【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】ホンダには勝ってほしいけど、フェルスタッペン選手を倒すドライバーが出てきてほしい!

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2025年01月25日 08:50  週プレNEWS

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「角田選手にとって25年シーズンは大変な戦いになりますが、僕はしっかりと応援していきたい」と話す堂本光一

連載【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】RACE22

2025年シーズンのF1は3月のオーストラリアGPを皮切りに全24戦で争われる。すでに全10チームのドライバーラインナップは確定し、各チームは2月中旬に行なわれる新車発表会や2月末のバーレーンでの公式テストに向けての準備に追われている。

日本勢にとっては節目のシーズンとなる。ホンダとレッドブル・グループのパートナーシップは今季限りで終了となり、角田裕毅(つのだ・ゆうき)が所属するレーシングブルズがホンダのパワーユニット(PU)を搭載するのも最後のシーズンとなる。F1参戦5年目を迎える角田にとっては、将来のシートを左右する正念場になりそうだ。

【写真】5年目のシーズンを迎える角田裕毅

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■昨シーズンの終盤戦と勢力図は変わらない

各チームとも2025年型マシンの開発の真っ最中で、最近は目立ったニュースはありませんが、開幕戦のオーストラリアGP(決勝3月16日)までは2ヵ月を切っています。水面下では新しいシーズンに向けて精力的に動いていると思いますが、今シーズンのF1で気になっているのは、ホンダや日本人ドライバー角田裕毅選手の動向です。

角田選手は2025年シーズン、残念ながらレッドブルに昇格することができませんでしたが、そこには良い面と悪い面があると僕は思っています。今シーズンのレッドブルは正直、競争力が高いマシンを開発できるかといえば、かなり疑問があります。

F1は2026年シーズンに新しいレギュレーションが導入され、マシンやPUが大きく変わります。大半のチームが26年以降の開発にリソースを回していくと思うので、25年シーズンは昨年の終盤戦とチームの序列はあまり変わらないと予想しています。

昨シーズンのレッドブルは、マシンを手掛けてきたデザイナー、エイドリアン・ニューウェイ氏のアストンマーティンへの移籍が決まり、彼がマシン開発の現場から離れた中盤戦以降は苦戦が続いていました。その流れは今シーズンも継続していくと思うので、簡単な戦いにはならないでしょう。

そんな状況の中で、角田選手がレッドブルに加入したとしても、マックス・フェルスタッペン選手に肉薄する走りをするのは難しいと思います。でも結果を出せなかったら、昨シーズンのセルジオ・ペレス選手のように散々叩かれて、角田選手が加入したことによってレッドブルが悪くなったと言われかねません。そういうリスクを考えると、レッドブルに昇格しなくても良かったのかなと思っています。

今シーズン、レーシングブルズでしっかりと結果を出せば、再びトップチームのレッドブルに昇格できるチャンスが生まれるかもしれませんし、ほかのチームから声がかかる可能性もあります。先を見据えるのであれば、レーシングブルズで5年目のシーズンを迎えるのは悪くない選択肢といえるかもしれません。

一方、レーシングブルズ残留のネガティブな側面を挙げるとすれば、やっぱりマシンの実力です。レッドブルのマシンは競争力が落ちたとはいえ、レーシングブルズよりは間違いなく速いでしょう。2025年シーズンはマクラーレンとランド・ノリス選手がタイトル争いの中心になると予想していますが、彼らと勝負できるのはレッドブルだと思います。

角田選手が表彰台を狙えるマシンに乗る姿を見たかった気持ちはありますが、これまで述べてきたマイナスの側面もあるので、最終的にはレーシングブルズ残留でもよかったのではないかと感じています。

■角田選手にとっては正念場のシーズン

角田選手とレッドブルの昇格を争ったリアム・ローソン選手は、当初(2023年)はレッドブルとアルファタウリ(現在のレーシングブルズ)のリザーブドライバーを務めながら、日本でスーパーフォーミュラに参戦していました。

2023年シーズンの終盤にレギュラードライバーのダニエル・リカルド選手がケガをしたことで代役として5戦に出場することになりました。いきなりF1デビューしたにもかかわらず、速さはありましたし、入賞もしています。

昨シーズンもリカルド選手が解雇された後、終盤の6戦に出場し、2度の入賞を果たし、それなりのパフォーマンスを見せていました。いいドライバーだと思いますが、リザルトに関していえば、角田選手がすべてにおいて上回っていました。「なんで角田選手じゃなくローソン選手がレッドブルに......」という思いは今でもあります。

