第63回デイトナ24時間レースの決勝は、1月25日土曜13時40分(日本時間26日3時40分)にスタートが切られる 1月24日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されているIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』は決勝前最後のプラクティスが行われ、3年ぶりの出場となる小林可夢偉がドライブした40号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェイン・テイラー・レーシング)が最速タイムを記録した。
前日に行われた予選と2回のプラクティスに続き、プラクティス3が終了したイベントは、これで24時間の決勝レースを残すのみとなった。そんなレースウイーク2日目、金曜のデイトナのパドックから、各種トピックスをお届けする。
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ポルシェLMDhファクトリーディレクターのウルス・クラトルは、プロトン・コンペティションの5号車ポルシェはオープニング・プラクティスで右フロントのアップライトからウィッシュボーンまでのパーツが破損したと述べたが、この部品が昨年から2025年に向けた新車のアップデートに含まれていないことを認めた。
一方、ペンスキーのポルシェ963は2台とも、金曜日の午後遅くにガレージでバッテリー交換をしているところを目撃された。これは、ともにドイツのブランドであるポルシェとBMWが、レースに向けて高電圧関連の信頼性に関する懸念を表明した後の出来事だ。
BMWの広報担当者によると、予選でトラック上で停止した25号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)は、共通ハイブリッド関連の問題が発生し、バッテリーとMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)の交換が必要となった。このクルマは金曜日に行われた最終のプラクティスでトラックに戻り、3番手タイムを記録した。
姉妹車の24号車MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)は予選を担当したドリス・ファントールのドライブで、木曜日にBMWにとって初めてとなるLMDhポールポジションをもたらしている。
■フロントロウに並んだBMWとアキュラが一歩リードか
前回のロレックス24優勝者でGTPチャンピオンのフェリペ・ナッセ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)は、とくに明日の夜の気温が氷点下に近いと予想される状況では、BMWとアキュラARX-06が最速のクルマになる可能性があると考えている。
7号車ポルシェ963を駆るナッセはSportscar365に次のように語った。「現時点ではBMWとアキュラが間違いなくスピードを持っていると思う。予選は確かに混乱していたと思う。トップランナーは、多かれ少なかれプラクティスをリードしていた人たちだった。僕には、BMWとアキュラはこのコンディションで非常に強そうに見える」
金曜のプラクティス3でスピンし、ウォールにヒットしたニック・タンディは、7号車ポルシェの事故が新しいトラクションコントロールの設定を試した後に起こったとSportscar365に語った。幸いクルマはノーズに損傷を受けただけで、コドライバーのローレンス・ファントールのドライブでセッションで復帰した。
カリフォルニア州サンタクラリタにあるホンダ・レーシング・コーポレーションUSA(HRC US)の本社で働く人々は、この地域で最近発生したヒューズ火災のため水曜日に避難した。HRC USの広報担当者によると、同社は木曜夜の時点で強制ではないレベル2の避難区域にあったが、メーカーは慎重に行動することを選択したという。
Sportscar365に提供された声明には次のように書かれている。「自宅で仕事ができる人は自宅で仕事をしており、安全に戻れるようになるまでそのように仕事を続ける。今週末のパフォーマンスに影響がないと予想しており、従業員が無事であることを嬉しく思う」
■予選での接触について語る
ミルコ・ボルトロッティ(アウトモビリ・ランボルギーニ・スクアドラ・コルセ)は、木曜日の予選で63号車ランボルギーニSC63とトム・ブロンクビスト駆る60号車アキュラARX-06(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)が接触したインシデントについて、もし彼がアキュラを通過させるために後退していたら、唯一のフライングラップを危うくしていただろう、と自身の見解を述べた。
ボルトロッティはSportscar365に次のように語っている。「ピットを離れた瞬間からずっとプッシュしていた。僕は決して後退したり(前との)ギャップを作ろうとしたりしなかった。なぜなら、僕は最高のトラックポジションを持っていたからだ。彼は1周あたり3秒速いクルマを運転していた。だから、その時点で10台しかトラックにいない状況では、彼はふたりが予選を終えてたときに両者がラップを妥協しないように、ギャップを管理する必要があったと思う。もちろん、誰のせいにもしたくない。明らかに双方にとって愚かな状況だった。ある意味では僕たちふたりとも台無しになったが、誰かをパスさせるために唯一の予選ラップを諦めなければならないなら、僕はすぐにピットに留まることができるよ」
マッテオ・カイローリはソーシャルメディアで、ランボルギーニとの関係を直ちに解消したと発表した。このイタリア人ドライバーは昨年、SC63でIMSAミシュラン・エンデュランス・カップのラインアップに加わり、とくにインディアナポリス・モーター・スピードウェイでは一時ラップリーダーとなった。
