「楽しい日本」で危機克服―。石破茂首相は24日の施政方針演説で、今年が「昭和100年」に当たる節目の年だと切り出し、「わが国の直面する現実を直視しなければならない」と危機感を訴えた。その上で「人中心」の新しい日本社会の構築が必要だと説いた。キーワードは年頭記者会見などで繰り返してきた「楽しい日本」だ。
作家の堺屋太一・元経済企画庁長官が提唱していた。国家や企業ではなく一人ひとりが主役の「活力ある国家」を目指すもので、その実現に向けた「政策の核心」が地方創生。首相は「令和の日本列島改造」と位置付けた。
首相が政治の師と仰ぐ田中角栄元首相の日本列島改造論にあやかったものだが、「ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す。一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していく」と強調した。
昨年11月の所信表明演説に続き、石橋湛山元首相の演説も引用した。国会運営について「『反対党その他の協力を求め、国会がまっすぐに行くように』したいと表明された」と紹介。少数与党として臨む通常国会で、責任と熟議を与野党に呼び掛けた。
演説の字数は約1万1000字。近年の施政方針演説と同程度の分量となった。