『イジられキャラ』が『誰もが憧れる人気No.1レースアンバサダー』に輝く。RAアワード2024グランプリの座を掴んだ水瀬琴音が明かす重圧と苦労

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2025年01月21日 19:20  AUTOSPORT web

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にしたんクリニック レースアンバサダーアワード2024でグランプリに輝いた水瀬琴音さん
 2024年に国内主要レースカテゴリーで活躍した300名を超えるレースクイーン/レースアンバサダー/チームアンバサダーの中からファン投票で人気No.1を決める『にしたんクリニック レースアンバサダーアワード2024』。2カ月に渡って投票が行われ、D'stationフレッシュエンジェルズとして活躍した水瀬琴音さんがグランプリに輝いた。

 2023年の日本レースクイーン大賞で念願の大賞を受賞し、2024年はグランプリを目指し再びこの賞レースに挑んだ水瀬さん。どんな想いでグランプリを目指し、レースアンバダサーアワードに挑んでいたのだろうか?


■最後まで不安だった表彰式のステージ
「はぁ、嬉しいなぁ」

 レースアンバサダーアワード2024グランプリの大きなトロフィーを大事そうに抱えながら、東京オートサロンのステージで素直な気持ちを吐露した水瀬琴音さん。

 2024年度はD’stationフレッシュエンジェルズとして活動し、レースアンバサダーとしての仕事のみならず“サーキットで歌って踊れるアイドル”としての活動もこなすなど、シーズン中は忙しい日々を過ごしていた。

 水瀬さんがレースアンバサダーになったのは2019年。ModuloプリティとしてスーパーGTとスーパー耐久の舞台に登場。その年の日本レースクイーン大賞新人部門と大賞本戦ともにファイナリストに残るなど、デビューイヤーから大きな注目を集めた。

 あれから6年。

 天真爛漫で元気いっぱいのキャラクターでファンを増やしていった彼女は、いつしか多くのレースアンバサダーが憧れる頂点の座を手にした時に発せられた心境そのものだった。

「グランプリが誰になるのかは、本当にステージ上で発表されるまでわからないじゃないですか。『もし獲れなかったらどうしよう』という不安の気持ちでいっぱいで……。そわそわしちゃって、そこで泣きそうになっていました」

 心の中では不安な気持ちで支配されそうになりながらステージ上に立っていたという水瀬さん。

「その前に特別賞で東京オートサロン賞をいただくことができました。けれど、あの時は『特別賞をもらっていない子が、もしかしたらグランプリなのかもれない』と思い込んでいました……。すごく不安になって、ずっと泣くの堪えていました」

 その不安な気持ちとは裏腹に、前年度のグランプリである松田蘭さんから水瀬の名前がコールされると、それまで張り詰めていた緊張の糸が切れたかのように泣き崩れた。

「なんか、良かったというか……安心しました」と、水瀬さんは当時の心境を振り返る。

「例年では考えられないくらい自分のまわりの女の子とかお仕事の方々とか、私の友達や家族も……たくさんの人が一生懸命応援してくれていました。もしグランプリを獲れなかったら、どう報告すればいいんだろう……。応援してくれたみんなに顔向けできないと思っていたので、『みんなに報告できる!』と思って安心した気持ちがいちばん大きかったですね」

 グランプリになったという実感を得た後、水瀬さんの頭によぎったのがステージ上でのスピーチで飛び出した「あけましておめでとうございます」という言葉。このNo.1の座を掴むため、まさに年末年始を返上で頑張り続け、彼女のもとに11日遅れの2025年がやってきた。

「本当に気が気じゃなくて、お正月とかもなくて、ずっと年を越した気がしていませんでした……。今、私に2025年がやってきました」

「『私にとって、やっと年が明けた!』と思って、あのスピーチになったんです(苦笑)。本当に嬉しさが込み上げてきました。みんなとどんどん作り上げてきて一緒に成長してきた6年間だったので、その集大成がグランプリという結果になって、すごく嬉しいです」と、喜びを噛み締めながら語る水瀬さんの想いは止まらない。

■フレッシュエンジェルズの存在が意識を変えるきっかけに

「2019年の頃は何も考えていなかったです。『レースクイーンってカッコいいな。頑張ろう!』みたいなノリで、それこそスーパー耐久のPRステージでギャグとか漫才とかやっていたんですよ(笑)」

 そうデビューイヤーのことを振り返る水瀬さん。まさに“天真爛漫”という言葉が似合うキャラだった水瀬さんにとって転機となったのが、レースアンバサダー界で絶大な人気を誇るユニット『D’stationフレッシュエンジェルズ』加入だ。

「2020年の時にD’stationフレッシュエンジェルズを務めることになりました。オーディションの最終審査で、プロデュースする南(香織)さんに『フレエンできるの?』と言われて『はい、できます!』と言いました。そうしたら『まずはダイエットをしたりとか、いろいろ変えていかないといけないけど、できるの?』と言われて……(苦笑)。

「それでも『できます!』と言いました。今振り返ると、その時が大きなターニングポイントだったと思います。そこからレースクイーンに対する意識が変わりました」と水瀬さん。

「フレッシュエンジェルズといえば、サーキットでのレースクイーン活動に加えて、アイドルとしても活動しレース期間中にイベント広場で歌やダンスを披露するなど多忙を極めるユニットとしても知られている。

「ダンスや歌をやらないといけないですし、当時はDVDも出していたりして、すごく忙しかったです。物販サイン会も毎回たくさんのファンが集まってくれて、サーキットの中での活動はもちろんなのですが、それ以外の場所でも頑張らないといけない瞬間がいっぱいあります」

