阪神大震災は気象庁の震度観測にも大きな変化をもたらした。同庁によると、1995年当時、約300地点だった全国の震度計は、震災を機に設置が加速。翌年600地点以上に増設されたのを皮切りに年々増加した。2023年には自治体や防災科学技術研究所が独自に設置したものも含めて4300地点を超え、この30年で約15倍となった。これらのデータを一元的に取り込むことで、気象庁がきめ細かい震度情報を発表できるようになったという。
震災では神戸市や淡路島で震度7を観測したが、発生直後の発表は「震度6」。当時の震度計では最大6までしか計測できなかったためで、震度7の認定には家屋の倒壊率などを現地で調査する必要があった。実際に震度7が発表されたのは発生から3日後だった。
震度情報は自治体の初動対応や住民が避難する際の判断に大きく影響するため、速報性が求められる。震災後の気象庁の有識者会議では「震度7の判定までに相当な時間を要するため、災害応急対策などに利用するための情報として適当ではない」と指摘された。
その結果、翌年には7まで計測できるよう震度計を改良。震度も5と6に強弱を追加し、細分化した。同庁の担当者は「震災を機に意識も体制も変わった。今後もより一層精度の高い情報を提供していきたい」と話している。