ロサンゼルス大火災、映画賞シーズンへの深刻な影響

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2025年01月21日 13:01  cinemacafe.net

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アカデミー賞 Photo by Santi Visalli/Getty Images
現地時間1月7日、異常乾燥に加えて前代未聞の強風が吹き荒れるロサンゼルスを襲った大火災は、これまでに少なくとも27名の命を奪い、数多くの家を焼失させ、20万人以上に避難勧告が出された。

現在もなお燃え続けているこの火災は、発火から2週間目を迎え小康状態に入っているものの、まだ鎮火には至っておらず、消火達成52%に留まっている。いまだに避難を余儀なくされている人々も約8万5,000人に上る。

特に今回の火災は映画関係者や著名人たちの居住地域を直撃し、ハリウッド全体に深刻な影響を与えている。

セレブリティたちを直撃した火災
今回の大火災ほどハリウッド・スターたちに影響を与えた自然災害はこれまでに前例がない。大打撃を被った地域には、映画ファンにもお馴染みの大物俳優たちが居住者として名を連ねている。

今回の火災で家を焼失したセレブの中には、メル・ギブソン(『ブレイブハート』、『リーサル・ウェポン』シリーズ)、パリス・ヒルトン、『トップガン マーヴェリック』のマイルズ・テラー、アカデミー賞受賞俳優アンソニー・ホプキンス、『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミルも名を連ねており、ファンはショックを受けている。

映画賞シーズンへの深刻な影響
この火災は、映画賞シーズン真っ盛りのハリウッドに大きな波紋を広げている。すでにPGAアワード(全米プロデューサー協会賞)の候補発表日が何度も変更され、BAFTA(英国アカデミー賞)が毎年恒例のティー・パーティーをキャンセル、全米批評家協会賞などは開催日未定となっている。

世界最大の映画賞と言われるアカデミー賞にもかなりの影響が出ている。今年で第97回を迎えるアカデミー賞は、ノミネーション発表が1月17日に行われる予定だったが、火災の影響で19日にずれ込むことが決定。しかし鎮火の予想が立たないことや主要スタジオ並びにアカデミー会員の多くが被災地に居住していることから、再検討されノミネーション発表を23日に変更することとなった。

この遅延により、アカデミー賞候補を狙って諸作品が予定していたプロモーション・スケジュールが後倒し或いはキャンセルの憂き目に遭い、批評家やアカデミー会員が作品鑑賞をする機会が限られたことから、一部の候補作が不利な状況に追い込まれる可能性が指摘されている。

だが、業界全体が調整に追われる中、3月2日に予定される授賞式は、困難な状況を乗り越える象徴的なイベントとして実施される見込みだ。

災害が教える団結と教訓
火災の被害を受けたハリウッド関係者たちは、自身が災害に巻き込まれる中でも、支援活動を積極的に行っている。2月2日(日)に開催決行が決まったグラミー賞では消防士たちに捧げる特別な授賞式を企画し、ライブ中継を通して被害者への支援金を募る計画を発表した。

映画アカデミー協会も、映画業界全体がこの危機を乗り越えるための支援プログラムを立ち上げて話題となった。

これまではどんな大きな山火事があっても、街なかに住んでいるこの筆者は、山火事からは完全に守られている錯覚に陥っていた。1月7日、標高3,000メートルの山頂でも経験したことのないような強風と突風に見舞われ、目の前で爆発する電柱に設置されたトランスフォーマー(変圧器)を見て、予想もできない災害の前触れを感じて背筋が寒くなった。

2日後の夜中になんの前触れもなく、我が家の隣町に山火事が飛び火し避難勧告が発令された。長くロサンゼルスに住んでいて過去にノースリッジ大地震などの大災害も経験してきたが、避難勧告を受けたのは初めてで、一瞬先は何があるか分からないという事実を思い知らされ大ショックを受けた。

自然災害を避けることは不可能だが、この大火災から教訓を得て避難グッズを常備・点検することにした。

スターであろうとなかろうと自然災害は容赦なく襲いかかる。自分の家やたくさんの思い出の品を、あっという間に失うショックと悲しみは計り知れない。この火災は、私たちに生活の脆さを突きつけたが、この苦境を機にハリウッドを筆頭として我々はさらに強い結束と創造性を発揮するだろう。1日も早く平穏な日が戻ることを願ってやまない。

(文・取材:神津トスト明美/ Akemi Kozu Tosto)



(Akemi Kozu Tosto/神津トスト明美)

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