ニッサン・フォーミュラEのローランド、タイトル獲得へ向けて気合十分「完璧なシーズンを作り上げる」

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2025年01月17日 02:00  AUTOSPORT web

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ニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランド
 1月16日、2024/2025年ABB FIAフォーミュラE世界選手権の第2戦メキシコシティE-Prixで優勝を果たしたオリバーローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム)のリモート取材会がメディア向けに開かれ、メキシコシティE-Prixを制したときの想いや、開幕戦サンパウロE-Prixで生じたトラブルについて、さらには初のタイトル獲得へ向けたこれからの戦いについての意気込みを語った。

●「信じられないほどうまくいった」第2戦のアタックモード

 まず最初にローランドは、メキシコE-Pirixで勝った喜びについて笑顔で語り始めた。

「僕はこれまで、6〜7年はあのサーキットに通っている。これまで、いつもあの観客の声を聞いていたし、つねに素晴らしいイベントだと思ってあの表彰台に立つことを夢見ていたんだ」

「そして、今回はレース後に実際にスタジアムのなかにいて、すべてのファンのエネルギーを感じることができた。本当に夢みたいだったし、家に帰ってから現実に戻ったときには少し不思議な感じがして、気持ちのリセットに数日かかったほどだった」

「レース自体は、信じられないほどうまくいった。最終的には、セーフティカー(SC)のおかげでそこに到達できたとも思うけれど、ライトが消えてアントニオ(・フェリックス・ダ・コスタ/ポルシェ)がスタートを切ったら、すぐにアタックモードを最大限に活用すると考えた」

「そこからは全力で攻めたし、できる限りのことをした。時間がないことも、追い抜くのが難しいこともわかっていたが、メキシコで勝つチャンスを逃すつもりはなかった。だから、これは何か大きな成功の始まりであって、僕たちはこの調子で勝ち続けることができるだろうと願っているよ」

 ローランドは、今季“シーズン11”の開幕戦となったサンパウロE-Prixでも勝利を争うパフォーマンスを見せることができていた。しかし、ニッサンのパワートレインを積んだマシンは総じて、決勝レース中にオーバーパーワーの裁定が下されてしまい、ペナルティを課されて優勝戦線から脱落してしまっていた。メキシコシティでの勝利には、このエラーに対するリカバリーも一役買っているのだと話す。

「(サンパウロでは)レースのほぼ全体をリードしており、エネルギーマネジメントも抜群だった。あの時は、最後のアタックモードに切り替えて、引き離す準備を完了したタイミングだったんだ。(ペナルティが出た時には)僕たちのものであるはずの勝利が奪われたような感じがしたよ」

「ただ、あの週末の僕たちには、たしかに特定のソフトウェアにおいてパワーコントロールの問題がいくつかあったんだ。だから、チームはメキシコシティE-Prixまでに、シミュレーターでそれらの問題を再現するのに多くの時間を費やし、問題に対処できるようにした」

「メキシコ戦を迎える前には実際に丸1日をレーストラックでの開発に使って、抱えていたすべての問題を調べ、将来同じ問題が起こらないようにしたんだ」

●「これまでで最高の状態」。見据えるダブルタイトルのカギ

 開幕戦こそは、速さを見せつつも結果に結びつけることができなかったニッサンとローランドだが、第2戦というもっとも早いタイミングで優勝を飾ることで汚名返上を果たした。昨シーズンの最終戦でも勝利を収めていることも含めれば、ローランド陣営は3戦連続で勝利を争う強さを見せていることになる。“メキシコシティE-Prixを制したものがタイトルを獲る”というジンクスまでもがささやかれているが、ローランド自身もその準備ができているとしながら、タイトル獲得への思いを言葉にした。

「純粋に、ドライビングの観点からも、クルマのパフォーマンスの観点からも、チームの運営面からも、僕たちはこれまでで最高の状態にあると思っている」

「ただ、ドライバーとコンストラクターの面で世界チャンピオンになるという夢をかなえるのに充分かどうかは、まだわからないと言いたいね。まだ改善すべき点がたくさんあるはずだし、それはポジティブなことでもあるんだ」

「改善すべき分野がわかっていて、そのなかで高いレベルでパフォーマンスを発揮しているということは、かなり素晴らしいことに違いない」

 昨シーズンの中盤からはチームマネジメントなども噛み合い始め、上昇傾向にあるニッサン・フォーミュラEチーム。シーズン11へ向けては新たなファクトリーも始動し、開発に力を入れたGEN3 EVOも導入後すぐにパフォーマンスを発揮している。開幕2戦の様子からは、その戦闘力はこれまでシリーズをリードしてきたジャガーやポルシェ勢と肩を並べる領域に達しているようにも感じられるが、『今年タイトルを獲るためにもっとも重要になるのはなにか』と問うと、「予選での順位と堅実なパフォーマンス」を挙げた。

「昨年は表彰台に7回登り、2回も優勝することができたが、それ以外にはポイントを獲得できないフィニッシュもかなりあった。とくに最初の2レースはポイントを獲得できず、さらにポートランドでは(病気のために)欠場、ロンドンではクラッシュもしてしまった」

「まずは大事なのは予選からだ。たとえば昨年は、15〜17番手からスタートすることさえあった。本当にチャンピオンシップを勝ち獲るならば、そういった位置で頻繁にスタートしている余裕はないはずだ」

「ただ、デュエルに進む事ができなければトップ10から外れてスタートすることが決まってしまう。そういう時はその事実を受け入れて、調子の悪い日でもポイントを獲得しなければならないし、もっと堅実なパフォーマンスを出す努力が大事になってくる」

「もちろん本当に重要なのは、高いレベルを維持して予選でつねにトップクラスにいられるように努力することであり、そうすればレースやポイント獲得がずっと容易になる。自分のパフォーマンスレベルはもちろん高く発揮できるようにしたいが、つらい時でもとにかく地に足をつけてミスをしないようにし、完璧なシーズンを作り上げることに集中するよ」

 開幕から2戦連続で優勝を争うという好調なシーズンスタートを切ったニッサン・フォーミュラEチームとローランド。5月にはダブルヘッダーの東京E-Prixが控えていることもあり、まずはそこでのリベンジが大きな注目ポイントとなるだろう。そして、ローランドとニッサンにとって初となるダブルタイトルの獲得についても、有言実行の活躍を期待したいところだ。

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