ハースF1チームは、2025年シーズンに向けて、レースチームの体制を大幅に変更することを明らかにした。上級職に新たなメンバーが加入するとともに、チーム内での役割変更も行われる。フランチェスコ・ネンチが新たにチーフレースエンジニアに就任、エステバン・オコンのレースエンジニアは、これまでのパフォーマンスエンジニアであるローラ・ミューラーが務める。女性のフルタイム・レースエンジニアが登場するのは、F1史上初だ。
ネンチは、過去にトヨタ、ザウバー、マルシャなどに所属し、最近では約10年にわたり別のカテゴリーで活動してきたベテランだ。さらに、レーシングブルズ/RBで戦略担当を務めたカリーヌ・クリデリッチが、ハースの戦略責任者に就任する。また、チームマネージャーのピーター・クロラはハースから去るものの、かつてハースでチームマネージャーの役割を担っていたマーク・ロウが、スポーティングディレクターとしてチームに復帰する。
ドライバーラインアップ一新に伴い、レースエンジニア陣営も変更される。マーク・スレイドとゲイリー・ギャノンに代わり、これまでパフォーマンスエンジニアを務めたローラ・ミューラーとロナン・オヘアが、それぞれオコンとベアマンの担当レースエンジニアを務めることが決まった。ミューラーはF1史上初の女性レースエンジニアとなる。
特定のメディアに対してコメントした小松礼雄チーム代表は、ミューラーの昇進は、男女平等のPR的な動きではなく、純粋に彼女の能力に基づいて決定したと明言した。
「彼女は非常に勤勉で、労働倫理も素晴らしい。だからエステバンのレースエンジニアに起用されるのです」
「彼女はとても意志が強い性格です。エステバンもかなり意志が強いので、性格的によく合うと思います」
「オフィスにいる女性エンジニアの数は、確かに以前よりも増えています。でもローラを選んだのは、彼女が女性だからというわけではありません。私たちは、国籍や性別を気にしません。本当に重要なのはそこではなく、重要なのは仕事です。チームにどう適応できるか、どうやってパフォーマンスを最大化できるか、それが大切なのです」
2025年シーズンにレースチームに導入する変更について、小松代表は「昨年、それが最も弱い部分のひとつだと感じました」と語った。
「マシンが競争力を増すにつれて、ある意味、その弱点がより明らかになりました。レースの遂行という意味では、本来なら6位になるべきでしたがそうはなりませんでした。その一因は、トラックサイドの運営で多くのポイントを失ったことでした。だからこそ、そこを本当に改善する必要があったのです。プレッシャーがかかった状況で、本来の機能を発揮できないことが何度もありました。それは単に人員の問題だけではなく、私たちが提供できるトレーニングの量の問題でもあります」
小松代表は、2月16日にシルバーストンでフィルミングデー走行を行い、2025年型ハースVF-25をコースデビューさせる計画であると明かした。この日はオコンが担当する予定だという。プレシーズンテストが始まる数日前に、バーレーンにおいて2回目のフィルミングデー走行を実施し、そこではベアマンが走る見込みだ。
■2025年F1ニューマシン関連日程
●ウイリアムズ発表会:2月14日
●ハース(シェイクダウン):2月16日
●F1合同ローンチイベント:2月18日
●フェラーリ発表会:2月19日
●F1プレシーズンテスト(バーレーン):2月26〜28日