南アフリカは、F1レースを国内に呼び戻す取り組みを強化しており、早ければ2027年にグランプリを開催するための提案をプロモーター候補らに提出するよう呼びかけている。
スポーツ・芸術・文化省(DSAC)によるこの発表は、南アフリカとF1の歴史的な関係を復活させるための重要な一歩となる。南アフリカが最後にF1を開催したのは1993年で、場所は象徴的なキャラミ・サーキットだった。
DSACは、イベントの開催に関心のある企業を対象に公式入札を開始しており、質の高い世界的イベントを開催できる専門知識を持つ、有能なプロモーターを確保することの重要性を強調している。この入札では、イベントの長期的な持続可能性と成功を確保するための10年間のパートナーシップに向けたビジョンが概説されている。
「選ばれたプロモーターは、卓越した世界クラスのスポーツとエンターテインメントのイベントを企画するための専門知識をもち、政府の支援を得ていなければならない」と、DSACは入札文書に明記した。
「このプロモーターは、主要なイベントの開催、そのようなイベントのための持続可能なビジネスモデルの開発、チケット販売、スポンサーシップ、ホスピタリティにおける商業的機会の活用の経験を示す必要がある」
「さらに、プロモーターはF1の厳しい要件を満たすだけでなく、それを上回るグランプリの包括的なビジョンを提示しなければならない」
■コースとロジスティクスの基準
南アフリカ政府は、レース開催地の選択に関して柔軟な姿勢を保っている。この入札では、ストリートサーキット、常設サーキット、またはキャラミのような既存のサーキット開発についても認められている。しかしながら、提案されるコースはFIAのグレード1認証の取得を含む、F1の厳格なガイドラインに準拠していなければならない。政府の基準によれば、サーキットはいくつかの物流および設計基準を満たさなければならない。
基準は次のとおりだ。
(1)主要都市または人気の観光地から30分以内の場所に位置し、交通機関へのアクセスが良好であること。
(2)1日あたり少なくとも12万5000人の観客を収容し、そのうち75%が公共交通機関を利用して到着できること。
(3)少なくとも1kmの直線または全開区間を含む、4.5〜5.5kmのレイアウトを備えていること。
(4)自然の高低差を組み入れ、敷地の不必要な平坦化を回避すること。
提案は、モータースポーツ、放送、メディア、法律の専門家で構成される12人の委員会によって審査される。関心を持つプロモーターは、入札時に返金可能な保証金1000万ランド(43万8000ポンド、約8400万円)を、今月末までに支払うことになっている。
■競争か協力か?
南アフリカの動きは、F1にとって最後の未開拓市場であるアフリカへの関心が高まるなかで起きている。ルワンダは最近、独自にグランプリ開催に立候補すると発表し、両国がF1カレンダーにおけるアフリカ唯一の開催枠を争うことになるのかどうか疑問が浮上している。
しかし、南アフリカのスポーツ大臣ゲイトン・マッケンジーは、両国間がライバル関係にあるという考えを否定。マッケンジーは7つのレースがさまざまな国に分散しているヨーロッパのモデルに倣い、アフリカが複数のレースを開催できるようにする共同的なアプローチを思い描いている。
「ルワンダと南アフリカのどちらかを選ぶという話は好きではない。ヨーロッパではレースが7つあることを私はよく思っていない。モナコだろうがイタリアだろうが誰も疑問に思わない。7レースのすべてがある」と、先月マッケンジーは『The Citizen』のインタビューで語った。
「我々はアフリカで複数のF1レースが開催されるよう協力することを主張している。実を言うと、我々はF1について最も説得力のある主張をすることができる」
「しかし、ルワンダと競争すべきではない。我々はどのようにお互いをサポートできるかを見出すために対話を行うべきだ」
「我々の財政規模は大きく、モータースポーツコミュニティも大きく、コースも有している。我々は競争するのではなく、彼らを支援したいと考えている」