「BCN AWARD」は、家電量販店などから集計している実売データ(POSデータ)をもとに、部門ごとに年間販売数量累計1位のメーカーを称える制度。前年の実績に基づくため、「BCN AWARD 2025」の対象期間は2024年1月〜12月となる。
その他の画像はこちら 25年1月20日に発表した「BCN AWARD 2025」から、本記事ではデジタルビデオカメラを取り上げ、No.1メーカーや市況について解説する。なお、アクションカメラは別部門であるため、「デジタルビデオカメラ部門」の集計には含まれない。
デジタルビデオカメラ部門において、AWARDを獲得したのはDJIだった。2021年から3年連続で3位だったが首位は初めて。メーカー別販売台数シェアは48.1%と市場の約半数を占めた。躍進の要因は、23年10月末発売の「Osmo Pocket 3」だ。同製品発売直後の11月から同社のシェアは急上昇。24年12月までの14か月間、ソニーとパナソニックを上回って首位を維持していた。
年間のシリーズ別販売台数ランキングは、前述のDJI「Osmo Pocket 3」が1位を獲得。シェアは41.5%と、この1製品のみで市場の4割以上を占めた。従来の横型のビデオカメラとは異なるジンバル付きの小型手持ちカメラで、センサーサイズの大型化や急速充電対応など、前モデル「DJI Pocket 2」から様々なスペックが向上しており、人気を博している。
2位はパナソニックの「HC-V495M」。23年7月発売の製品だが、24年に入っても同社の売れ筋としてシェアをけん引した。4位には2022年モデルの「HC-VX2MS」もランクイン。各社がデジタルビデオカメラの取り扱いを縮小する中でも、同社は毎年新モデルを発売しており、定番製品として根強い支持を得ている。
異彩を放つのは7位と10位にランクインしたソニーの「ILME-FX」シリーズだ。同製品はプロ向けのフルサイズカメラで、「ILME-FX3」の平均単価は40万円を超えるが一定のニーズを捉えた。市場の縮小に伴い、本来はランキング上位に位置しにくかった製品も現れた結果とも言えるだろう。
2024年のデジタルビデオカメラ市場は、「Osmo Pocket 3」という大ヒット商品の登場により、販売台数前年比で115.0%を記録した。スマートフォンの普及で誰もが気軽に動画を撮れるようになり、需要が減少している市場にとっては久々の明るいニュースだろう。同製品のヒットを試金石として、25年もデジタルビデオカメラの新たなニーズが掘り起こされることに期待したい。
実売データ提供販売店(24年12月現在)はアマゾン・ジャパン、エクスプライス、エディオン、NTTドコモ、玉光堂、ケーズホールディングス、コジマ、サードウェーブ、サンキュー、上新電機、ストリーム、ソフマップ、ZOA、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、三星カメラ、ムラウチドットコム、ユニットコム、楽天ブックス、綿半ドットコム(50音順)。