1月23日(木)、2025年WRC世界ラリー選手権の第1戦『ラリー・モンテカルロ』のデイ1はスペシャルステージ1から3の走行が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合首位に立っている。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームのレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合8番手で大会初日を終えた。
ついに戦いの火蓋が切って落とされた2025年WRC。今季はマシン規定の変更やタイヤサプライヤーの変更、ポイント制度の更新など新要素が多いことが特徴だが、そんな今年も変わらず伝統のモナコ・モンテカルロが開幕の地となった。
93回目の開催となる今回のラリー・モンテカルロでは、各チームの拠点となるサービスパークがフランス・ギャップに設置され、前日22日にはすでにシェイクダウン走行が実施。そして、迎えた23日にはモナコのカジノ前でセレモニアルスタートが執り行われ、正式にイベントの開幕が告げられた。
その後、各クルーはそのままステージ1が行われる地へ向かうためにフランスへと北上し、現地時間18時5分よりSS1『ディニュ・レ・バン/ショードン・ノランテ 1』(19.01km)へ臨んだ。
基本的な路面はターマック(舗装路)となる一方、積雪や凍結などの影響も大きいためにタイヤ選択が一筋縄ではいかないのがこのラリーの特徴だが、SS1はドライの峠道が舞台となった。
気温8度の夕闇のなか、まずは2024年シーズンの選手権王者であるヌービルからアタックを開始。路肩には凍った状態の雪だまりも残るなかで走行は進み、続いてTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)やヒョンデのオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)もコースへと入る。
開幕ステージでは、同イベントを9度制した記録を持つ“モンテ・マイスター”のセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がステージウインを飾り、ひとり目のラリーリーダーとなった。2番手以降にはエバンス、ヌービルと続く。
一方、TGR-WRTのチームメイトであるカッレ・ロバンペラや勝田貴元(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)は、ここだけで15秒以上のロスとなり、出走順による路面の汚れの影響がそれなりに大きいであろうことも予想された。また、勝田は「詳しくはわからないが問題がある」とインタビューに応えるなど、若干の失速せざるを得ない状況にあったようだ。
そのまま一行はさらに北上し、SS2『フォウコン・デュ・ケア/ブレジエ』(21.18km)に突入する。どんどんと暗くなり、沿道に集まった観客の炊く煙幕も濃さを増してきたSS2でも、オジエがスピードを見せて連続のステージウイン。さらにヌービルもペースを掴み始め、5.3秒差の総合2番手に浮上してきた。
しかし、この日最後となるSS3『アヴォンソン/ノートルダム・ドゥ・ローサ 1』(13.97km)では、好調のモンテ・マイスターを悲劇が襲った。
中速コーナー半ばで姿勢を乱したオジエは、ハーフスピン状態となり失速。これによってステージタイム自体は約20秒ロスしたものの、見事なマシンコントロールで最悪の事態こそ免れたことは不幸中の幸いだろう。
ただ、オジエのミスによってヌービルは総合首位に浮上。総合2番手には、SS3でステージウインを飾ったエバンスが2.0秒差で続き、オジエは12.8秒差の総合3番手となった。その背後には、ヒョンデのオット・タナクとアドリアン・フルモー(ともにヒョンデi20 Nラリー1)が続き、マニュファクチャラーとしてはヒョンデが一歩リードの開幕日となった。
またサポートカテゴリーのWRC2クラスでは、シュコダ・ファビアRSラリー2へと乗り換えたニコライ・グリアジンが躍動。SS1〜3のすべてでラリー2最速となる速さを見せた。しかし、今回はポイント対象外のエントリーとなっているため、クラス順位には反映されておらず、各ステージで続くタイムを刻んだシトロエン・レーシングのヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)がクラストップに立ち、2番手には弟のレオ・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が続いた。一方、こちらもポイント対象外の参戦を選んでトヨタGRヤリス・ラリー2でのデビューラリーを戦っているオリバー・ソルベルグは、1本目でパンクに見舞われたために早くも5分ほどの遅れを取ってしまった。
明日、フルデイ初日となる大会2日目はSS4からSS9までの全6本を予定。スペシャルステージの総走行距離は107.34km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は422.84kmだ。