デイル・アーンハートJr.のJRM、エクスフィニティ王者を起用しデイトナ500でNASCARカップ初挑戦へ

　活況を呈するNASCARカップシリーズの2025年開幕戦『デイトナ500』に向け、新たなチャレンジャーが名乗りを挙げた。言わずと知れたデイル・アーンハートJr.と、ケリー・アーンハート・ミラーが所有するJRモータースポーツ（JRM）が、昨季のNASCARエクスフィニティ・シリーズ王者に輝いたジャスティン・オルゲイヤーとともに予選へと挑み、カップへの初挑戦を表明した。

　ドライバーとして2度優勝したレースにマシンを投入するアーンハートJr.と、妹のケリーが共同所有するこの組織は、カントリーミュージックのスターでグラミー賞を10回受賞したクリス・ステイプルトンと提携し、ステイプルトンは自身の“Traveller Whiskey（トラベラー・ウイスキー）”のブランドを通じて40号車シボレー・カマロZL1のタイトルパートナーを務める。

「JRモータースポーツにとって、この絶好のタイミングを待っていた」と明かしたアーンハート。

「ジャスティン（・オルゲイヤー）がエクスフィニティ・シリーズを制覇し、クリス・ステイプルトンの紛れもないスターパワーにより、今季のデイトナ500に挑戦する絶好の機会が整ったんだ」

　カップ参戦のチャーター権を所有していないJRMにとって、本戦出場への道のりは簡単なものではなく、チームは予選での平均ラップスピードか、または木曜の夜に開催されるデュエルレースのいずれかで出場権を獲得する必要がある。

「（妹の）ケリーには、すべての瞬間に立ち会いたいと伝えた。シャシーの選択やクルマの購入、部品の調達を始めた瞬間から。NASCARでそのプロセス全体を理解することさえ、エクスフィニティのやり方と比べると本当にユニークで新しいことだ。僕はすべてに関わりたい、少なくとも目撃者になりたいんだ」

　このプログラムはチームにとって最高峰への初挑戦となるが、すでにエクスフィニティで82戦に出場し、2016年以来シリーズで22勝を記録しているオルゲイヤーにとっては、出場資格を得た場合に自身3回目のデイトナ500参戦となる。

「JRモータースポーツのカップシリーズ初参戦でドライブできることは、信じられないほど光栄だ。デイルとケリーだけでなく、クリス・ステイプルトンのトラベラー・ウイスキーと一緒にドライブできることは、さらに特別なことさ」と応じたオルゲイヤー。

「デイトナ500に参戦することは、この組織の長年の目標であり、優勝を争うために必要なものはすべて揃っていると確信している。これは間違いなく特別な瞬間になるだろうね」

　昨季の『コカ・コーラ600』では、同日にインディカー・シリーズとの“ダブル”に挑戦したカイル・ラーソンの代役を務めたオルゲイヤーは、バックアップドライバーとして予選を通過し、雨で短縮されたレースを完走し13位でフィニッシュしている。

「JRモータースポーツがカップシリーズに出場できるかどうかは、まだ誰にもわからない」と続けたオルゲイヤー。「しかし、つねに『初』というものは存在する。そして、これは明らかに僕たち全員にとって本当に重要なことなんだ」

　チームのクルーチーフはグレッグ・アイブスが務め、エンジンはヘンドリック・モータースポーツ（HMS）が供給。チェイス・エリオット、ウィリアム・バイロンらを輩出し、自身もHMSと数々の栄冠をともにしてきたアーンハートJr.にとっても、これは新たな挑戦の第一歩となる。

「予選に向けマシンがプッシュアウトされるとき、僕はピットロードにいるつもりだ」と続けたアーンハート。

「水曜日にレーストラックでマシンが降ろされるときもそこにいるし、練習走行のときもそこにいる。技術チェックもしたいし、すべてを見たいんだ。もちろん他の業務的な義務もあるから何が現実的かはわからないが、これは唯一無二の機会で、夢が叶ったことを実感するように取り組んでいきたいんだ」

　同じくチームの共同運営に携わるケリー・アーンハート・ミラーも「カップ シリーズへの参戦機会について、つねに話し合ってきた」と繰り返した。

「言うまでもなく、私たちはレーシング一家だ。これが私たちの人生であり、情熱なんだ。だから、私たちにとって本当に特別な場所であり、アーンハート家が父デイルとともに多くの歴史と成功を収めてきた場所である『デイトナ500』の場でカップ戦に初エントリーできることは、まさに運命が一周したようなもの。これは完璧な状況で、適切なタイミングだ。ここにいられることをとてもありがたく思っているし、うれしく思っている」

　これでJRMは、すでに開幕戦へのオープンエントリーでの挑戦を表明しているビアード・モータースポーツ、ライブ・ファスト・モータースポーツ、MBMモータースポーツ、NYレーシング、そしてトラックハウス・レーシングに続くオープンチームとして戦列に加わり、新規定により本戦出場が確約されているエリオ・カストロネベス（トラックハウス・レーシングチーム／シボレー・カマロ）らと相見えることになる。