IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のドライバーたちは、アメリカ・フロリダ州に位置するデイトナ・インターナショナル・スピードウェイにおける“ル・マン・シケイン”の縁石の変更について声を挙げ、あるドライバーは「クルマにかなりの早さでダメージを与える可能性がある」と懸念している。
以前は“バス・ストップ”と呼ばれていた、全長3.56マイル(約5.73km)のオーバル/ロードコースのシケインは昨季2024年のデイトナ24時間レースに続いて変更され、より高さのある縁石と各コーナーの内側に三角形の舗装が追加された。
この構成は、シャーロット・ローバルなど他のNASCARロードコースで見られるものと似たものだ。
「これは明らかに(以前と)違っていて、より遅くするとともに(クルマにとって)厳しい縁石になっている」と語るのは、キャデラック・ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)のルイ・デレトラズ。「夜間についてもそうだ。左側に舗装路があるため、夜に近づくとシケインがどこにあるのか分からないんだ」
「右上にライトパネルがあり、それが点滅して目印になっているが、あまりにも広くて大きいので自分の位置を見つけるのはかなり難しい」
「トラックリミットが問題になるとは思わないが、シケイン進入時に(縁石の)内側に切り込む可能性は確かにあると思う。それは確かに良いことではない。だから検討されると思うよ」
「サイド・バイ・サイド状態で外側(のクルマ)がラインどおりに行こうとしていることに気がついたら、縁石を避けるために内側に割り込むことができるだろう。しかし、それは問題ではないはずだ。誰もそこにフラットアウトで行っても留まることができないからね」
キャデラックWTRのチームメートであるフィリペ・アルバカーキは、新しい縁石が「個人的には好きではない」と認めた。
「流れるようなラインじゃないんだ」と彼は説明した。「奇妙なねじれがあり、綺麗に曲線を描いていない。非常にトリッキーだね」
「以前は少し草を刈っても大丈夫だったけど、同じように走るとクルマにダメージを受けることもあると思う。去年の方がずっと良かったと思う。なぜ(彼らが)変更したのか分からないね」
「少なくともGTPに関しては、僕や(11月のテストで)周りにいた人たちは、誰も縁石を超えて走っていなかった。何かあったときに床下にダメージを受ける可能性がある。とくに2番目(出口側)のシケインはクルマに大きなダメージを与えるだろう」
「正直に言って、僕は大ファンではないと言わざるを得ない」
■GTカーでも“乗る”のがせいぜい
GTカーをドライブする選手たちも、縁石が変更されたことでシケインへのアプローチ方法が大きく変わることを予想している。
WTRランボルギーニGTDのドライバー、ダニー・フォーマルは「(縁石は)間違いなく高くなっている」と述べた。「いまや縁石を跨いで行くことはできない。そこで横に並んでしまうと、無事では済まないと思う。(無理をすれば)誰かのクルマをかなり傷つけることになるだろう」
「好きじゃないね。僕にとってはデイトナでもっともクールなコーナーのひとつだった。(そこには)多くのコミットメントと高揚するスピードがあった」
「今はブレーキのようなもので、縁石の上ではほとんど何もできない。GTカーでもせいぜい最後のコーナーでぶつかるだけだ。それも実際には乗るだけ。以前はシートの下に縁石を置いたが、いまは(跨げずタイヤで)乗ることしかできない」
「残念ながら好きじゃないよ。そこでミスをしないことを願っている。もしミスをしたら、間違いなくクルマのディフューザーを壊してしまうだろう。GTカーからして見ても、今年の縁石はるかに大きくなっている」
■「嫌いではない」が違いがなくなると指摘
今季2025年はAOレーシングからLMP2クラスに参戦する現GTPチャンピオンのデイン・キャメロンは、この変更によってシケインを1列で通過するレースが生まれると考えている。
「レースの展開がどうなるかは興味深い。以前はそこにあったものを超えてドライブすることができたので2列で走ることができたが、それがなくなると思う」と彼は言った。
「ラインは1本だけになる。しかし、左右には巨大な舗装されたスペースもある。悪口を言うわけではないが、縁石を迂回したり、もう少し超えたりすることができるようになると、レース中のトラックリミットを取り締まることがひとつ増えるだろう」
「(新しいシケインでバトルになれば)船を放棄して後ろに回らなければならないシーンも出てくるはずだ。そうなると、どうやってふたたび仕掛けていくかという点でいつも少し面倒になる。どうなるか、どんなレースになるか、様子を見てみよう」
「これまでは、どちらが縁石を多く使うことができるか、あるいは少なく使うことができるかについて、さまざまなクルマの間でつねにゲームや能力差があったが、それとは異なるものになるだろう。これからは誰にとっても同じことになるはずで、面白いことになると考えている」
「僕としてはフィーリングは嫌いじゃなかったけど、みんなに同じことを強制させることで、その小さな側面が失われてしまうような気がする」