トヨタのオジエ、前人未到の記録に王手。表彰台争いは1分以内に5台の接戦/WRCモンテカルロ

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2025年01月26日 02:00  AUTOSPORT web

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セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ
 1月25日(土)、2025年WRC世界ラリー選手権の第1戦『ラリー・モンテカルロ』のデイ3ではスペシャルステージ10から15の走行が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。TGR-WRTのレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合6番手で大会3日日を終えた。

 23日(木)のシェイクダウンより走行が始まった2025年の第1戦は、未だ誰も記録していないラリー・モンテカルロ通算10勝を目指すセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がリードを守った戦況で後半戦に突入。デイ3は、サービスパークのあるフランス・ギャップの西部の峠道を舞台にアタック合戦が繰り広げられた。

 ターマック(舗装路)がメイン路面となるこのラリーでは、アイスや泥などによって刻一刻と変化するグリップに対応することがカギとなるが、この日のタイヤ選択は、スーパーソフト(路面温度5度以下)2本/ソフト(路面温度5〜15度)4本が一番多い選択となり、トヨタの5台とヒョンデ1台(ティエリー・ヌービル)が該当した。

 一方で選択の分かれたクルーは、ヒョンデのオット・タナクとアドリアン・フルモーはスーパーソフト3本/ソフト3本、フォードのグレゴワール・ミュンスターはソフト5本、僚友ジョシュ・マッカーリーンはソフト6本となった。

■デイ3もミックスコンディションが続く

 迎えたデイ3最初のステージSS10『ラ・モッテ・シャロンソン/サン・ナゼール 1』(27.00km)は、現地時間8時59分より気温5度/路面温度1度の曇り空の下で開始された。

 デイ3ということで、出走順はクラス最高尾の選手からに。まずは、前日最後のロードセクションでマシントラブルが起きたためにデイリタイアとなっていたミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)からアタックをスタートする。

 続いてマッカーリーン(フォード・プーマ・ラリー1)、ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と進んでいったが、ここで現王者に加速不良のトラブルが発生。ヌービルは一度マシンを停めて再起動することで難を逃れた様子だが、1分の遅れとなってしまった。

 他のマシンは、概ねドライコンディションのSS10を各車スムーズにクリアしていく。しかしコース上の泥も増していくなかで、ミュンスターのマークしたターゲットタイムを上回るものはなし。これで、最高峰クラス2年目を迎えたミュンスターは自身初のステージウインを飾り、前日のデイリタイアへの報いとも言える脚光を浴びた。


 続くSS11『オーセロン/ルクーボー・ジャンサック 1』(20.85km)も、ドライながらも前走者の撒く泥が課題となる峠道が舞台となる。

 ここでは、ラリーをリードするオジエとエバンス(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)が無理のないペースで完走に専念した一方で、ヒョンデのタナクとフルモー(ともにヒョンデi20 Nラリー1)がハイペースを見せ、ワン・ツーでステージを走破。この好走で、表彰台圏内に立つフルモーがエバンスをパスして2番手に浮上し、オジエと12.3秒差につけた。

 そのまま一行は、午前中最後のSS12『ラ・ベティ・デ・フォン/アスプレモン 1』(17.85km)に移動。SS12でも泥の撒かれた区間は引き続きポイントとなるが、ここでは一部区間でアイスバーンも見られるコンディションとなった。

 全開区間も多く、ステージ後半では若干の降雨も確認できる不穏な状況でのアタックとなったが、これまで4番手タイムを刻み続けていた勝田が好走を披露。今大会初のステージウインを飾った。

 昼前はサービスパークへ戻り、メディアゾーンで勝田は「今日は朝から良いフィーリングで走れています。昨日の夜にマシンに大きく変更を加えていて、それが僕にとってはとても快適に機能しています」と午前中を振り返っている。

■元王者タナクが怒涛のスパート

 SS12を終えた各クルーは、一度南仏ギャップのサービスパークに戻り、午後のループステージへと向かった。

 タイヤ選択については、全クルーがスーパーソフトとソフトを合わせた計6本を選択。その内訳では、スーパーソフト2本/ソフト4本がヌービル、ミュンスター、マッカーリーンの3台、スーパーソフト3本/ソフト3本がフルモー、オジエ、エバンス、パヤリの4台、スーパーソフト4本/ソフト2本がタナク、勝田、ロバンペラの3台となった。

 午後1本目のSS13『ラ・モッテ・シャロンソン/サン・ナゼール 2』(27.00km)は現地時間14時59分にスタート。気温は10度まで上がっている。

 午後も同区間を再走するループステージでは、午前中の走行の影響でグリップレベルが変化する。ここでは湿った区間に泥が広がるなど、難易度が上がっているであろうエリアも散見させるなか、タナクがこの日2度目のステージウイン。その結果、総合順位でロバンペラをパスして総合4番手に浮上した。

 続くSS14『オーセロン/ルクーボー・ジャンサック 2』(20.85km)でも、タナクはさらにスパート。ライバルとは一線を画すペースで、崖ギリギリを攻め抜いて連続ステージウインを飾ってみせた。

 9秒差の2番手には総合首位オジエが続き、こちらもすこしでもギャップを広げるべくプッシュしている。しかし一方で勝田には軽微なマシントラブルが起きたようで、ヘアピンで一瞬ストールするシーンが見られた。

 そして現地時間17時8分には、この日最後のSS15『ラ・ベティ・デ・フォン/アスプレモン 2』(17.85km)がスタートした。陽はゆるやかに落ち始め、気温7度/路面温度3度まで下がり始めている。

 ここは、とくに山間部に湿った泥が多く滑りやすい区間もあったようだが、それでもタナクは勢い衰えず、飛ぶような走りで3連続のステージベストを叩き出した。そしてステージ2番手に続いたエバンスが総合2番手の座を獲り返してこの日の走行は終了。総合ではオジエがラリーリーダー、1分差以内の2番手以降にはエバンス、フルモー、タナク、ロバンペラと続くトップ5となった。


 また、サポートシリーズのWRC2クラスにおいては、ニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)を総合順位で上回るも、今回グリアジンは移籍後初戦を理由にポイント対象外のエントリーとしているため、クラストップはロッセルとなった。さらに、総合でふたりに続くガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)もポイント対象外のエントリーのため、クラス2番手にはレオ・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)、僅差のクラス3番手にはエリック・カミリ(ヒョンデi20 Nラリー2)が続いている状況だ。

 大会最終日となるデイ4はSS16からSS18までの全3本を予定。スペシャルステージの総走行距離は50.90km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は348.26kmだ。

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