1月17〜19日、2025年フォーミュラ・リージョナル・ミドル・イースト選手権(FRMEC)の第1大会(第1戦〜第3戦)がアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催された。3名の日本人ドライバーが参戦するなか、第2戦ではりー海夏澄(ARTグランプリ)が優勝を飾った。
2025年シーズンのFRMECは1月中旬から2月末までの冬季かつ短期間で全5大会15戦が開催される。第1大会には3名の日本人がエントリーし、TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)の中村仁がR-ace GPから、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)の加藤大翔がARTグランプリから、そして欧州でキャリアを重ね、フォーミュラ・リージョナル2年目を迎えた海夏澄がARTグランプリから参戦した。
第1戦のスターティンググリッドは予選Q1のタイム順、第2戦のスターティンググリッドは第1戦決勝順位のリバースグリッド、第3戦のスターティンググリッドは予選Q2のタイム順で決せられるなか、2度の予選ではムンバイ・ファルコンズ(プレマ・レーシングが技術面の運営担当)のフレディ・スレーターが両セッションで最速となり、第1戦と第3戦のポールポジションを獲得。全26台が参戦するなか、日本勢のQ1は加藤が8番手、海夏澄が10番手、中村が16番手。Q2は中村が9番手、加藤が11番手、海夏澄が13番手という結果となった。
なお、ヤス・マリーナ・サーキットのレイアウトはF1、FIA F2と変わらないが、今大会ではマリーナグランドスタンド側のピット前にスタート&フィニッシュラインが設けられており、F1やFIA F2などでターン9と表記される左コーナーが最初のコーナーとなっている。
予選後の18日に行われた第1戦決勝ではスレーターがターン9のホールショットを守るとそのまま独走。また、3番グリッドスタートのラシッド・アル・ダヘリが2番手に浮上し、ムンバイ・ファルコンズがそのままワン・ツー・フィニッシュを果たした。決勝上位12台までがポイントを獲得できるなか、日本勢は加藤が6位、海夏澄が9位、中村が12位と3名が揃って入賞を果たした。
第2戦のスターティンググリッドは第1戦決勝順位のリバースグリッドで決せられるが、第1戦で10位となったマクラーレン育成のウーゴ・ウゴチュクウ(R-ace GP)に対し、アクシデントに起因する4グリッド降格ペナルティが下ったことで海夏澄がリバースポールを、加藤が4番グリッドを手にするかたちとなった。
19日に行われた第2戦、海夏澄がホールショットを守る一方で加藤はスタートで出遅れ22番手まで後退してしまう。そんな第2戦ではレース序盤、中盤とアクシデントが相次ぎ2度のセーフティカー導入を挟む展開に。
首位の海夏澄はテオフィル・ナエル(サンテロック・レーシング)に追われる展開となったが、2度のリスタートでも首位を守り切り、そのままチェッカー。フォーミュラ・リージョナル2年目を迎え、強豪チームへの移籍が叶った海夏澄がFR初優勝を飾った。中村は10位、一時は最後方まで沈んだ加藤は好ペースを刻み12番手までポジションを戻しポイントを獲得した。
続いて行われた第3戦ではスレーターが第1戦を再現するかのような走りで首位をキープする一方、オープニングラップで上位勢で接触があり早々にセーフティカー導入に。これで中村が6番手、加藤が9番手までポジションを上げる。レース後半、中村がナエルにかわされ7番手となると8番手加藤との、トヨタとホンダの育成プログラムのサポートを受ける日本人ふたりの直接対決が勃発。
中村と加藤はテール・トゥ・ノーズの状況が続き、残り2分を切ったなかターン5で加藤が中村をパス。そこからロングストレートで2台はサイド・バイ・サイドのブレーキング勝負となった。アウト側に中村、イン側に加藤が付くなか、ブレーキングで白煙を上げた中村はターン6〜7のシケインをカットするかたちに。ただ、その翌周の同じくターン6でもブレーキング勝負が展開された。
今度は中村がイン側をキープする一方、加藤はアウト側にポジションを取った。ただ、ターン6を目の前にして加藤はイン側に飛び込む鋭いブレーキングで中村をオーバーテイクする。
2台はシケイン立ち上がりからマリーナグランドスタンド前、ターン9とサイド・バイ・サイドの戦いを続けたが、加藤がポジションを守り切った。さらに加藤はチェッカー直前には6番手の背後についたものの、オーバーテイクにはわずかに届かず7位でチェッカー。中村は8位となった。
なお、第3戦はスレーターが首位を守り切って制し、シーズン2勝目を飾った。残り2周まで11番手を走行していた海夏澄は、ターン6でのバトルのさなかに他車の追突を受けてスピン。再スタートは叶うも入賞圏外の14位でチェッカーとなった。
第1大会を終えて、ポイントランキング首位は3戦中2勝を飾ったスレーター。ランキング2位には第1戦で3位、第2戦で7位、第3戦で2位チェッカーのエバン・ギルテール(ARTグランプリ)が続いた。日本勢では海夏澄がランキング5位、加藤がランキング10位、中村がランキング12位となっている。
FRMEC、続く第2大会(第4戦〜第6戦)は同じくヤス・マリーナ・サーキットで1月21〜23日に開催される。世界各地から集った若手との激しい戦いに挑む日本勢の活躍に期待したい。