1月16日、ロードレース世界選手権のMotoGPクラスに参戦しているアプリリア・レーシングは体制発表会を行い、2025年シーズンに使用する『アプリリアRS-GP』とそのカラーリングを公開した。
アプリリアは2015年にMotoGPに復帰し、当初はファクトリー仕様のアプリリアRS-GPをグレシーニ・レーシングに供給して1チーム体制で参戦してきた。ところが、2022年よりグレシーニ・レーシングがドゥカティのインディペンデントチームとなり、アプリリア・レーシングがファクトリーチームとして参戦することとなった。
ただ、2022年はコンセッションのランクがDであったことから、唯一のコンセッション(優遇措置)を受けていた。シーズン中もマシンの開発や自由にテストを行うことが許可され、アプリリアは総力をあげて懸命に開発を遂行。当時エースライダーであったアレイシ・エスパルガロの活躍もあり、コンセッションポイントが6点に到達し、早々にコンセッションから外れることとなった。
優遇措置が免除となった2023年は、エスパルガロとビニャーレスの2名で挑み、エスパルガロはスプリントで1勝、決勝で2勝含む3度の表彰台を獲得。チームメイトのビニャーレスもスプリントで2度、決勝で3度の表彰台を獲得し、チームとしては5位、コンストラクターズは3位で締めくくった。
2024年もふたりが継続参戦し、エスパルガロはスプリントで1勝と1度の表彰台を獲得した。ビニャーレスは予選で全20戦すべてダイレクトQ2進出を果たし、スプリントで2勝と決勝で1勝を挙げた。この年はチームランキング4位、コンストラクターズランキング3位で終えた。
多大な活躍を見せてきたふたりだが、エスパルガロは2023年限りでMotoGPにおける現役引退を2024年5月に地元であるカタルーニャで発表していた。そして、ビニャーレスも新体制となるレッドブルKTMテック3への移籍が決まり、2025年はラインアップがガラリと変わることとなった。そんなふたりの後任を託されたのは、ホルヘ・マルティンとマルコ・ベゼッチだ。
マルティンは2024年にスプリントで7勝を含む16度の表彰台、決勝で3勝を含む16度の表彰台を獲得し、圧倒的な強さを誇示。最終的にドゥカティワークスのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)を抑え、2024年シーズンのMotoGPチャンピオンに輝いた。2025年はプライベートでも一緒にトレーニングを行うほど仲が良いエスパルガロの後を引き継ぎ、アプリリア・レーシングのエースライダーとしてタイトル防衛に臨む。
ベゼッチは、MotoGP参戦4年目を迎えるライダーだ。初年度の2022年からムーニーVR46レーシング・チームよりでドゥカティ・デスモセディチGPを駆っていたが、アプリリアRS-GPにスイッチ。2024年の表彰台は決勝における1度のみだったが、2025年は心機一転しマルティンのチームメイトとしてともに戦う。
そんなふたりがしのぎを削るアプリリア・レーシングが体制発表会を実施。まずはアプリリア・レーシングのCEOを務めるマッシモ・リボラや、2025年も引き続きアプリリアのテストライダーを務めるロレンツォ・サバドーリらが登壇した。サバドーリは、2024年シーズンはワイルドカード参戦と代役にて合計7回出走を果たしてテストおよびマシン開発に尽力した。引き続き2026年までテストライダーとして任務を全うすることになり、意気込みを語っていた。
発表会の最後にはレーシングスーツと纏ったマルティンとベゼッチがステージに登場し、2025年シーズンを戦うアプリリアRS-GPがお披露目となった。カラーリングとデザインに大きな変更はなく、伝統のブラックを基調にレッドとホワイト、パープルがあしらわれている。ただ、ライダーラインアップが変更しているだけに新鮮味が感じられる。
タイトル防衛に臨むマルティンのマシンにはパーソナルナンバーの『89』ではなく、チャンピオンナンバーの『1』が掲げられていた。ゴールドがあしらわれており、チャンピオンらしい輝かしいものとなっていた。
また、アプリリアにおいては、2025年シーズンも引き続きアプリリア・レーシングとサテライトチームのトラックハウスMotoGPチームの2チームをMotoGPに召喚する。2024年は念願のMoto2王者に輝き、日本勢で待望のルーキーとして戦う小椋藍が参戦4年目を迎えるラウル・フェルナンデスとともにMotoGP1年目を戦う。
こちらは1月14日に体制発表会を行い、すでにカラーリングを公開している。2024年とは全く異なるブルーを基調とした斬新なデザインを採用しており、フェルナンデスと小椋ともに最新型のアプリリアRS-GPが支給されるとのこと。
新たな布陣で挑むアプリリア勢、2025年は王者も率いて新たな挑戦の年となりそうだ。ワークスのアプリリア・レーシング、そしてサテライトチームのトラックハウスMotoGPチームとともにどのような活躍を見せてドゥカティ勢に食い込むのか…期待したい。