フォード・マルチマチック・モータースポーツのデニス・オルセンは、デイトナ24時間レースの終盤、GTDプロクラスの優勝をめぐる争いの背後で“カオス”な戦いが繰り広げられるなか、「コーナーごとに」ミラーを注視していたと語った。
クリストファー・ミースとフレデリック・バービシュとともに65号車フォード・マスタングGT3をシェアしたオルセンは、日曜日の13時40分過ぎにフィニッシュを迎えた2025年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕ラウンドで勝利を飾り、昨年IMSAやWEC世界耐久選手権などでデビューしたマスタングGT3に世界大会での初優勝をもたらした。
この勝利は、GTDプロの一部の参加者にとってコース上での物理的な衝突にまで発展した激しいバトルの末のものであり、このクラスでは最後の1時間に複数のアクシデントによるペナルティが科された。
ノルウェー人のオルセンは、レースの残り時間が38分となった段階で迎えた最後のレース再開の際、クラストップに立っていた4号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツ)を抜き去ると、最後の20分間はアレキサンダー・シムズがドライブするコルベットの姉妹車3号車を必死に抑えた。
その後、シムズ、ケルビン・ファン・デル・リンデ駆る1号車BMW M4 GT3エボ(ポール・ミラー・レーシング)、ニコ・バローネの4号車シボレーの3台による2番手争いは、4号車に追突された1号車がターン1でスピンを喫したことで決着を迎えている。
「シボレー(の3号車)が近づいてくるのを、コーナーごとにミラーで確認していたと言わざるをえない。僕はそれらの攻撃を確実にカバーし、最後まで持ちこたえられることを祈った」とオルセンは語った。
「また、(接触によって)ディフューザーやバンパーが外れ、テクニカルフラッグ(オレンジディスク)が出ないことを願っていた。幸運にもそれは出なかった」
「最終的には、すぐ後ろでカオスな戦いが始まり、なんとか(3号車シボレー)とのギャップを得ることができた。そこからは幸運にも少し楽になったよ」
「チーム全員、ドライバー全員にとって完璧なレースだったと思う。フォード・パフォーマンスとマルチマチック、新しい体制、新しいラインアップがあるのは素晴らしいことだ。信じられないよ!」
■フォードCEOからのプレッシャー「シボレーには負けるな」
オルセンの喜びの声に、チームメイトのバービシュは次のように付け加えた。「基本的にレースは最後の4時間から始まる。それまでは適切なクルマ、できるだけベストな状態のクルマを用意しておきたいものだ。なぜなら、毎年スプリントレースのようになるのだからね」
「もっとも重要なのはレースの最後の15分、10分だ。そう、そのためにベストな状態でトラックに留まっていたい」
「難しいのは、さまざまなカテゴリーがあり、各クラスでさまざまな戦いがあることだ。また、充分な速さを求められながら慎重にならなければならない。(コース上では)誤解も生じるから本当に難しい」
「デニス(・オルセン)やクリス(クリストファー・ミースの愛称)が言ったように、僕たちは全員が素晴らしい仕事をして最後に強いクルマを彼に与えた。それが我々の勝利につながったと思う」
バービシュは、フォードとゼネラルモーターズ(GM)のライバル関係はレースに入って頂点に達し、“カーガイ”として知られるフォードの最高経営責任者(CEO)であるジム・ファーリーからの追加のプレッシャーがあったと述べた。
「フォードとシボレーの戦いはかなり厳しい戦いだ」とバービシュ。「僕たちは土曜日にジム・ファーリーと会ったが、彼は『何をするにしてもシボレーの前にいなければならない』と言った。もちろん冗談だ」
「(しかし)もちろん、僕たちはそれを理解していた。彼らは非常に強かった。今日は昨日よりもずっと速いペースで走っていたので、彼らは最高のパフォーマンスを隠していたのだと思う」
「(最終的に)僕たちがリードを保ち、(戦略で)彼らを出し抜くことができたことをとても誇りに思っている。あまり多くを語るつもりはないが、僕たちはチーム内でいくつかの“非常に大胆な”決断を行ったと言える。その点でもチームを大いに祝福したい」