1月17日、日産自動車/日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は、2025年のスーパーGT GT500クラスに参戦するドライバーラインアップを発表した。陣営にとってエースナンバーと位置づけられる23号車NISMOへの加入が決まった高星明誠に、チーム加入への思いと今季の目標を聞いた。
高星は1993年生まれ。2015年にGT300デビューを飾り、2017年に全日本F3選手権のチャンピオンを獲得すると、2018年にGT500デビュー。KONDO RACING、NDDP RACING/NISMO NDDPと7年間を戦い、いよいよ2025年、NISMO入りを果たすことになった。
今シーズンコンビを組む千代勝正と同様、もともと高星はニッサン/ニスモが進めていたドライバー育成プログラムの出身。周囲が位置づけるエースナンバー『23』をつけるNISMOへの加入は喜びなのかと思いきや、「『23』もニッサン勢の4台のうちの1台なので、エースという認識ではないんです」という。高星にとって、あくまでカーナンバーはカーナンバー。スピードとリザルトを残したクルマこそがエースという考え方だ。
その点では、千代とのコンビ復活はタイトルを争った2022〜23年の“速さと強さ”の復活を思い起こさせる。「まわりからふたりのコンビが強力だという評価をもらえているのは嬉しいことです。それは結局、速さと結果を残せていたからじゃないかと思っています」と高星は言う。
「千代さんもレース中のオーバーテイクなどアグレッシブな戦いをみせてくれますし、僕も昨年はそういうシーンをみせることができたと思っています。スーパーGTはやはり決勝のロングランのペースが大事になると思っているので、その点で強さをみせられるのは良いことだと思っています」
1月19日にスタートしたセパンテストでは、さっそく千代と組み2025年に向けたテストプログラムを始めた高星。2025年、目指すはもちろんチャンピオンだ。
「2022年が2位、次の年も2位で、昨年が3位。ずっとチャンピオン争いができていますが、逆に言うともう一歩まではきていても届いていないので、良い面と悪い面があると思っています。チャンピオンが獲りたいですし、そのためにもう一段階ドライビングスキルの面でレベルアップしたいと思っています」と高星は今シーズンに向けて語った。
そのスキルアップのために、今季参戦が決まったスーパーフォーミュラも役に立つのではないかと期待する。高星は「今のスーパーGTは、予選の前までに10〜15周くらいしか乗れないんですよね。その中でスキルを向上させるのは難しいと思うんです。でも今シーズン、スーパーフォーミュラに乗ることで速さもそうですし、1台のクルマをひとりで長く乗ることができるので、得られるものは大きいと思います。乗るチャンスを得ることができたので、それを糧にしてスーパーGTにも活かしたいですね」と期待した。
高星が3号車をドライブしていた3年間、単純にランキングだけ見れば3号車が23号車を先行してきた。高星自身から出た「エースという認識ではない」という言葉は、これまで3号車で築いてきたものへの自負から生まれているのかもしれない。届きそうで届いていなかったチャンピオンという目標を掴むことができれば、ふたたび『23』が名実ともに輝きを取り戻すはずだ。