■キャデラックとの契約期間
ウェイン・テイラーはIMSAラジオに対し、ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)とキャデラックの契約は3年間で、少なくとも2027年シーズンまでGTPプログラムが継続されることを明かした。
マグナス・レーシングは44号車アストンマーティン・バンテージGT3エボのボンネットに特別なグラフィックを掲出し、デイトナでの15周年を祝っている。ジョン・ポッターがオーナーを務めるチームは、このレースを最後にウェザーテック選手権でのプログラムを休止するが、年内にいくつかのレースに出場する可能性があるとされている。
同チームはまた、悪名高いピットサイドのウェブキャストを復活させる。これは近年とは異なり、チームのピット内のカメラと通信にアクセスできる、非ホストストリームを特徴とするものだ。
■3度目のドライバー復帰の理由
フライング・リザード・モータースポーツのメンバーは、今週末もアイアン・デイムスの83号車ポルシェ911 GT3 Rと、姉妹チームであるプロトン・コンペティションが運営する20号車ポルシェ911 GT3 Rをサポートしている。トーマス・ブラムは前者で戦略を決定し、スコット・ジャスムンドは同様に20号車を担当する。
プロトンチームのボスであるクリスチャン・リードはSportscar365に対し、20号車ポルシェが3月のセブリング12時間レースでもウェザーテック選手権のグリッドに並ぶことを認めた。一方でその他のミシュラン・エンデュランス・カップレースへ出場する可能性はまだ確認されていない。
リードは、アイアン・リンクスのメルセデスAMG GT3エボでWEC世界耐久選手権のフルシーズンを戦うため、みたび引退から復帰する理由について、イタリアチームにはブロンズレーティングのドライバーが必要だったためだと説明した。プロトンとアイアン・リンクスは長年にわたり、複数のシリーズで長期的なパートナーシップを結んできた。
■コルベット新登場の見込み
コルベットGT3のプログラムマネージャーであるジェス・デインは、このレースに向けて、カスタマーチームであるDXDTレーシングとTFスポーツのチームワークを称賛した。
デインはSportscar365に次のように語っている。「レースのわずか2週間前までTFカーがイギリスにあった状態でデイトナにやってきたが、DXDTはシートのフィットを手伝ったり、レーススーツやシートインサートなどあらゆるものを輸送したりと、素晴らしいサポートをしてくれた。DXDTは自ら手を挙げて助けてくれたの。素晴らしいパートナーに恵まれたことを本当に幸運に思っている」
同氏によると、すでに発表されているELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでのTFスポーツと、ブリティッシュGTならびにGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに参戦するステラ・モータースポーツの取り組み以外にも、今年はコルベットの顧客が増えると予想されている。「すべてが計画どおりに進み、チームの計画がさまざまなエントリーなどで実現すれば、2024年にはなかったいくつかのシリーズでコルベットが登場するでしょう」と彼女は言った。
具体的な数字は明らかにしなかったが、デインは、GMはホモロゲーション開始から最初の2年間に20台を生産するというFIAの要件を「容易に達成できる」と付け加えた。
■ル・マンで3台目登場なるか
BMW Mモータースポーツの責任者であるアンドレアス・ルースによると、同社は今年のル・マン24時間レースにRLLが運営する3台目のハイパーカーを参戦させるという考えをまだ排除していないという。
「レースをしていて、特にル・マンで勝ちたいと思っている時には、それはつねに考慮すべきことだ」とルースはSportscar365に語った。「クルマが多ければ多いほど良いとは言わないが2台か3台かでは違いがある。だから、彼らのクルマを見てみたいと思っているのは確かだ。しかし、それが実際にできるかどうかはまだ決まっていない」
ルースはBMWを去ることについてのマキシム・マルタンのコメントに反応し、ベルギー人がLMDhのフルタイムのファクトリーロースターの一員として指名されなかったことに対し、「彼のフラストレーションは理解できる」と述べた。
「私たちはGTについてだけ話していた。私にとって彼は今でも最高のGTドライバーのひとりなんだ。我々は、ハイパーカーでも彼にチャンスを与えた。しかしその後、ハイパーカーで少ないドライバーラインアップに集中し、焦点を絞ることを決めたとき、最初から計画していたように、マキシムはGTレースに参加するという決定が下された」
■マカオ以外は要練習
エドアルド・モルタラはSportscar365に対し、今年ランボルギーニでさらにGT3レースに出場するかどうかは「まだ決まっていない」と語った。このスイス人ドライバーは昨年、マカオで開催されたFIA GTワールドカップを含め、ウラカンGT3エボ2を何度かドライブしている。
彼は次のように語った。「マカオはつねに僕が競争力を発揮できる場所のように思う。他のレースは僕にとってはもう少し練習が必要なので、少し難しいように見えた。年間30回の週末に仕事をするGTのスペシャリストを相手にするのは、かなり厳しいことだ。少し走りこむ必要があるね。しかし、適切な準備と適切な目標があれば、すべてが可能だと思うよ」
ブレンボとIMSAは24日、複数年にわたるパートナーシップを締結し、ブレンボをIMSAのブレーキング・テクノロジーパートナーとすることを発表した。ブレンボはIMSAの統合マーケティング・プログラムを通じて、ファンやIMSAチーム、さらにはIMSAの18の自動車メーカーパートナーにリーチし、顧客をサポートしていく。