旅行業界を取り巻く環境は年々大きく変化しているが、2025年はどのような1年になるのだろうか。2024年の人気記事から占ってみたい。
まず、2024年を振り返る中で、事故のニュースが目立ってしまうのは、大変心を痛めるニュースである。安全はどのような状態でもトッププライオリティであるべきだ。
旅行業界では、年始の日本航空(JAL)と海上保安庁機の衝突事故が大きく取り上げられたが、TRAICYのランキングでは、東北新幹線で走行中に列車が分離した事象が閲覧数1位となった。
このようなイレギュラーの際は、多くの旅行者が影響を受けることになる。有事の際に交通機関は、より積極的かつ、正確・有益な情報発信が求められることも浮き彫りにした結果になったと言えよう。
1位:JR東日本、東北新幹線「はやぶさ・こまち6号」の連結部が外れた事象の詳細明らかに
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2位:炎上のJAL機、ペットを搭載 受託手荷物は約200個、貨物郵便はなし
航空券セールが国内旅行をけん引?2024年、旅行業界を大きく賑わせたのは、「セール」の話題だ。「Go To トラベル」「県民割」「全国旅行支援」などの、アフターコロナにおける各種官製施策のほとんどが終了した、いわば「ポストアフターコロナ」の時代。
コロナ前は「セール」といえばLCC。片道数円、数十円、数百円といった破格の航空券を販売するイメージが強いだろう。ただ、コロナ禍を経て、その状況は変わり、FSC(フルサービスキャリア)が目立ってセールを行うようになったと言えるだろう。
大きな要因は主に2つ。1つはLCCが上記のような破格のセールをしなくなったことだろう。LCCのセールは、原価を度外視し、話題作りのプロモーションとして実施してきた意味合いが多い。しかし、コロナ禍を経てLCCの路線は高収益を見込める路線に集中。FSCと価格を比較して選択されるようになりつつある。FSCと比較して選んでもらえるLCCにとってセールを行う動機付けが薄くなった。
もう1つは、コロナ禍中に、全日本空輸(ANA)やJALが実施していたセールが定番化したことだ。国内大手航空2社が需要の掘り起こしとして、毎月のように国内線のセールを実施することにより、LCCを利用する層以外にも「セール」の印象が根付いた。
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定番化した「セール」の流れは、他の航空各社や、JRにもひろがりつつあり、コロナ禍の需要喚起から、定期的な旅行の話題作りの意味合いが強くなってきている。
そして、これらのセールは、国際線と通しで航空券を購入することが多いインバウンドには縁がないといっても過言ではないため、実質的に日本居住者向けの施策になっていると言えよう。インバウンドよりお得に旅行をする術はここにある。
3位:ANA、国内線でタイムセール 羽田〜那覇線が9,800円など
5位:北陸新幹線、最大半額に きょうから発売開始、東京〜金沢駅間が7,090円
9位:ジェットスター・ジャパン、国内線で「スーパースターセール」開催 片道3,780円から
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ANAは国内線特典航空券で通常よりレートを引き下げた「トクたびマイル」を、JALは通常よりお得なマイル数で、ランダムに選ばれた旅先に旅行ができる「どこかにマイル」をPRしている。これらのマイルを持つ人のほとんどが日本居住者で、インバウンドにはほぼ無縁だ。
JRもJR東日本のJRE POINT、JR西日本のWESTERポイント、JR九州のJRキューポなどで、相次いでポイントと鉄道の乗車券等に引き換えられるようになった。特にJR東日本はJR版「どこかにマイル」こと「どこかにビューーン!」や、鉄道が最大4割引になるJRE BANKの施策など、国内利用者の囲い込みを強化している。
インバウンドが利用しにくい施策をいかに利用していくかが、今後のカギになっていくだろう。
6位:1フライトが約1,500マイル! 知る人ぞ知る最強のANAマイルの使い道とは?【コラム】
8位:JR東日本、株式分割を実施 株主優待制度も変更
10位:JALオンライン、クラスJを普通席と同額に
ホテルは万博で書き入れ時 国内の「お得」は難しいかもお得に旅をしたい層にとって、あまり冴えないのがホテルの話題だ。
昨今のインバウンドの増加が、ホテル業界にとっては追い風。2025年は大阪・関西万博イヤーということもあり、ますますホテルの料金設定は強気になるだろう。ホテルの記事は1件ランクインしているが、2025年はホテルをお得に利用することは難しくなる1年になるかもしれないと考えている。
7位:横浜ロイヤルパークホテル、営業休止 2028年以降に再開へ
賢く、お得に、TRAICY1件、旅行スポットの話題がランクイン。今話題の麻布台ヒルズの「展望台」のニュースであった。当初観光要素はなくオープンしたが、開業後話題になったトレンドだ。筆者の体感だが、インバウンドに限らず、国内の人にも知られていないような、隠れた旅行スポットこそ、よく楽しめると思う。
4位:東京タワー見下ろせる無料“展望台”、一般公開を終了 麻布台ヒルズ、4月17日まで
「隠れ」というのは非常に奥深い。今年は大阪・関西万博が、旅行業界を協力に後押しする1年になるだろう。インバウンド施策の中に、国内利用者が利用できる、「隠れ」施策も出てくるはずだ。それをどのように活用するかが、賢く、お得に旅をできるかに直結してくる。旅行で得する人になるために、2025年も本誌での発信をお見逃しなく。