、今年も変わらないことだろう。

■ついに船長を得たアルピーヌ。2025年には楽観的な見通し

 技術部門を率いるデイビッド・サンチェスの下、アルピーヌのエンジニアたちは昨シーズンのほとんどをA524の欠陥の修正に追われた。まず行ったのは過剰な車体重量を削ぎ落とすことであり、次にマシンコンセプトそのものにメスを入れる大胆な変更に挑んだ。彼らの努力はシーズン終盤にようやく実を結び、マシン戦闘力はハース、RB/レーシングブルズを凌ぐまでに向上した。これらの開発成果は、新車A525の基礎となるはずだ。

 フランス人のサンチェスは2004年、新卒でルノーF1にエンジニアとして加わり、2007年からはマクラーレンに移籍、空力部門で手腕を発揮した。その後に在籍したフェラーリでは、2022年から去年までチーフエンジニアを務めた。それらの経験を活かし、古巣のアルピーヌ(旧ルノーF1)に戻ったサンチェスは、作業方法を根本から改善した。「これまでは風洞に過度に依存し過ぎ、CFDの機能が十分に活用されていなかった」と、サンチェスは言う。

「CFDは非常に効率的で、多くの情報を提供してくれる。風洞だけが唯一の空気力学的ツールではなく、あくまでツールのひとつだ。テレメトリー、CFD、風洞の3つのデータストリームを組み合わせることが重要なのだ。たとえ風洞実験が満足のいくものであっても、CFDがそれが機能しないことを示している場合は、アップデートを実行すべきではない」

 この新しい文化は、ピエール・ガスリーとジャック・ドゥーハンが運転する今季A525の設計を推進した。去年終盤の躍進を見る限り、今季のアルピーヌに関してはかなり楽観的になれるのではないか。ついに指揮を取れる船長が、アルピーヌに誕生したのだ。

■期待のルーキーと実力派。ハースのナンバー1ドライバーになるのはどちらか

「エステバン・オコンはハースのナンバー1ドライバーになれるか」という問いに、「当たり前だ」と思う読者も多いことだろう。なにしろオコンは156回のグランプリに出場し、優勝1回を含む4回の表彰台獲得を誇る、実力あるドライバーである。フェラーリとハースでわずか3戦、2回の入賞しかしていないオリバー・ベアマンとは比べ物にならないキャリアなのだから。

 さらにオコンはセルジオ・ペレスからダニエル・リカルド、フェルナンド・アロンソ、ピエール・ガスリーと、これまで組んできたチームメイトたちと比較しても悪い成績を残さなかった。ただ、チームリーダーには、ついに一度もなることができなかった。

 彼がリカルド、アロンソ、ガスリーとともに過ごした5年間で、レースでどちらのドライバーが前の位置でフィニッシュしたかを見ると、その確率はほぼ50/50だった。一方予選では約60%の確率で、オコンは遅れをとっていた。素晴らしい実績だが、チームでナンバー1になれるドライバーのレベルではない。

 そんなオコンにとってハースへの移籍は、大きなターニングポイントになりうる。小松礼雄のチーム代表としての優れた手腕は、すでに去年の躍進で明らかだ。明確かつ透明性の高い方法で指揮を取る小松代表の下で、オコンはチームの原動力となる(おそらく最後の)機会を得た。それを活かせるかどうかは、オコン自身にかかっていることは言うまでもない。

 ここに挙げた5つの見所は、言うまでもなく網羅的なものではない。2025年シーズンには他にもレッドブルでのマックス・フェルスタッペンvsリアム・ローソン、RB/レーシングブルズの角田裕毅vsアイザック・ハジャル、そしてウイリアムズに移籍したカルロス・サインツの戦いぶりなど、注目点は山ほどある。誰もがシーズン開始を待ちきれない思いでいるはずだ。

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