ただ、さっきも言ったように、フェルスタッペン選手のチームメイトになったドライバーたちの多くは、本来の力を発揮できずに苦しんでいます。もしローソン選手も同じように結果を出せない状況になれば、角田選手がレッドブルに昇格する可能性はあります。

そのチャンスをつかむためには、角田選手は2025年シーズン、レーシングブルズが置かれている状況でベストの結果を出すだけでは不十分かもしれまぜん。レッドブル首脳陣の期待以上の結果を常に見せていかなければならないと思います。それは角田選手本人にとってはすごく大変な戦いになりますが、僕はしっかりと応援していきたいです。

■トヨタ系のドライバーが続々とF1へ

レーシングブルズにはいいマシンをつくってほしいですが、昨シーズンの終盤の戦いぶりを見ると、楽観はできません。中団グループの中でハースやアルピーヌなどはマシンの改良を進めて着実に速くなってきました。彼らに対抗するためにレーシングブルズもレッドブルからリヤサスペンションを移植するなどのアップデートをしてきましたが、それほどマシンの競争力は上がりませんでした。

2025年仕様のマシンにもレッドブルのノウハウや技術がいろいろと投入されると言われていますが、レッドブル自体が苦しい状況にあるので、正直、大きな進歩は望めない。マシン的には厳しいシーズンになるかもしれませんが、その中でも角田選手には日本人ドライバーの代表としてしっかりと力を示してほしい。

昨年の秋、トヨタがハースと技術提携を発表し、このオフにはトヨタ系の日本人ドライバーに関するニュースがいくつかありました。FIA世界耐久選手権(WEC)で活躍する平川亮(ひらかわ・りょう)選手がアルピーヌのテスト兼リザーブドライバーに就任し、今年の春に開催される日本GPの金曜日フリー走行に出走することが発表されました。

また、トヨタの育成ドライバーで昨シーズンからF1直下のFIA−F2 選手権に参戦する宮田莉朋(みやた・りとも)選手が、ハースが実施したプライベートテストに参加し、旧型のマシンとはいえ初めてF1をドライブしています。

ホンダだけでなく、トヨタもF1に関わりを深めることは、日本人のドライバーがF1に乗る可能性が広がっていくので、素晴らしいニュースだと思います。でも今シーズンのF1でレギュラードライバーとして参戦する日本人は角田選手しかいないんです。だからこそ角田選手には今まで以上に頑張ってほしいと、ファンのひとりとして期待しています。

■レッドブル・ホンダに抱く複雑な感情

2025年はホンダにとっても節目のシーズンになります。ホンダは2019年からレッドブルとパートナーシップを組んでいますが、今年が最後のシーズンとなります。レッドブル・ホンダは23年シーズンに22戦21勝という偉大な記録を残すなど、過去に大きな成功を収めてきました。

ホンダを応援しているので、今年のレッドブル・ホンダには有終の美を飾ってほしいという気持ちはあります。その一方で、過去4シーズンはフェルスタッペン選手がドライバーズタイトルを獲得し続けていて、そろそろ彼を倒す選手が出てきてほしいという声が世界中から上がってきていますよね。僕自身もそう思っています。

マクラーレンのノリス選手やフェラーリのシャルル・ルクレール選手などの若いドライバーが新しいチャンピオンになるのを見たいですね。だけどホンダには勝ってほしいなんて、すごく矛盾しますよね(笑)。わかってはいるのですが、それが僕の正直な気持ちです。

☆取材こぼれ話☆

ホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議に入ったことが昨年末に発表された。また三菱自動車も経営統合への合流を検討しており、国内外で大きな話題となっている。

「ホンダ、日産、三菱、それぞれのブランドと歴史があって、熱心なファンもいるわけですよね。将来、経営的には統合することになるかもしれませんが、ホンダはホンダであり、F1やモータースポーツが看板であり続けることを期待しています。もし経営統合をすることによってホンダのチャレンジする姿勢やクルマづくりの思想などが変わってしまったら、やっぱり悲しいですよね。

同じことは日産や三菱のファンも思っているはずです。クルマが大好きで、クルマを楽しむ者のひとりとしては、これからも変わってほしくないですし、そうならないと信じています。われわれも『KinKi Kids』から『DOMOTO』へと表札が変わりますが、ファンの皆さんにはこれまでと変わらず、楽しんでもらいたいと思っています!」

スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD) 衣装協力/AKM ヘア&メイク/大平真輝)

構成/川原田 剛 撮影/樋口 涼(堂本氏) 写真/桜井淳雄

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