「すごく華やかで人気のユニットなので、ファンもいっぱい作らないといけない……。とにかく気持ちの面を変えたことが大きかったです」

 そうして笑いあり涙ありの経験を積み重ねていくうちに、ユニットを背負っていく気持ちが強くなり、新たな目標が芽生える。

「『フレエンにいるのだったら、自分も人気者にならないといけない』という気持ちがありました。その象徴がレースアンバサダーアワード(日本レースクイーン大賞)です。過去にもフレエンでグランプリを獲った方が何人もいらっしゃいます」

「私がフレエンでいるのであれば、グランプリを目指さないといけないというか、獲らないといけないという気持ちがありました。フレエンの歴史に恥じないように結果を残さないといけないと思っていました」

 水瀬さん自身としては“大賞5カ年計画”と称して、5年間の挑戦を経てレースアンバサダーアワードの5名に選ばれることを目標に一歩ずつ歩んできた。その努力が報われ日本レースクイーン大賞2023では見事大賞を獲得。目標は達成されたのだが……自身をさらなる高みへ導いてくれたユニットへの想いが“再挑戦”の舞台に進ませた。

「私も甘えているだけは駄目だなと思って、どこかで自分も今までいろんな先輩から受け継いできたフレエンという素晴らしいものを、私も引っ張っていきたいなと思って覚悟を決めて挑戦しました」

 コロナ禍以降では初めてとなる大賞(アワード)受賞者がグランプリを目指して再挑戦する闘いが始まった。

■投票期間中に助けになった“レジェンドの声”

 ここ数年、レースアンバサダーアワードのレベルは年々上がっており、“本命”と言われている人であってもアワードの5名に選ばれるとは限らない。それを誰よりも知っている水瀬さんは、特に年を跨ぐファイナルステージで痛感していたという。

「実は、期間中に白髪が1本生えました(苦笑)。美容師さんに言われて『根本のところに1本白髪がありますけど、何かストレスとかあるのですか?」と聞かれました。ライブ配信も毎日していたんですけど、投票の終盤とかは『顔疲れているけど、大丈夫?』とファンの方にも心配されました」

 そこまで追い込まれていた水瀬さんを救ったのが、同じフレッシュエンジェルズのメンバーとして活躍し、日本レースクイーン大賞2018グランプリの林紗久羅さんの言葉だ。

「投票期間中も周りのライバルというか他の挑戦している人たちがとても強く見えて、『私なんかが……』みたいな感じすぐ落ち込んでいました。そういう時、さくちゃん(林紗久羅さん)に『もう無理かも』とか『あと私にできることは何かないかな?』としょっちゅう連絡していました」

「『私もそういうときがあったよ。ネガティブな投稿は見ないようにして、自分がやれることを全部やりなさい』って言われて、私もそうしました。今まで挑戦したなかで『絶対にいちばん頑張った!』って言い切れるぐらいやりました」

 さらにレースアンバサダーのキャリアでいちばんの勝負をしていることに水瀬さんの周囲も気づき、自発的に“呼びかけ”が始まる。

「改めて振り返ると、今回のアワードは自分の力だけじゃ絶対に無理でした。家族も本気で頑張ってくれて、妹が『お姉ちゃんが出ているから投票してね』とまわりに言ってくれたり、私の友達も『今、友達が頑張っているから投票して!』と広めてくれました。ファンの人たち『推しが出ているから』とどんどん声をかけてくれて……」

「自分の輪だけではなくて、どんどん広げていってくれました。ファンの人たちが“こちゃの輪”を広げてくれたからこそ、いただけたグランプリなんだと思います」

 自身の想いや頑張りに感化されて行動した周囲の力もあり、見事グランプリの座を射止めた水瀬さん。グランプリ発表直後、彼女のもとに駆け寄ったのは、他の誰もない……水瀬さんの頑張りと苦労をいちばん身近で見ていた林さんだった。

「レースアンバサダーアワードに挑戦するなかで『さくちゃんと一緒にステージに立ちたい!』とファンの人に言ったことがあります。さくちゃんからトロフィーを受け取りたい思いもあったので、花束を持ってきてくれた時は、本当にめちゃくちゃ嬉しかったです」

■6年前はまったく意識していなかった人気No.1の証が手元に

 デビューした当時は、自分が人気No.1レースアンバサダーになるとは夢にも思っていなかったという水瀬さん。

「6年前は『私がグランプリを獲る』とか、目指すことさえも考えたことがなかったです。みんなが『応援して良かったな!』と思ってもらえるような、何か元気が出るようなレースクイーンになりたいという目標でやってきました」

 それがD’stationフレッシュエンジェルズとの出会いをきっかけに意識が変わり、先輩たちの活躍を間近で見て、いつしか人気No.1レースアンバサダーを目指すようになに、ついに夢を現実に変えた。

「あの時はグランプリとは無縁というか、『すごい人たちだなぁ……』と思って見ていました。今こうしてグランプリを獲ったからには『あの人がグランプリ?』とネガティブな感じで言われないようになりたい……」

「後輩やレースアンバサダーアワードを目指している子とかに対しても『私も自分の長所を伸ばしていけばどんどんレベルアップできるとか、一歩一歩挑戦していったら、そういうふうになれるんだな』と、何か(みんなからの)目標になれるように、頑張っていきたいと思います」

 今回、爆発的に広まった“こちゃの輪”で勢いを増していったのは確かだが、何より強い芯を持った本人の意志と努力があってこそ辿り着いた頂点の座なのだろう。

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