1月23〜26日にアメリカ・フロリダ州で行われるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2025年シーズン開幕戦『デイトナ24時間レース』に先駆け、今年最初の戦いの舞台となるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで恒例のシリーズ公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』が始まった。17日(金)にスタートした“ロア(「咆哮」の意)”テストのパドックから、最新のトピックスをお届けする。
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ロアのオープニングセッションはトム・ブロンクビスト駆る60号車アキュラARX-06(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)が最速タイムを記録したが、初日の総合首位はセッション2でベストタイムをマークした24号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)となっている。
24号車BMWでトップタイムを刻んだドリス・ファントールは次のように述べた。「まだターゲットには程遠いが、すべてが改善されている。ここに戻ってきたチームメンバーのおかげだ。僕たちはクルマを改善することに務めている。多くのテストを行い、問題を解決しようとしているんだ。それが報われるかどうかは来週見てみよう。これまでのすべての努力が無駄だったのか、それとも勝利につながるのか、それが本当に明らかになるはずだ」
■2台のメルセデスAMG GT3が遅れて到着
リアルタイム・レーシングから機材と人員のサポートを受けているゲットスピードのメルセデスAMG GT3エボは、ドイツの拠点からのフライトが遅れたためフロリダのトラックに遅れて到着した。このクルマは昨夜マイアミから到着し、オープニングセッションでインストールラップを完了した後、午後のセッション2でGTDプロで8番目となるタイムを記録した。
また、同じくフライトの遅れの影響を受けた75エクスプレスが走らせるメルセデスAMG GT3エボは、ミュンヘンを拠点とするチームのためにチューブを交換したばかりのシャシーに仕上げを行うため、最初のセッションでトラックに出なかった唯一のクルマとなった。そのためマーロ・エンゲルが最初のラップを完了したのは午後となったが、セッション2ではGTDプロクラスの10番手につけている。
■アキュラの1台は新車
アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングの共同オーナーであるマイケル・シャンクは、2025 GTPプログラムで使用されている2台のアキュラのうち片方はアキュラの真新しいシャシーで、もう1台は昨年ウェイン・テイラー・レーシングが使用したものを引き継いだものだとSportscar365に語った。
シャンクはチームの“ロア”での目標を次のように概説した。「クルマはいまの時点では現状のままで、これ以上の開発はない。だから4人のドライバー全員をそれぞれのクルマに乗せ、彼らが満足するクルマにすることがターゲットだ。まだそこまでたどり着けていないが、ここまでは順調だ」
■マシンを含むLMP2機材をリース
昨季2024年のプチ・ル・マンを最後にフルタイムのレースから引退したリチャード・ウエストブルックは今週末、古巣であるJDCミラー・モータースポーツをサポートするために現地入りしている。
ドラゴンスピードのチーム代表であるエルトン・ジュリアンによると、81番フェラーリ296 GT3を駆るアルバート・コスタのフルシーズンのコドライバーは、デイトナ24時間レースの終わりまでに決定する可能性があるという。彼は、フェラーリのファクトリーエースであるダビデ・リゴンが、セブリング12時間レースとプチ・ル・マンで同チームのサードドライバーを務めることを認めた。
またジュリアンは、フェラーリの新しいファクトリードライバーのひとりであるトーマス・ノイバウアーの評価を続けていることを明らかにした。このフランス人は、昨年のシーズンフィナーレ(プチ・ル・マン)でチームデビューを果たし、今季開幕戦ロレックス24への参加も決定している。
ドラゴンスピードは今年の新規事業のために、最近レースに出場したオレカ07・ギブソンのシャーシを含むLMP2装備の大部分を、プラット・ミラー・モータースポーツにリースしている。
■フルコースコーション時の動きを確認
IMSAは、土曜日の朝のテストセッションの最初の30分間に、新しいプロトタイプ/GTカテゴリーセパレーションのテストを実施する予定だ。
レースコントロールは、「各競技者が2025のプロセスに慣れる」ために各チームへ参加を要請しており、演習開始の10分前には実施のアナウンスを行う。
2025年の新しいプロセスでは、まずプロトタイプカテゴリーをGTカテゴリーから分離させ、その後GTPとGTDプロを含む各グループからLMP2とGTDを分割する。
■WTRのル・マン出場なるか
ウェイン・テイラー・レーシングは、以前より“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間に挑戦したい旨を示してきたが、今年の同レースに出場するために少なくともひとつのハイパーカーのエントリーリクエストを出したと考えられている。もし両チームの申請がACOフランス西部自動車クラブの選考委員会に認められれば、IMSAキャデラックの仲間であるアクション・エキスプレス・レーシング(AXR=キャデラック・ウェーレン)の遠征に加わることとなる。
AXRのレース・ストラテジスト、ピーター・バロンはSportscar365に対し、3年連続でル・マンの出場権を獲得した場合に備えて、チームはハーツ・チーム・JOTAに加わるアール・バンバーの後任となる第3ドライバーをすで確保したと語った。
バンバーはWEC世界耐久選手権にフルタイムで参加するため、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカでのウェザーテック選手権ラウンドを欠場することになる。同ラウンドではAXRのミシュラン・エンデュランス・カップで第3ドライバーを務めるフレデリック・ベスティが、彼の代役としてレースに参加することになっている。
■地元の高校生がサーキットで学習
IMSAのSTEMプログラムは金曜日にデビューし、地元フロリダ州ポートオレンジのスプルースクリーク高校とアトランティック高校の30人の生徒が参加した。彼らはIMSAの技術検査エリアでのセッションや、ドライバーとチームクルーが着用するヘルメットと防火服の使用方法と取り扱いについて間近で見学するなど、4つのステーションを回った。
IMSAのジョン・ドゥーナン代表は次のように語った。「今年、このプログラムを開始できたことをとても誇りに思う。これはスポーツ全体にとって非常に重要なことだ。ゲインブリッジとコニカミノルタのおかげで、エヴァファイ(カスタム・エデュケーション)の支援を受け、プログラムを実行するためのリソースを手に入れることができた。また、現場でのサポートだけでなく、学生たちや教員がここを離れても、彼らが経験したことを参照にすることができる」