ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)のマネージングディレクター、ジョナサン・ディウグイドは、同チームが1月25〜26日に開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦『デイトナ24時間レース』で採用する、各車3名のドライバーラインアップが「より簡単なアプローチ」だと考えている。
昨季2024年のロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間)を制したPPMは、ディフェンディングウイナーの7号車ポルシェ963と姉妹車6号車を各3人のドライバーで走らせる。
同様のドライバー構成で今週末のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦に臨むのは、アレックス・リンの病欠を発表しているキャデラック・ウェイン・テイラー・レーシングの40号車キャデラックVシリーズ.Rだけ。つまり計12台のGTPエントリー中、3台のみとなっている。
3人体制が少数派であることは、計10台が出場した2024年の同クラスで、アクション・エクスプレス・レーシングの31号車キャデラックVシリーズ.Rだけが4人体制を採らなかった構図と似ている。
しかし、ディウグイドは、IMSAが今年のレースから開始される予定だった4名体制の義務を撤回する前に、昨年は先手を打って4人制を選択したことを明らかにした。
同氏は「再評価する機会を得た」と述べた。「我々のドライバープールでは3人のアプローチが最善だと感じた」
「もちろん、ケビン(・エストーレ)とローレンス(・ファントール)はここでドライブした経験があり、とくにWEC世界耐久選手権での成功を踏まえ、デイトナで本当に経験豊富で強力なドライバーたちを揃えるために、彼らを呼び戻すことは私たちにとって簡単な決断だった」
だが、ディウグイドは3名で戦うことでチームがドライバーのローテーションに縛られやすくなることを認め、それには長所と短所があると述べた。
「そこにはいくつかの教訓があると思う」と彼は言った。「(オーソドックスな4人と)3人の最大の違いはおそらく、レース前に決めたローテーションや計画に縛られてしまうことで、柔軟性やダイナミックさが失われてしまうことだろう」
「レースの最後の6時間で最終盤のスティントを走るひとりかふたりを決めるかもしれないが、それ以外のほとんどのことはスタート前に計画されている」
「ドライバーが4人いれば、誰かが体調を崩したり、雨のほうが得意なドライバーがいたりするため臨機応変に対応できる。その点、私たちの場合、何か大きな変化がない限りはレース開始前にドライバーのローテーションはほぼ決まっていると思う。それがおそらく最大の変化だ」
「その点では、私たちにとってはより簡単なアプローチになる。また各車の3人がほぼ同じレベルでパフォーマンスを発揮しているという意味でも簡単なので、このアプローチにマイナス面はないと考えている」
「もうひとつ違いがあるとすれば、それは休憩時間に関するものだ」
「フェリペ(・ナッセ)やケビンがクルマから飛び降りて、『俺たちはあと4、5時間は会えないぞ』と言ったら、バスのドアを叩いて彼ら起こし『おい、準備してくれ』と言って少しショックを与えるのは少々難しいだろう」
「それが起こりえないと言っているわけではないが、通常はより固定されたローテーションに縛られるだけだ」
■3人と4人のドライバーラインアップは「ゲームチェンジャーではない」とナッセ
昨年、ポルシェ・ペンスキーの歴史的な勝利に向けて、4人のドライバーラインアップの中で合計9時間にわたって7号車ポルシェ963をドライブしたナッセは、3人と4人のドライバーラインアップに大きな違いがあるとは感じていない。
「たぶん今年は睡眠時間が少なくなると思うよ!」と彼は冗談を言った。
「しかし、ゲームチェンジャーではない。たしかに3人のドライバーで1台を走らせることにはメリットがある。ロア(本戦の1週間前に行われる恒例のIMSA公式テスト)とレースウイークの間に行う準備がより整う傾向があるんだ」と続けたナッセ。
「また、(テストで)クルマに乗るたびにセットアップを変更したり、タイヤを変えたりする時間が増える。ひとりあたりのドライブタイムが増えるんだ」
「ドライバーが4人いると、基本的に夜と昼の間のすべてのトランジションを走る機会がないことがわかる。どちらか一方にしなければならず、選択肢が限られてしまう。どのドライバーも練習時間が短くなるし交代の間隔が狭くなる」
「しかし、レースになるとドライバー間で『OK、このレースのこの部分をやりたい。トランジションに行きたい。夜のスティントをやりたい』と言える時間が増える。ある意味では少し柔軟性が増すと思う」
「だから、どちらが良い悪いはないと思う。こうした小さな違いが週末にも続くだけだ」