ブレイクの登竜門としても知られ、昨年も大晦日に放送されたテレビ番組『ぐるナイ おもしろ荘2025』で見事に優勝。その際に披露した「赤ちゃん」のネタで一躍話題となったのが舘野忠臣とヤマゲンのふたりからなるお笑いコンビ『ネコニスズ』だ。
今や注目度急上昇のふたりを直撃! インタビュー前編に続き後編では「コンビ結成秘話」や「ふたりの関係性」、そして「今後の夢」について話を聞く!
――コンビを組んだのはいつですか?
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館野 20代後半ですね。当時の僕は東京にいてマセキ芸能社のお世話になってましたが所属はできませんでした。そして、三四郎の漫才を見て自信を失ってもいました。小宮さんのお笑いにかける情熱は本物。あんな熱い人に自分はなれるのか、ずっと自問自答して悩んでいたいたんです。
ヤマゲン その頃、僕は大阪では劇場メンバーだし、なんかちょこちょこお仕事はありました。館野とは毎日のように電話してたりしてすごい仲良かったんです。
館野 ネタの相談をしたり。いつも褒めてくれるから、こっちとして自信になります。
――厳しい意見を言わず褒めてくれるから好きだったと。
館野 赤ちゃんは甘えん坊ですから、厳しいこと言う人は嫌いです。ヤマゲンは基本的には自分のことを認めてくれてたから。
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ヤマゲン 僕は当時の彼女に告白が成功したときはうれしくて、一番最初に舘野に伝えましたね。何をあんなに話すことあったんかな。時間を忘れてずっと話してましたから。
館野 そんな中、同時期にお互い解散したんです。「どうする」ってことになって、ほぼ同時に「組もうか!」って。その後、サンプラザの前で話し合ったんだよね。
ヤマゲン コンビを組む条件やないですけど、僕は元々コントしかやってないからそれしかやりたくないけどいいか、って。「いいよ」って言ってくれたんですけど、何年後かにM-1に出たいと言い出した。理由を聞いたらM-1の煽りVTRがカッコ良すぎるから、あの中に入りたいんだと。
館野 いまだにやっぱそこに入りたいって思ってますね。そこからはコントをやってないです。
ヤマゲン 事務所の先輩でもある爆笑問題さんにも憧れたのも大きいね。当時、僕はウエストランドの河本と仲が良くて、舘野は井口くんと仲が良くて、同時にタイタンのネタ見せに誘われて、ライブに出させてもらうようになったんですが、事務所のトップが現役バリバリで漫才をやってるってのがカッコイイやないですか。
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――太田さんが赤ちゃんのブレイクに際して、「あのキャラは意味がわからないしついていけない」とぼやいたとニュースになりましたが。
館野 最初に赤ちゃんが生まれるきっかけは、YouTubeのタイタンチャンネルでやったコントだったんですけどね。僕がかわいこぶったら、太田さんに「気持ち悪いな」っていじられまくって。どうせならと、それを誇張したのが赤ちゃん誕生のきっかけなんです。
ヤマゲン そういえば、出会ったときからお前はかわいい子ぶってたよ。最初は微妙やったけど、ようやく笑える年齢になったかもな。かわいさより気持ち悪さが圧倒するようになってきたから。
館野 実はM-1では3回戦までは赤ちゃんネタをやらなかったんです。3回戦で勝負をかけたら、令和ロマンくるまとかが話題にしてくれて、そのおかげで注目を集めることができたのかも。
――そういえば赤ちゃんって何歳でしたっけ?
館野 2023年の8月に産まれたので1歳5ヶ月です。
ヤマゲン こいつ今41歳ですよ。これまで、実は舘野の味方も多かったんですよ。女性ファンも多いから、僕が突っ込んでも、「かわいそう」「ひどい」「言葉がきつすぎる」とか散々な言われようだったんです。ただ、こいつがある日突然この見た目とキャラになってから、みんなが僕のツッコミに賛同してくれるようになりました。今はめっちゃ強く突っ込んでも足りないぐらいですね。
――赤ちゃんがヤマゲンさんのツッコミのポテンシャルをさらに引き出したということですね。そう考えると、赤ちゃんというキャラは、長い前フリと言えるのかもしれません。
館野 確かにそうですね。僕はずっとフリをやってるんです。私生活もSNSも、ぜーんぶフリ。ヤマゲンとステージに立って、ようやくオチる。
ヤマゲン 芸人と話しててもすごいいじられるもんな。当たり前ですけど、本物の赤ちゃん見てから舘野を見ると全然違いますからね。赤ちゃんってあっというまに成長していくけど、こいつはどんどん顔だけ老けていく。
――唯一無二の世界観でみんなが認めてくれています。まだまだ大ブレイクとは言えないかもしれませんが今後の夢などあれば教えてください。
館野 今はうれしくてしょうがないですよ。うれションしそう。
ヤマゲン 準々決勝のネタの出来がぼちぼちよかったんで、それを超えるネタを本当に作らなきゃとも思っています。
館野 僕はずっと赤ちゃんでいたい。コジコジみたいな愛されるキャラクターになりたいです。
ヤマゲン その割にはめっちゃ普通に喋るけどな。それやったらなれへんちゃう。おじさんおじさんのコジコジはもう「叔父」やん。
館野 悪かったよ。本当はM-1決勝ですね。決勝に行って売れっ子芸人への「免許証」みたいなのをもらいたいです。その後は、仲いい友達、三四郎の小宮さん、井口くん、モグライダーのともしげくんとずっと一緒にいたいです。あとは、憧れの女優・満島ひかりさんと共演したいですね。
ヤマゲン 僕は2人でやってるラジオは続けたいですね。舘野がどんなタレントさんや芸人とつるんでもええ。でも、2人だけで喋る場はずっとあってほしい。
館野 あれは楽しいよね。
ヤマゲン 自分らが聞いてて笑えるからな。若い頃と変わらず仲がいいまま、いくつになっても一緒に漫才できたらなって思います。
●ネコニズズ
舘野忠臣(ボケ)とヤマゲン(ツッコミ)のふたりからなるお笑いコンビ。2012年2月結成。タイタン所属。『M-1グランプリ2024』では準々決勝に進出。大晦日に放送された『ぐるナイ年越しおもしろ荘!今年も誰か売れて頂戴SP』では優勝。「赤ちゃん」のネタで話題に。
・舘野忠臣
1983年2月9日生まれ 群馬県出身 公式X【@neconisuzu_ta】
・ヤマゲン
1987年1月26日生まれ 大阪府出身 公式X【@yamagen4】
取材・文・撮影/キンマサタカ