1月21〜23日、2025年フォーミュラ・リージョナル・ミドル・イースト選手権(FRMEC)の第2大会がアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催された。3名の日本人ドライバーが参戦するなか、レース1ではホンダの若手ドライバー育成プログラム、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)の加藤大翔(ARTグランプリ)が3位に入り、FR初表彰台を獲得した。
2025年シーズンのFRMECは1月中旬から2月末までの冬季かつ短期間で全5大会15戦が開催される。第2大会の舞台は第1大会から変わらずヤス・マリーナ・サーキットとなるが、短縮レイアウトとなる『コークスクリューサーキット』での開催となった。
レース1のスターティンググリッドは予選Q1のタイム順、レース2のスターティンググリッドは第1戦決勝順位のリバースグリッド、レース3のスターティンググリッドは予選Q2のタイム順で決せられるなか、Q1ではランキング首位につけるフレディ・スレーター(ムンバイ・ファルコンズ)が2番手を0.435秒引き離すアタックで今季3度目のポールポジションを獲得。
Q2ではランキング2位につけるエバン・ギルテール(ARTグランプリ)が初ポールを獲得した。日本勢のQ1は加藤が4番手、TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム/TGR-DCの中村仁(R-ace GP)が6番手、りー海夏澄(ARTグランプリ)が13番手。Q2は加藤が7番手、中村が8番手、海夏澄が14番手となった。
陽の光がまだ残る22日夕刻、レース1はスタートを迎えた。6番グリッドスタートの中村は抜群のスタートを決めて5番手に浮上すると4番手加藤と並ぶかたちで最初のコーナー(グランプリレイアウトでのターン9)を迎えた。日本人同士の見応えあるサイド・バイ・サイドのバトルとなったが、加藤が4番手を死守する。
後続でのアクシデントに伴うセーフティカー(SC)導入を挟むも、上位勢は均衡状態が続いた。ただ残り10分を切ったなか、バックストレートエンドのシケイン(グランプリレイアウトでのターン6)飛び込みで首位のスレーターがロックアップ。スレーターはコース上に留まりタイムロスをわずかに抑えたものの、続くストレートエンドギルテールがトップに浮上すると、そのままトップでチェッカーを迎えることに。
スレーターはラシッド・アル・ダヘリ(ムンバイ・ファルコンズ)にもかわされ3番手に後退。この時点でスレーターと4番手加藤の間には1秒以上のギャップが開いていたが、スレーターのタイヤは限界が近づいていた。ストレートでスレーターと並んだ加藤はターン9でインからオーバーテイクを決め、3番手にポジションを上げてチェッカー。FRでは初めての表彰台を獲得した。
一方、中村はタイヤが厳しい状況で長らく5番手の座を守っていたが、終盤にジェシー・カラスケード(ピナクル・モータースポーツ)にかわされ6位でチェッカー。12番グリッドスタートとなった海夏澄は15位となった。
続いて23日に行われたレース2は、元F1ドライバーのルカ・バドエルの息子、ブランド・バドエル(PHMレーシング)がリバースポールを獲得。日本勢は中村が5番グリッド、加藤が8番グリッド、海夏澄が14番グリッドからスタートを迎えた。そんななか、中村はここでも抜群の蹴り出しを見せ、一気に3台をオーバーテイクすると2番手に浮上した。
オープニングラップ終盤、バックストレートエンドのシケインでテオフィル・ナエル(サンテロック・レーシング)にかわされた中村は、ナエルのスリップに入り続くターン9でのオーバーテイクに臨んだ。ナエルがイン側、中村がアウト側にポジションを取るなか、イン側のナエルがアウト側に膨らみ、中村はナエルを避ける回避行動をとった。
その間隙をついたウーゴ・ウゴチュクウ(R-ace GP)がターン9立ち上がりで中村の前に出ることに。中村は続くターン12でアウトからウゴチュクウに仕掛けたが、並びかけたところで接触。両車ともに大事には至らなかったものの、中村は5番手に後退した。
ストップ車両に伴いSCが導入され、残り17分でレースはリスタートを迎えると7番手走行中の加藤は積極的にオーバーテイクを仕掛ける姿勢を見せた。ただ、加藤は接触でフロントウイングにダメージを負い後退。一方、中村は5番手を守りながら先行車両に揺さぶりをかけ、オーバーテイクの機会を伺っていたが、残り12分を切ったところで、ダウンシフトの際にギヤがニュートラルに入るトラブルに見舞われ8番手に後退。トラブルを抱えたなかでの走行となったが、中村は8位でチェッカーを受けた。
海夏澄は混戦の最中も安定した走りとタイヤマネジメントを見せて9位に入った。なお、レース2はバドエルが優勝。加藤は22位となった。
続いて行われたレース3。ポールシッターのギルテールがホールショットを守る一方、昨年のマカオGPウイナーであるウゴチュクウが4番グリッドから2番手に浮上する。そんなオープニングラップの最終シケインにて、7番手の加藤が6番手エンツォ・デリニー(R-ace GP)のインに飛び込んだ。
ただ加藤は止まりきれず、5番手を走行中だったランキング首位のスレーターに追突。スレーターはスピンを喫し、その後4周目にレースを終えることに。加藤はフロントウイングにダメージを負い、2レース続けて緊急ピットインを強いられる厳しい展開となった。
レース終盤、ウゴチュクウはギルテールをかわし首位に浮上する。タイヤのデグラデーション(性能劣化)の影響が各ドライバーを悩ませるなか、ウゴチュクウは他車を1秒近く上回る驚異的なペースで周回し、ギルテールを一気に引き離す。しかし15周目、ギルテールに3.7秒差を築いたウゴチュクウはグランプリレイアウトのターン1でクラッシュ。残り1分弱+1周というタイミングでレースを終えることに。
ウゴチュクウのクラッシュでSCが導入されると、そのままレース3はSCチェッカーを迎えた。トップに返り咲いたギルテールが今季2勝目を飾り、ポイントランキングトップに浮上を果たした。
日本勢最上位は14番グリッドスタートの海夏澄で7位。中村は9番手でチェッカーを迎えたが、8番手チェッカーのカラスケードに対しタイムペナルティが下り、中村が8位に繰り上がった。接触で後退した加藤は18位となった。
第2大会を終えた時点で、ポイントランキングでは海夏澄が7位、加藤が11位、中村が12位となっている。フォーミュラ・リージョナル・ミドル・イースト選手権(FRMEC)、次戦第3大会は2月7〜9日にドバイ・オートドロームで開催される。引き続き、世界の若手と戦いを繰り広げる日本勢の活躍に期待したい。